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カブがどこにでも連れて行ってくれるという話

カブに乗るきっかけは、ただの移動手段でしかなかった。スクーターよりガチャガチャとギアをいじる分運転が楽しそうというだけでカブを選んだ。

それまでは電車でちょっとした散歩によく出ていたし、新幹線や飛行機で旅に出ることもあった。レンタカーやカーシェアリングを使って車で出かけることもあった。

でも、カブで走るのは今までとは違う感覚だった。gooバイクで見つけたスーパーカブ50周年アニバーサリーの特別なカラーリングのリトルカブに乗り始めたら、ただ走るのが楽しかった。

山梨のクリスタルライン

リトルカブは50ccのスクーターよりも小さい車体で非力にも関わらず、いろいろなところに連れて行ってくれた。その頃はナビを使っていなかったのでかなり遠回りしたこともあったけど、知らない場所にいっぱい連れて行ってくれた。電車や車とは違った景色を見せてくれた。

小型二輪免許を取得して125ccのスーパーカブC125に乗り始めると、さらに世界が広がった。グーグルマップをくまなく眺めていると、「あ、こんなところがあるんだ」という発見がけっこうある。バイク雑誌の特集やInstagramで行ってみたい場所を見つけることもある。そうやって知らない場所に行ってみるのがとても楽しい。

静岡の浅間神社

移動中は制限速度の早い道をびゅんびゅん飛ばすこともあるけど、やっぱりカブはのんびり走ることが向いていると思う。ちょっと飛ばすのに疲れてふらりと入った道沿いで思わぬ光景に出くわすこともある。「あ、この道ちょっと行ってみたいな」と思って脇道に逸れてみたら、ぜんぜん車がいなくてのんびり景色を眺めながら走れることもある。万が一その先が通れないような細い道に迷い込んでしまっても、小回りの効くカブなので何度か切り替えしながらUターンすればいい。

埼玉の大滝ダム

ふと気になった場所があったときに気兼ねなく停まれるのがカブのいいところだと思う。

山梨のみずがき湖

制限速度が30km/hじゃなくなって行ける場所は増えたけど、カブは高速に乗れない。高速に乗れたら楽だろうなと思うことはたくさんある。だけどそこは割り切って、下道でしか風景を味わっている。

去年の7月。ずっと行ってみたいと思っていた石川県の能登半島にある千里浜なぎさドライブウェイまで走った。距離にすると自宅から400km/h超はある。

石川の機具岩

順風満帆には行かなくて、途中で通行止めに遭遇したりいろいろあって往復で1100km/hくらいになった。でも、初めて見る街や山道を走りながら、カブさえあればどこにでも行けるんだと改めて感じた。

日本にはまだまだ知らない場所、行ってみたい場所がいっぱいある。カブならきっとどこにでも連れて行ってくれるはずだ。

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