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車いすママの日常 6(キャラ弁で母のプライドを見せる)

私は料理が嫌いです。
むしろ、大っ嫌いです。
結婚してしばらくは共働きだったので、早く家に帰れたほうが夕飯を作る、という決まりにしていました。

いかに旦那より遅く帰るか。

それにどんなに力を注いでいたか。

七草粥を煮たら鍋一杯になってしまったあの正月。

葛湯を作りたかったのにただの塊ができただけのあの冬。

春雨って増えるのね、とスープから溢れんばかりになっているのを呆然と眺めたあの夜。

ええ、料理は嫌いです。

でもその私が、子どもを産んだ。
そりゃあもう、俄然やる気ですよ。
離乳食とかばっちり手作りしましたよ。
息子にかける愛情は誰にも負けません。

で、保育園でのお弁当。

ある時息子が言いました。

「保育園でね、◯◯くんのママは車いすだから、どうせ何もできないんでしょ?ご飯はおばあちゃんが作ってるんでしょ?って言われたの。違うのに!」

と。ちなみに我が家はどちらの実家にも事情があり頼れませんので、風呂掃除や床拭きなどできない部分は週に一度ヘルパーさんをお願いしていますが、それ以外の洗濯や料理などは私がすべてやっています。

息子はたいそう怒っていて、でもその時は言い返せなかった、と。

そこで母さん、考えた。

よし、キャラ弁をやろう。←え、◯◯くんのママなかなかやるじゃん、というのを狙って思いついた短絡的な考え。

初めてのキャラ弁はミッキーでした。
海苔の丸いおにぎりを大きいの1つ、小さいの2つ作って並べるだけ。動かないように周りにはおかずをぎゅっと詰めて。

「いい?お弁当は必ずこの向きで開けてね。そうじゃないと、何が何だかわからないものになるからね?わかった?」

と3歳児に言い聞かせて送り出した遠足。
帰宅後息子は

「ママ、お弁当の向き間違えちゃって(テヘ)。なにがなんだかわからなかった。あれ、何だったの?」

と。

おーのーー!!

つまり、こうなるはずのおにぎりが↓

こうなっていた、と↓

なんの形?と息子は頭にたくさんの「?」を浮かべながらお弁当を食べたそうです。

まずい。これはまずい。
これは母の沽券にかかわる。

そもそも私は料理が嫌いなので、普段から凝ったものは作りません。もちろん魚を焼いたり肉を焼いたり、味噌汁作ったりある程度当たり前のことはやります。でも横文字のような料理はできないし、なんなら鮭をムニエルにしただけで、「ママ、今日はすごく頑張ったんだね…」と息子から感動されるレベル。

しかし、手先は器用なんです(←自分で言っていくスタイル)。手芸が得意。細かい作業大好き。なので、海苔を切ることはとても楽しい。

というわけで、私は弁当の際に、海苔を切ることに命をかけることにしました(大げさ)。私の過去の栄光をご覧ください。

●マリオのキラーとクリボーとハテナブロック(やや失敗)とテレサ(完全に失敗)

●アンパンマン(トマトが温かくて不評だった)

●妖怪ウォッチのウィスパー

●妖怪ウォッチのおにぎり侍と焼きおに斬り

●ポケモンのピカチュウ(ほぼ失敗)

●ポケモンのアシマリ(まぁ失敗)

●ベイマックスとジャックスケリントン

●スターウォーズのストームトルーパーと若干失敗のチューバッカとライトセーバー(もはや帝国軍なのか反乱軍なのかわからない仕様)

これ以外にもただの豚の顔だったり、運動会の時はハチマキを巻いた息子の顔だったり、まぁとにかく色々作りました。主に海苔を切って。あとはご覧の通りほぼ冷凍食品バンザイ弁当でございます。

息子の弁当は周りの子どもたちから人気だったらしく、え?◯◯くんのママが作ってるの?え?すごくない?みたいな空気も無事流れ、車いすのママだけどやるときゃやるぜ、という母の思いもなんとなくわかってもらえて私も一安心。ただのプライドではありますが、車いすのママだから何もできないんでしょ、はちょっとショックだったので、こんなところで密かに頑張りました。

息子はもう中学生になり、いよいよ「質より量」になり、「キャラ弁、もういいんで」ときっぱりお断りされました(T . T)大変だったけどさ、楽しかったからさ、ちょっと寂しいよ母は。そんなわけで高校生になって毎日弁当になったらまた、こっそり隅っこに何かキャラクターを入れてやろうと密かに企んでいます。今からワクワク♡


続く。

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