虚夢十行 〜花束の夢〜

 すみません、と会釈して私はまた歩き始める。手にはさっき急いで拵えたネモフィラの花束。早く渡さなきゃ。相手のいる場所もましてや名前も知らない。そんな知らないだらけの相手だが、浮かべるたびに、ふつふつとした細波で内側から訴えかけてくる。だから私は歩く。化粧品売り場。魚市場。森。公衆トイレ。規則性のない尋ね旅。湖に浮かぶ線路では相手の陽炎が浮かんだ。花弁の青は滲んで濃さを増す。
急げ片足。もう一度瞬きしてしまう前に。

こんにちは。すいかです。初めて育てたネモフィラが今日終わりました。そして、初めて漬けた糠漬けが今日完成しました。

              (執筆者:すいか)