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オッドタクシーに乗車した

昨年に放送されていたアニメ『オッドタクシー』
amazonプライムのおすすめに出てきていてずっと気になってはいたものの、見れていなかったものをやっと、やっと!見た話。
一言で表すと、“凄かった”に尽きる。
(少しだけお話の内容に触れている部分がありますのでご注意ください)

動物たちは私たち“そのもの”

登場するキャラクターは全て動物。
タクシードライバーのセイウチ、医者のゴリラ、清掃員のサル、アイドルのトイプードルや三毛猫などなど。アニメを見る前まではポップな感じなのかな?と思っていたのが大間違い。
初っ端からおお??と思うことの連発で、動物でありながらも住む世界や各キャラクターの性格や出来事は、現代の私達が生きる世界の内容ばかり。
SNS、バズる、自己肯定感、アプリでの出会いなど、ポップな世界をイメージしていた私は全然違うギャップにびっくりした。だが、このギャップがオッドタクシーの世界に引き込まれる要素の最初の一つだったのだと思う。

4話の「田中革命」は衝撃的だった。
このタイトルを考えたのがまず最高で拍手を送りたい。
一つの消しゴムから始まる人生の物語、そこで狂ったのか、囚われたのか。でも、学生の特に小学校というコミュニティの中でスクールカーストが出来上がり、そこで葛藤するという内容は、どのくらいの人たちが経験したのかは分からないが自分のときにもあったなーと。
ただの子供の話だと思うのかもしれないが、大きく分けると家と学校という2つのコミュニティでしか生きていない子供たちの中で、学校というコミュニティの影響は想像以上に大きく、その後の人生にも影響を及ぼすというものがとてもリアルすぎて震えた。
大人になっても大切なスマホゲームを失ったために犯罪に手を出してしまうという、これもまたリアルで現代でもあり得る話だということに、こんなにも簡単に犯罪に足を踏み出してしまう、隣り合わせで生きているんだという事実に、見ていて胸が締め付けられるような苦しいお話ではあったが、この4話は全てナレーションだけで話が進むという表現の方法で、これがまた引き込まれる引き込まれる。

個人的には11話の「あの日に戻れたら」が一番胸にくるものがあった。
こちらも4話と同じく、ほとんどがナレーションのみで話が進む回。
後悔の描写がされているのだが、”あの時こうしていれば”という後悔と恐怖と罪悪感に支配されている部分がまたリアル。
事の大小や内容は違えど、そういった後悔や“あの時こうしていれば”という思いは少なくとも1度は体験したことがある感覚で、何とも言えない気持ちになった。
感情を持つ人間だからこそ、後悔も生まれる。それを可愛らしい動物が感情を持って表現しているというのが何とも面白い。

伏線は全て回収済み

見る前から「最後に伏線を全部回収する」ということだけは知っており、序盤からこれは後々どこかに繋がる伏線なんだろうと思考を巡らせながら見ていたが、最終話でぜー---んぶ回収され、回収を超えネタばらしといったような展開にそういうことだったの!!!と想像をはるかに超えた結末だった。
初めからそうだったのかと、思い返せば思い返すほど面白さが増す。
だから最後に伏線回収されるお話って面白い。
見終わってからもう一度初めから見ると、また新たな面白さがあるんだろうなぁと。

あなたの推しキャラは?

このオッドタクシー、感情移入をしてしまう場面が沢山あるため、きっと推しキャラが一人は出来ると思う。
私は“大門兄弟”だった。兄弟で警察官というキャラクターなのだが、声は芸人のミキのお二人がされておりリアルな兄弟。
これがまたお二人とも上手いのなんのって。
初めはミキのお二人だと分からないぐらい、普段の声の出し方とは違う声の演技に大拍手。お兄ちゃんの悪い感じと、弟の純粋で兄ちゃん大好きなあたりがとっても良かった。
最後は大門兄弟のシーンでしっかり泣いた。

一味違ったアニメ

オッドタクシーを見て、普段それほどない語彙力がさらに無くなるほど、言葉で表せない感情と思いで溢れて、ただ「すごい」としか言えないほど奥が深かった。
あんなにも複雑にさまざまな伏線をまき散らしているのに、最後にはスッと一つにまとまってしまう。
一つ一つの内容が自分の身近に存在する内容ばかりで、考えさせられるアニメだった。
アニメにも様々なジャンルがあるが、これまで出会ったことのない一味違ったアニメだったなと感じる。アニメという枠を超えて、もはやヒューマンドラマのような。大人が見るからこそ心に響くものがある、そんな作品。
ずっと気になっていたが、見てよかったなととても思う。


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