見出し画像

【気象予報士試験】実技試験解説記事:第60回実技Ⅱ

割引あり

気象予報士試験の実技試験の解説記事です。
本記事は第60回実技Ⅱのものとなります。
実際の天気図に書き込みした画像を使ってわかりやすくまとめているので参考にしてください。

難易度

やや難~難

総評

第60回実技Ⅱは6月の事例で、台風と台風の温帯低気圧化に加え、一部梅雨前線も絡んでくる、総合力が問われる問題となっていました。
模範解答だけを見ると、一つ一つの問題は難しくは決して難しくありません。
ですが、一連の問題の流れに対してその流れに逆らうような出題(例:台風の温低化を問う流れなのに、台風の構造の特徴を記述させるような問題。)があったり、これまで本試験ではあまり深く触れられてこなかった【台風の温帯低気圧化】という現象にスポットが当たっていたりと、問題全体を通してみると一筋縄ではいかないものとなっています。

また、短答問題の配点が1点のものも多く点が稼ぎにくいうえ、大問の多層構造が顕著でした。
一つの設問に対していくつもの枝問が用意されており、問題の流れを汲むことが苦手な受験生はもちろん、上位の受験生でも完答が比較的難しい回だったと思われます。

以上から難易度としては【やや難~難】だったと考えます。

この問題の復習の仕方

応用的・実践的な台風の事例となっています、台風問題への対策をしっかり行いたい方や台風事例が苦手な方は、しっかり復習を行うことで【温帯低気圧】に次いで出題の多い台風事例を得意分野にできるはずです。

また時間内に解くために必要な【問題の流れよ出題者の意図を汲む】力が、この事例では身につくと思われます。

それらの力に不足を感じている受験生は、この事例の復習をしっかり行いましょう。

この問題の目標点

第60回の実技の合格基準点は66%以上合格でした。
第60回は実技Ⅰが平均~やや難程度の難易度だったので、初見の場合こちらでは65点前後は取れるようにしておきたいです。
上述のように台風事例は【温帯低気圧】に次ぐ出題頻度となります、苦手意識のある受験生は必ず克服しておきましょう。

問1

では問1から見ていきましょう、まず問1に共通の問題文を載せておきます。
小問毎の問題文は更に細かく分けて載せていきます。
ちなみに【図1には前線が描画されていない】という文言は、後々響いてくる伏線になっています。

問1-(1)

(1)の問題文は以下です。よくみかける気象概況の穴埋め問題です。回答の方法に指定があるところは、見落とさないようにしましょう。

以下画像でどこを見るべきかまとめています。
問題文の穴埋めのところに色分けして下線を引き、その下線と同じ色を使ってその穴に対応しているポイントを設問番号で結び付けています。

②の24時間後の予報円の直径は青枠で囲んだ円の直径を元にかんがえます。
【N20°E120°】と【N20°E130°】を結んだ長さと円の直径の長さの比で考えると良いです。
パソコン上のアバウトな計算ですが、前者:後者が4:1ほどとなっていました。
前者は10°=600海里なので、後者はその1/4である150海里だと考えられます。

なお、③の知識問題としているところは【台風の予報円】に関する基礎的な暗記事項です、70%の確率でその円内に台風中心がはいるとされる円です、しっかり覚えておきましょう。
後半にいきます。

⑧・⑨は現在天気の記号を見ればわかります。
しゅう雨性降水の記号に加え、前一時間内に現象が終わったことを意味する【]】の記号がついていますね。下図の25番ですね。
そして、しゅう雨性降水なので【対流雲】からの降水であることもわかります。積雲の雲記号も併記されているのでそれで判断しても大丈夫です。

⑫も基礎問題でした、忘れていた方は覚え直しておきましょう。

(1)模範解答

(2)

次に(2)です。

以下を見てみましょう。

ここから先は

5,085字 / 73画像
この記事のみ ¥ 500〜
期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?