死にたくなったのでコメダ珈琲で夜遊びした話。

 水曜五限。他学科公開の授業を履修することにより、大学入学してから半年経って後期が始まった今、初めて対面で座学を受けることになる。小ホールに行くと多くの学生がいて、どこに座ればよいか悩んでいたら、手に持っていた紙に席順が書かれていたことが発覚。一番後ろのなくなってもわからないような端っこの席に座って授業が始まるのを待っていた。

 初回はガイダンスだったためすぐに終了し、その足で図書館へ向かった。夏休みの課題で出ていたレポート。明後日締め切りなのに何もやっていなくて焦る。図書館の閉館時間、七時直前に半ば強引に終わらせて帰宅。そこから本屋に行くことを決意。最寄駅には大きな本屋がなく、本が欲しくなったら必ず池袋まで買いに行く。

 九月半ばにもかかわらず長袖一枚では寒いことに気が付き、淡い茶色のチェックのワンピースに着替え、同じ系統の色の薄いロングコートを着る。このコート、見た目に合わずとにかく薄っぺらい。いつの時期に着ればよいかわからないほど見た目と暖かさが合っていない。見た目は暑そうに見えるかもしれないが、寒さ的には今日だ、と思い気にせずマンションのエレベーターに乗り込む。

 マンションの門を出た瞬間に、コートを着てきたことを後悔する。午後七時。半袖で歩いている人も大勢いる。すぐ人の目が気になってしまう私だが、今回は寒いから仕方がないと言い聞かせて、駅へ向かって歩く。

 電車に揺られ、池袋に着く。三省堂書店と、ジュンク堂書店がお気に入りで特にジュンク堂によく行く。先に三省堂に行ったが、ここで買ってジュンク堂にもっとよい本があったら勿体無い、と思い手に取った本を戻し、横断歩道を渡ってジュンク堂に入る。

 ここでは三冊の本を購入。三冊とも自殺に関連した話の本だ。検定の本を買いに行ったのに、自分の勉強の出来なさを痛感してしまうのが嫌だったので、検定の本を見ないふりしてレジへ向かった。きっとこの人は病んでいる。

 その後また三省堂の地下を通り、無印を通って地上に出る。無印を通って地上に出た私の狙いは完璧だった。出た扉の正面にコメダ珈琲がある。そこのコメダは行ったことがなかったが。感覚で出てみたら大正解。普段から常に金欠で、400円の学食が高いと言っている私が、迷わず吸い込まれる用に入店。この時点でもう正常な判断はできていない。

 席につきメニューを開く。ミックスサンドも良いな、いや、ハンバーガーも良いな、迷いながらできるだけ安いメニューを見る。ミックサンドにしよう、と思い店員さんを呼ぶベルを押したが、押した瞬間に全てどうでもう良くなって、期間限定のフルムーンバーガーを頼む。この時点で午後9時直前。

 半分にカットしてもらったハンバーガーを食べていると、お肉の中からかたーい筋が出てきて少し悲しんでいたら、さらに目玉焼きから卵の殻が発見される。噛んでから気がついたので諦めて一気に飲み込む。ついてないなぁと思いながら、さっき買ったODとリストカット、自殺についての本を読み進める。

 10時過ぎた頃に、期間限定のシロノワールを食べようと思いメニュー表を開く。このお得そうな飲み物セットにしようか、いや待て、考えろ。高い。いや、まあとりあえずシロノワールを頼むか、と思いベルを押す。するとまたどうでも良くなって結局飲み物セットを頼む。カフェインレスのホットコーヒーだ。夜眠れなくなるからと思い、カフェインレスを選んだのは妙に冷静だった。
 
 夜眠れなくなることよりも、夜10時過ぎにシロノワールを食べている方が問題だというのに。初めて外でホットコーヒー、しかもブラックを頼んだ。おいしい。極度の猫舌により熱いものを全力で避けてきたが、冷房で冷えた体にホットコーヒーが染み込む。そしてシロノワールを口に運ぶ。ソフトクリームの冷たさが体に染みる。何度かその戦いを続けた結果、シロノワールのソフトクリームの圧倒的勝利だった。


 普段早い時には8時台に布団に入る私が、10時半を過ぎてもまだ池袋のコメダにいる。親が聞いたら発狂して連れ戻されそうだ。死になくなってコメダに吸い込まれ、夜に罪深いフルムーンバーガーと、シロノワールを食す。だが私の夜遊びはこれだけでは終わらなかった。


 駅前のドンキホーテに行き、金木犀の入浴剤を買った。一回分150円のにするか、たくさんはいっている600円のにするか散々悩み、600円の方を購入。たまにの贅沢に、と思い家に帰って初めてお風呂にお湯を貯める。貯め方がわからず、うろちょろしながら様子を見ていたが無事にお湯が張る。

 さてと、入浴剤を入れようと思った時に気がついた。この大量に入ってるの2回分だって。嘘だろ?値段と一回に入れる量と色々とばぐってねえか?
 一回に150グラムも入れるのか?と思いながら適当に入れてたら、意外と良い感じになった。

 さてと、風呂に入ろうと思いキャミソールを脱ぐ。おっとここにもご飯がぱんっぱんにつまったお月様が!とかくだらないことを考え、入浴。5分でリタイアしたくなったところを、無理やり25分ほど入浴。少し気持ち悪くなる。
 そして現在に至る。明日休みなのが不幸中の幸い。このままオールしようかなと思いながらも、何のためにカフェインレスコーヒーを飲んだのかわからないので、大人しく眠ることにする。朝起きたら右手の親指の付け根に大きな青いアザができていたが、これはいつ作ったのだろうか。アザを優しく撫でながら、私は眠りにつくのだった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?