人生で初めての告白

日曜日。
先輩との昼間デートは初めてだった。

昼食後、博物館に行き、夜はおしゃれなバーで飲んだ後、先輩の家に行った。

「先輩のこと、すごく好きになっちゃいました」
不意に言葉がでてきた。
先輩をだきしめながら。顔なんてみられなかったから。

ねえこっちみて。
そう言われて、そのあと、何を話したんだっけ。

私には、彼氏がいる。だから、好きになってしまったことを告白した後、もう2人で会うことはできないと伝えるつもりだった。
戻ってこられなくなる前に、終わりにしたかった。
それなのに。

先輩は、好きが分からないと言った。
何度かデートしたら、付き合いたいとも言った。

そんな曖昧な返事に少しむっとした私は、白黒はっきりさせたくて、今は付き合えないってこと？私のことどう思ってるんですか？と問い詰めた。

「今は付き合えないなら、もう2人で会えないです」
そう伝えたかったのに。終わらせたかったのに。
先輩の答えは期待してたものとは違った。


私が問い詰めると、先輩は、
「うん、付き合おうか」
そう言って、幸せそうに笑った。「将来も考えられるし、付き合っていけば今よりももっと好きになると思う。合鍵も渡さなきゃね」

さすがに合鍵は早すぎると断ったけれど、付き合うことになってしまった。断れなかった。


彼氏が2人。細胞分裂。こんなはずじゃなかったのに。

「二頭追うものは一頭も得ず」

私は2人とも失うのかな。
彼氏が2人になったけれども、孤独だ。

体など くれてやるから 君のその 愛と名のつく 全てをよこせ

愛って
好きって

考えたって答えはでない。
失ってから気づくものなのでしょうか。

2024.1.28.sun