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車いすママの日常20 (息子との家庭内セッションに挑む)

我が家には楽器がふたつあります。
ひとつは息子の電子ドラム。
もうひとつは私のシンセサイザー。

息子は過去記事でも書いた通り、3歳の終わり、4歳になる月からドラムを習っています。なんと習い始めてから、今年で10年。しかし生まれつき骨の病気を持つ彼は骨の痛みに悩まされることも少なくなく、そのたびお休みを余儀なくされるので実質は10年には満たないかもしれないのが現実…でも、それでもドラム歴は10年です。

習い始めた当初は、いらなくなった雑誌にタオルを巻いて、それをいくつか作り叩くことで家での練習としていました。しかし次第にそれでは事足りなくなってきて困っていた数年前、なんとなんと先生のお古の電子ドラムを格安で譲っていただいたのです!師匠のドラムとあって息子は大喜びし、その後家でたくさん練習するようになった…かというと、いや、決してそうではないのだけど…(←小声)、とにかく環境が整いました。

私も過去記事に書いた通り、34歳の頃からやっとやっと、小さい頃から憧れていたピアノを習い始め、今年で9年になります。私はずっと安いキーボードで練習していたのだけど、数年前にシンセサイザーを使う曲を発表会で演ることになり、せっかくならいいものを!と意を決して購入したのがこのシンセサイザーでした。

このシンセは私の宝物です^^

昨年の緊急事態宣言の時、息子の学校が完全に休みになり、未知のウイルスが怖くてたまらなくて私も家から出ることを一切やめ(週に一度食品を買うために出かけるのみ)、旦那は仕事に行っていたけれど私と息子は完全に引きこもる状態になりました。

さて、家の中でやれる楽しいことは何か。

家にいるのは決して嫌いではありません。むしろ好きかも。ただ、やっぱり外に出ることがもともと好きなので、家に「こもらなければならない」という状況はとてもストレスに感じました。

幸いにもドラムレッスンもピアノのレッスンもオンラインに切り替えてくださったので、週一回は今まで通り先生たちの顔が見られて演奏ができる。その時間があることが本当に救いでした。

そこで私はふと思ったのです。

おや。
うちにはピアノとドラムがあるじゃないか。これはもしや、家庭内親子セッションができるのではないのか?

と。

普段はお互いにヘッドホンで練習しているので外に音が漏れることはありません。しかしセッションするなら音を出さないと。以前中古屋さんで安く購入したまましまいこんでいたアンプをがさごそ出してきて繋いでみる。おや、ちゃんと音が出る。これはやれるぞ。

そう思ったら、ワクワクしてきました。

息子は「えーまじでやるのー?えー」と言いながらも、意外と前向き。顔がにやけている。これはいけるぞ。

そしてお互いに演れる曲を出しあいました。
しかしこれが大変。
息子はジャズが好き。
私はジャズに苦手意識を持っている。
二人とも演奏できる曲は、となるとなかなかないわけです。

そして最終的に「Cantaloupe Island」に決まりました。

今まで私はこの曲のテーマを弾いたことがなく、まずテーマを覚えることから開始。
いや、ほんと、これが楽しかった。
やるぞ、という気持ちに溢れている時が一番、上手くなる時なんだなといつも思い知らされます。

苦手だ、難しい、と思っている時は本当に覚えが悪いし進みが悪い。だけど「やりたい!やってやる!楽しい!」と思っている時は、どんなに難しいことでもやれるようになる。不思議なものです。この時の私がまさにそうでした。毎日家にこもって3食ご飯を作り、感染しないようにしないようにとビクビクしながら過ごすだけの時間。そこに加わった、「セッションやるぞ!」の気持ち。楽しくてたまらなくて、暇さえあればずっとシンセに向かっていました。

そして私の苦手とするアドリブもなんとかなんとか弾けるようになり、いざ録画。息子のところと私のところとにスマホを設置し、ひととおり通してやってみました。

何回も録画して、いやーここまでが限界だな、ずいぶん頑張ったぞ、と思えるものを「うまくいったらぜひ送ってね」と言ってくださっていた先生のところに送りました。

すごい、すごい!なかなかうまくできてるよ!でもSNSに載せるのはもう少し先かな^^

という、先生からの返信。嬉しかったー!うん、たしかに多くの人様に見せられる代物ではなかった。でも形になったことが嬉しくて、しばらく心がほくほくしていました。

そして今年!
なんと、発表会で息子と同じバンドで演奏できる!という状況になりました。
あれはまだ息子が6歳の時…。
「パイレーツ オブ カリビアン」の曲を発表会でやった時、私と息子は同じステージの上で演奏しました。そのあとドラムの先生から「お母さんと息子の力の差がだいぶ出てきちゃったから、次からは別のバンドで出ようね^^」とにこやかに言われたのです。

母は息子の成長についていけてなかった…!!

とショックを受けたのが昨日のことのように思い出されます。

あれから7年。今年まさかの共演の話が。
おや?と、いうことは、私は息子と一緒に演奏できるくらいうまくなってきたということか?そういうことか?え、どうなの、そこのところ、と、一人でソワソワわくわくしております。うふ。

同じバンドで演奏できるのはとても嬉しい。
ただ、いつもそうでありたいわけではありません。発表会でやりたい曲がお互いに色々あって、それを実現させるためには別のバンドで演奏する必要があるから。でもこんなふうに自然の流れで同じバンドに参加できることがあったら、それは本当に嬉しいことなのです、という話。

ああ楽しみです。
コロナの影響で昨年は中止になったバンド発表会、今年は開催されますように。

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