【連載小説】『小さな悲劇で満ちたこの世界で』 10. 藤原美
【これまでのお話】
プロローグ
1. 硝子のマリア像 2. 不器用な教え子
3. 弱い男
4. 都合のいい夫
5. 好奇心
6. 悲劇の未亡人
7. 刑事たち
8. 交わる運命
9. 未亡人の告白
10.藤原美羽
12月に入るとすぐ、城島から美羽の東京時代についてメールが来た。城島の警視庁のツテ、福島昭一からの報告が転載されていた。
美羽は、北海道釧路市の高校を卒業と同時に上京し、六本木に今もあるクラブ「ウィステリア」でホステスとして働き始めた。唯一の身寄りである祖