私は今福岡にいます

福岡に来たのは5年前、旦那の転勤がきっかけだった。

それまで私は関東で暮らしていました。神奈川で育って結婚して、転勤で千葉→埼玉そして福岡へ。福岡は旅行に来た事も無く、全く知らない土地で知り合いも誰一人いない不安だらけの移動でした。

最初の2年は孤独で寂しくて、いつも関東に帰りたいと思っていた。住んでいるところは都会と比べたら少し田舎だけれど、普段の買い物には不便しなくて都会にも電車で1時間程度で行ける場所。でも、自然にも恵まれていて星空が綺麗で夏には蛍を見る事もできて、近くの川にはアオサギやシロサギがいる。関東では感じる事の出来なかった自然と季節を感じられてゆっくりとした時間が流れる土地です。最初はそれが慣れなかった。何もかもが不便に感じて、早く次の転勤が決まればいいのにと思いながら過ごしていました。

3年が過ぎようとしていた頃、私にとってとても辛い出来事が起きました。(その内容については今は書かないことにします。)その出来事から立ち直るために、友達からの助言もあって、私は仕事に出る事を決意しました。旦那は何故私が突然仕事に出ると言ったのか分からなかったと思います。扶養の範囲で働くと言っても、最初はイヤな顔をされました。それでも私は何も自分を変えられないまま同じ生活をしていては立ち直れないと思い、勇気を振り絞って行動に移しました。ずっと専業主婦で転勤族な私がパートであってもすぐに仕事を見つけられるとは思えず、まずは短期間の派遣の仕事を探すことに。運よくまずは2週間程度の仕事に就くことが出来て、そこから2年半、短期の仕事を次々と続けて行きました。仕事とは言っても扶養範囲なので週4日程度。休みの日は家事をしてあっという間に時間は流れていきました。

働きに出たことは、とても良い気分転換になりました。久し振りに自分の力でお金を稼げたこと。職場で新しい人たちと出会い、旦那以外の人と喋る機会が出来たこと。何より家の外に出るきっかけが出来たことが良かったんだと思います。仕事と家事で精一杯だったし、ストレスや疲れでクタクタになっていた時もあるけれど、自分に自信を少しでも取り戻すことが出来て、次第に私は立ち直っていきました。辛い出来事に関しては何一つ変えることは出来なかったけれど…。

そしてそろそろ福岡に来て5年になろうとしていた頃、そろそろ転勤になりそうだという流れがやってきました。その時、私は短期の仕事から長く続けられそうな仕事に変えていましたが、次の契約更新はせずに秋が来る前に辞める事にしました。いつ転勤になるか分からない事情を考慮して働かせてくれていた職場でしたが、突然辞める事になるのだけは申し訳なくて避けたかったし、引越しの心の準備もしたかった。5年という時間は短いようで長くて、やっとここの生活に慣れたのにまた次の知らない場所へ行くのはとても精神的な負担が大きいのです。

仕事を辞めてから少しづつ家の片付けと掃除を始めました。この秋でいきなり引越しになってもいいように。次の春になったとしても困らないように。生活に慣れて好きになり始めていたこの土地とお別れする気持ちの準備も兼ねて、いつもより星空を見上げたり、好きな川辺の散歩にも頻繁に出かけるようにしました。そうやって心の準備を少しづつしていき、年が明けた時にとうとう春の転勤の話が本決まりになりました。

3月に東京に転勤。元々関東で暮らしていた人間です。全く知らない土地でもない。何より親や友達とまた距離が近くなる。本当ならば良い話の筈でした。でも、このゆっくりとした時間の流れに慣れてしまった私は都会に帰ることが怖くなっていました。旦那の職場を考えると都内に住むしかありません。部屋を探しに1泊2日で出かけ、久し振りの都会の状況を目の当たりにして不安は膨らんでいきました。建物と人が密集しているのが当たり前の場所。上へ上へと伸びるビルの合間から見上げる空は狭い。家賃も高くて納得出来るような物件もない。ゆっくり探す時間も貰えず、妥協に妥協を重ねて部屋を決めました。引っ越す前から次の転勤を願ってしまうような物件でも、決めるしかなかったのです。

そしてあと1週間で私は引っ越します。

福岡に来て5年3か月。大まかな流れはこんな感じでした。本当はもっと細かく沢山書きたいけれど、纏まりのないだけの文章になりそうなのでやめておきます。それはまた次の機会に。こうやって振り返りながら、次の土地に向けて感じていることなどを書いていきたいと思います。

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