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四万十川 沈下橋で童心に帰る

ついに念願の四万十川を目にした。

太陽は沈みかけている時刻だった。「うゎあー」と感動するはずが
「えっ噓でしょ!」という感想が口からも出ていた。
わたしが目にしているのは、四万十川の下流、海と交わる寸前の所だった、
ただただ川幅の広い普通の川だった。
ホテルに戻った時に、思わず受付の人に確認までしてしまう程、見た光景を信じられなかった。

夕飯までは時間があったので、近くの商店街等を散策してみた。
地元と同じくシャッターが閉まっているお店が点在していたけれど、ドラマの撮影現場だった事を示すポスターがあちらこちらに貼ってあった。
後でわかった事だけど、「遅咲きのひまわり 僕の人生リニューアル」というドラマの舞台となった場所だった。

研究職の医者が上司から、地元の要請で病院勤務を命じられた真木よう子さん、派遣職を突然首になり、彼女にも捨てられた生田斗真さんが見つけた地域おこし協力隊という職業。真木よう子さんは医者ではあるが、研修以来採血もしたことがない実地未経験者、なおかつ過疎地域での総合的に判断を求めら、看護師や患者からは冷ややかな対応をされるなかで、同じ町で四万十川や商店街を舞台にした、とてつもなく素敵なドラマでした。

この事を事前に知っていれば、また違った見方もできたのかもしれませんが、まぁそれはそれでヨシとします。また行けばいいんですから。

翌朝、駅前のレンタカー屋で車の予約をして、ホテルで朝食をとりながら当時の朝のドラマ「あまちゃん」?を見てすぐさま、四万十川の上流へ向けて旅立ちました。
四万十川名産の川のりと手長エビがよく食事についてきました。

スマホを修理に出していたので、代替品の不慣れなスマホで道案内をしてもらいながら、市街地からどんどん山沿いの道に入り、一車線位の細い道となったところで、左側に小さな川と橋がちょくちょく見えてくるようになりました。もちろんテンションはだだ上がりです。笑
車を止められそうな場所がなかなか見つからなかったため、結構上流まで来てしまいましたが、「これだよこれ!この四万十川と沈下橋と山と雲一つない晴天とこの炎天下」
小学生の夏休みの様な最高の状態でした。

昔わたしの大好きな社会の授業で、沈下橋という橋がある事を知った。川が氾濫したときに橋に手すりがついていない沈下橋は、水面下に沈む事になる。確かにこの橋には手すりが付いていない、それどころか車止めすらついていない。レンタカーはトヨタのビッツ 小さい車ではあるけれども運転席からは橋の両サイドなんか見えない。感覚的にはバイクの免許を取る時の課題の一つである1本橋(幅が20㎝位の長さ10m位の、橋上の上を、脱落する事なく、かつ一定時間以上かけて歩くよりゆっくり渡らなければならない、バランスとクラッチワークを試す課題です)に似ていた。
というよりも、沈下橋の場合は四万十川に落ちてしまうじゃん。橋の先だけを見てスリリングな思いをした。バイクの免許がこんな所で役に立つとは思いもしなかった。
余談だがレンタカーを借りる時に、スタッフから「もしも川に落ちたらここに連絡をください」と名刺を渡されていた。その時はジョークかと思っていたが、そうでもなさそうだなと思った。

その後もいくつかの沈下橋に触れてきた。
先ほどのドラマでも出てきていたこいのぼりが一面に張ってあったところや
岩間沈下橋 川に足を入れると水温は水道水より温めで、しばらくすると小魚が足に吸い付いてきていた。天然のドクターフィッシュとでもいうのか。
観光でわたしとおなじくレンタカーを使っている方もちらほらいたけども
やっぱりあの沈下橋を渡るのは怖いんだと思った。
四万十川のせせらぎに交じって遠くで人が話ししている声が聞こえる程、周りにはなにもなく、熱くなったコンクリート製の沈下橋で、横になった時は、スタンドバイミーになったようで、童心に帰ったかのような贅沢な気分を味わえた。

生活をしていると何かしらの 音(文明の音) が必ず聞こえてくる現代において
音のない空間って、なかなかないんだな 贅沢な空間だなと感じました。


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