見出し画像

グリーンカーテンの異変

5月中旬頃、冬越しをした朝顔の蔓をグリーンカーテンに仕立てた
毎年のことだけれども軒下にネットを張る作業は命がけで今年は最後と毎回思う

でも、日を遮るように、二面の窓を朝顔でおおわれると、タープよりもずっと涼しくて窓からの景色もずっといい

葉っぱの裏側の景色が何でいいかって?
緑の重なりで出来るグラデーションが日差しに透けていい感じ
暑さを忘れさせてくれる

その緑の裏側から、ちょっとだけ街の景色を覗きこみ、人の気配を感じる
もちろん路地を歩く人は、誰一人としてわたしを気にしない
フェンスにとまる雀でさえわたしには気づかない

でも今年はちょっと変わった出来事があった
朝顔の蔓が上に登っていかないのだった
今年は、地面を張うまっすぐの紫色の蔓を、何本も誘引した

その蔓は伸びるのだが、ネットに絡まないで、まっすぐのまま下に垂れてしまうのだ
上の方になると手も届かず「しょうがないなあ」 と言いながら私はその蔓の先っぽを、 ネットの隙間に 投げ込むのだった
 
それでも 7月の初めには見事に青い朝顔が咲き、わたしを癒してくれる
朝に青い花が咲き、日中はピンクに変わる
その花の名前は《西洋朝顔》
もう10年近く冬越しをしながら、日差しを遮る大役を果たしてくれている

そんななかで初めての異変だった。葉っぱの裏側からまた「もうしょうがないなあ、この子たちは…」と言いながら垂れ下がったまま、ネットに絡もうとしない蔓を、上へ上へとネットに絡ませるのだった






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?