愛おしい男

12月31日、大晦日。
私は同期の女友達の家で目覚めた。
女友達は大晦日に、私は明日、仕事だ。
正月出勤ふたりで年越しをしようということで、もう2泊している。

31日の朝、女友達が出勤するので一緒に7:30に家を出た。
今夜の年越しもまた、この家に戻ってくることになっているので、私は何をして暇を潰そうか考えていた。

とりあえず、朝はジムに行って、そのあとシャワーを浴び、部屋の大掃除をした。


実は昨日の夜、先輩とLINEをしていて、友達が日勤のあいだ暇なんだったらうちに来ないかと誘われていた。

その言葉を待っていた私は、早く先輩に会いに行きたいと思いながらも、はやる気持ちを悟られまいと、お昼すぎに行きますねと返事をした。

お昼すぎ、先輩の家に着いた。
部屋着でメガネ姿の先輩が、おはようと出迎えてくれた。

お昼一緒に食べましょうと誘ったのに、先輩はご飯をたべたらしい。
まあお腹すいてないしいいか、と思い、とりあえずアマプラを漁る。
ハリーポッターが期間限定でやっていたので、アズカバンでも見ようかなとえらぶ。
使い古されたソファに座って、一緒に映画を見る。


そのうちに、先輩がこっちにおいでと誘う。先輩の中にすっぽり収まるように座った。寒い日だったので、先輩の温もりが心地よい。
私の彼氏は、私よりも小柄で、いま先輩に包まているような安心感は得られない。

先輩の唇が首元に落ちてきた。吸い付くようなこの口付けが好きだ。そのまま身を任せていると、今度は唇を奪われた。先輩のやわらかく吸い付くような口付け。ベッドに行こうと誘われた。寝不足のわたしは、そのまま眠りたいと淡い期待をして、一緒にベッドに入った。

ベッドのなかで、あたたかい先輩に包まれながら、流れに身を任せる。先輩は、かわいいと連呼する。どうせ体が欲しいだけなのはわかっているけれど、悪い気はしない。いい匂いがする、そう言われて、先輩もいつもいい匂いがしますと答える。僕たち匂いの相性がいいんだね、そう言われた。

先輩の息遣いが荒くなり、口でして欲しいとせがまれた。この前はしてあげなかったけれど今日はしてあげようかな、と思い、期待に答える。ああ、今日は口でするところまで許してしまったなあと考えながらしていると、先輩に、上手すぎる、リピートしちゃうかもといわれた。リピートってなんだよって引っかかったけれど、こっちも遊びなんだよなあと思い直す。

先輩に、Kくん(下の名前)って呼んでみてって言われた。気恥しいので冗談をいってごまかした。

好き、とかめちゃくちゃにしたい、とか、なかにだしたい、とか、そんなことをたくさん言われた。先輩が好きって言ったのは初めてだなあとぼんやりと思った。

先輩が、だしたい、のんでほしい、というので、まあこの前は出させてあげなかったから今回はいいかなと思って、飲んだ。ここにだしていいよ、とティッシュを差し出してきた。ああこういう優しさがずるいなとおもった、もう飲んじゃったけどね。

出したあとはドライになるのかなと思ったけへど、やさしくキスをして、抱きしめてくれた。

先輩がパスタを作ってくれるというので食べることにした。
カルボナーラ風のパスタ。分厚いベーコンとキノコ、そこに卵とチーズを混ぜたものをかけたパスタらしい。ニンニクも少し入っている。このレシピ、最近わたしがハマっているのと同じだった。天才的においしくて、先輩と付き合える世界線があったらいいなとおもってしまった。

パスタを食べおわると、再びキスをされた。しばらくキスをしていると、またベッドにいこうと誘われた。さっき出したくせにと思ったので、ことわった。
上に乗って、と言われたので、先輩に跨ってキスをした。興奮した先輩が腰をゆらす。最後までは許さないと決めていたので、なだめた。
付きあっていない人とはできない、とか言ってみようかな、と可愛いことを考えてみる。けど実際問題、先輩の方が大きいので、それを許してしまったら、ほんとうに今の彼と終わってしまう気がする。

わたしは今の彼と別れる気はない。
女好きの先輩と付き合う気もない。
次はもうないかもしれない、そう思ったりもする。
先輩だけれども、一個下の男。キスをされながら頭を撫でる。愛おしいなと思う。
わたしはどこまで落ちてしまうのだろう。

先輩は私のこと、遊びだと思っているのかな。

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