大好きなのに別れたい

私は、大好きな彼氏を手放してしまう癖がある。
今まで付き合ってきた人達とは、2.3年は続いていたし、充分に幸せな日々を送っていたと思う。どの彼氏も、私によく尽くしてくれていた。側から見ても仲良しカップルだった。
それなのに、2年3年続いている日々の中で、ふとひとりになりたい、手放してしまいたい、という感情がぷつりぷつりと浮かんでしまう。

なぜだろうか?

いや、なぜ?という台詞は、私にフラれてきた歴代の彼氏の言葉だろう。だが、私は答えることができない。自分でも分からないから。
ただ、ひとりになりたいと言い繕って、手離す。

別に彼氏が嫌いになったわけでも無いのに。

わたしはめったなことでは嫉妬をしない。
過去はもう過ぎ去ったもので、やり直せない。
今の彼を形作ってくれたものとして、感謝すべきものたち。
けれども、ふと昔の、彼の恋の断片を目の当たりにしたとき、心がザラッとする。ザラザラ。無痛、ではある。ただ、嫌な感じ。

このザラッとした感覚にはどう対処したらよいのだろうか。自分が傷付く感触。自傷とも違う、快感なんて存在しない。不快。

この不快なザラつきに直面した時、わたしはこころの中で彼を突き放す。
わたしは独りだ。過去も、いまも、みらいも。
そうやって言い聞かせ、自分を守っている。

嫉妬心に正面から向き合ってはならない。
これは恋の鉄則です。
なぜなら、相手を縛ることになるから。
わたしは縛られるのがとてもきらいだ。
縛られた途端、必死にもがいて抜け出そうとする。そうやって様々なものを失ってきた。

いま、おそらく私は嫉妬している。
けれど、彼には多分やましい気持ちはちっともなくて、ただの私のエゴである。

嫉妬は恋愛のスパイスなのだろうか。
何も不安がないはずなのに、嫉妬を作り出しハラハラドキドキ。刺激がほしいのか。

ひとりになりたい。
男でも、女でもない、ただの物体としてしかいたくない。
この感情を、手放すにはどうしたら良いのだろうか。


追記

本当に利口な恋愛というものがあれば、相手を恋さないということしかないのです。(中略)
愛さないで愛されているだけの状態には、どんなうぬぼれの強い女性でも長く耐えていくことはできません。皆に愛されていることに慣れた美しい女が、つまらない男をむちゃくちゃに愛してしまうような場合がよくあるのは、ただ愛されているだけで、世界があまりにも自分の意のままになり、見通しがきくということのむなしさに耐えられなくなって、もう一度世界がなぞで満たされてくることをその人は望むようになるからであります。そしてまた、恋する方の人間も、あまり自分の愛することに疲れると、何かある安息を求めるために、愛されてだけいたいような状態にあこがれて、そうなっていくこともあります。
(三島由紀夫 新恋愛講座)

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