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文字だけの君

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2020.9/11〜スタート。好きなのは顔?性格?一体、人は人の何を見て、その人を愛するのだろうか。愛されない。愛すことができない。毎週金曜日、中条かなえは、ラーメン屋『ことだま…
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記事一覧

文字だけの君 第十五夜〈最終回〉 〜厨房でニヤリと笑う君〜

かなえはその日、ある場所へと向かっていた。 そこは、初めて来る場所だった。 しばらく歩いて…

佐藤そら
3年前
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文字だけの君 第十四夜 〜鋤柄さん!消えてしまった君〜

かなえはドラマが最終回を迎えても、結局あの店へと向かっていた。 店の戸には、のれんがかけ…

佐藤そら
3年前
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文字だけの君 第十三夜 〜その感情に名前をつけたなら?どこにいるのか分からぬ君〜

オフィスで後輩の美智子が話しかけてきた。 「先輩、最近元気ないですね」 「え?」 「お休…

佐藤そら
3年前
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文字だけの君 第十二夜 〜閉店までここで待つ。逢えない君〜

その日、かなえはオフィスで上司の植木に有給休暇を求めていた。 「え?有給?」 「はい、ど…

佐藤そら
3年前
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文字だけの君 第十一夜 〜わたしは、お金で幸せを買っている?逢いたい君〜

かなえは仕事を終えると、無意識に足はあの店へと向かっていた。 暗闇の中に、明かりがついた…

佐藤そら
3年前
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文字だけの君 第十夜 〜わたしは何も知らなかった。雨の日の君〜

居ても立っても居られない。 今日もかなえは仕事を終えると、またあの店へと向かっていた。 …

佐藤そら
3年前
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文字だけの君 第九夜 〜なりたかった自分になれてますか?婚活パーティーの君〜

体重は増加していく一方で、向かう足を止めることはできなかった。 それはノートの続きが、気になって仕方なかったからだ。 その返事が、どうしても早く知りたかったからだ。 暗闇の中に、明かりがついた一軒の店が見えてくる。 店の戸には、のれんがかけられており、そこには『ことだま』とある。 奇妙なラーメン屋は、今日も変わらず同じ場所に存在していた。 金曜日でもないのに、ここへやって来てしまった。 かなえは、店の戸を開けた。 数人の男性客が黙々とラーメンを食べている。かなえに目を向け

文字だけの君 第八夜 〜ねぇ、どうしたらいい?答えてほしい君〜

今週も金曜日の夜がやって来た。 かなえは仕事を終えると、足早にあの店へと向かった。 暗闇…

佐藤そら
3年前
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文字だけの君 第七夜 〜教えて、仮名の君〜

その日、かなえが家のリビングでくつろいでいると、妹のひとみが話しかけてきた。 「お姉ちゃ…

佐藤そら
3年前
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文字だけの君 第六夜 〜わたしを受け止めてくれる、名も知らない君〜

休日明け、オフィスに行くと後輩の美智子が言った。 「どうして合コンの二次会来なかったんで…

佐藤そら
3年前

文字だけの君 第五夜 〜合コンに現れる偽りの君〜

「かんぱーい!」 金曜日の夜、居酒屋に声が響いた。 かなえの後輩、美智子が勝手にセッティン…

佐藤そら
3年前
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文字だけの君 第四夜 〜イケメンという見える君、姿が見えない君

オフィスでかなえは、気合いを入れたかのように立ち上がった。 「よし!今日は金曜日だ!」 …

佐藤そら
3年前
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文字だけの君 第三夜 〜人間はヒーロー?怪人?化け物の君〜

「今日金曜日か…」 オフィスでかなえは呟いた。 「何かあるんですか?」 すかさず後輩の美…

佐藤そら
3年前
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文字だけの君 第二夜 〜愛する人がいただけでも幸せな君〜

オフィスで後輩の美智子が、かなえに話しかけた。 「先輩、じゃあ合コンセッティングしますよ!出会いのチャンスですよ!」 「いいよ別に。わたし合コンに良い出会いがあると思えないんだよねー」 頼んでない。 まるで、結婚がこの世界のすべて。女の幸せのすべてだとでもいうのか。 だとしたら、そのお前の考えの方が古くて、とてもおばさんである。 これは、別に強がっているわけではない。 「そんなこと言わないでくださいよ。ラストチャンス掴んでください!」 「ラストチャンスって…」 よ