虚夢十行 〜絆創膏の夢〜(執筆者:すいか)

 絆創膏の端を摘み、右から左へと滑らせれば、三色スミレが沸き立つ泡のように顔を覗かせた。
 進ませるたびに現れる蕾は小さな膨らみを綻ばせ、紫や白、黄色の混ざる花弁で表面を覆っていく。青空を映すだけの無機質なガラス張りのビルの間を通り抜ける風。慎ましい三色のロールシャッハを揺らすも、それらを表皮に咲かせた回路や回線の剥き出したオートマトンの砂埃を払い切ることはできなかった。


あとがき(実話)

 はじめましてすいかです。
 短い文や詩を書いてます。
 今日は目前でアゲハチョウのナンパに遭遇し、サクラ耳の青い目の野良猫からは初めてと言っていいくらいしばらく足元に絡み付かれるという人生のモテ期を使ってしまった気分を味わいました。これからよろしくお願いします。