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【ライブレポ】IO@Billboard YOKOHAMA

IOワンマン@Billboard YOKOHAMAに参戦。
S席のかなり見やすいところで見れた。
大阪、横浜、東京と3会場それぞれ2回転やるBillboardツアーの2会場目横浜での2回転目。

前回の滅茶苦茶良かったZepp Diver Cityでのワンマン以降イベントやクラブでのライブは何回か見つつも、ワンマンは数カ月ぶりだったので、今回はどのような世界観を見せてもらえるのかと期待を持ちつつ参戦。

会場がビルボードということもあり、セットはシンプルな生バンドのみで、演出も客演もそこそこに抑え、シンプルに音楽の良さを楽しむような作りだった。

全体的な感想で言うと、微妙。
普通に音楽としての完成度が低く感じ、世界観を研ぎ澄ませたいのか、シンプルな音楽の楽しさを全面に出したいのかアンバランスな印象を受けた。

ノー グルーヴ

前提としてIOのライブは今のシーンにおいてかなりクオリティ高いと思う。
安易な盛り上げに走らずにきちんと自分がアーティストとして表現したいものを軸に置いて拡大するファンに媚びることなく「表現」をライブでもしている。
なので、相対的な基準で言えば滅茶苦茶悪いライブではなかったが、前回のZeppでのワンマンを見てしまうと、超微妙な出来だったなという感想になる。

バチバチにカッコいい世界観をキメたいのか、シンプルに音楽を楽しんで欲しいのかの軸があまり見えないライブだったのと、生バンドの圧倒的なグルーヴにIOが全くノれていなかったのが大きかった。

特にバンドがバチバチに良かっただけに、IOのノれていなさが浮き彫りになり辛かった。
生演奏ということを生かして原曲とピッチを変えた曲が多かったんだが、原曲より速いテンポのものは全部リリックをなぞっているだけで、バンドとの一体感が全然出ていなかった。『Tokyo Freeway』とか酷いもんである。
バンドのグルーヴがバチバチであればあるほどIOのリリックなぞるだけのラップが上滑りしていた。
IOのこだわりが300%炸裂しすぎた結果、時代の先を行き過ぎて俺が解釈しきれていないだけなのか?とも思ったりしたがシンプルにクオリティが微妙だったとしか思えない。

一方でピッチを落とした『6 In Da Morining』やロックテイストで激しい曲調にした『左利きのBenz』などはそこそこ良かった。そこそこ程度だが。
全部あれくらいのクオリティであれば良いライブだったという感想になった気はする。

これが今回の最初の会場である大阪での公演だったらまだわかるのだが、俺が行ったのは横浜の2回転目なので4公演目である。それでこの完成度どうなんだ?
もちろんライブは水物なので、この公演が一番調子悪かったという可能性もある。が、下振れにしたってデカすぎない?と言わざるを得ないクオリティ。

外部要因をコントロールしてこその一流

根本的なライブのクオリティはあるとして、それ以外の面でも粗、というかちぐはぐさを感じた。ライブが没入できるクオリティでなかっただけにより世界観のブレが余計目に付いた。

第一の外部要因は客。
会場の雰囲気やIO自身はスーツでバチバチに決まっている一方、服装指定もなかったので、客側はジャケットキメキメから半袖短パンまで様々。
洗練されたステージや会場であればあるほど、客の格好の歪さは悪目立ちする。

また、撮影可能ということで大半の客は大人しくスマホ構えてたのだが、一部にはあまりにも撮影が忙しなさ過ぎて、どうしても視界に入り、ライブのノイズになっていた。

ビルボードは一番近いアリーナシートの場合、客の頭がアーティストの脛~膝くらいの位置にあるため、普通のライブに比べてだいぶ視線が低くなる。つまり他の客が超視界に入る。
普段の頭と手くらいしか他の客なんて目に入らない会場であれば客がどんな格好していようが、どんな写真の撮り方していようが気にならなかっただろうが、ビルボードはそうではなかった。

とはいえ客に罪はなく、服装指定はないし、撮影もOK、普段はビルボードとかではなくライブハウスやクラブでライブを見ている層からしたら、ストリートスタイルで来て、写真動画撮りまくるのが日常であり、アーティスト側がコントロールしなければそうなるのは必然なのだ。

そういった客に任せていたらカオスになり、世界観が損なわれるからこそ、高級飲食店にはドレスコードがあるし、クラシックコンサートやバレエの公演では拍手をして良いタイミングすら厳格に決まっているのだ。
アーティストだけが気取っても限界がある領域というのは確実に存在するのである。
もちろんヒップホップやポップミュージックはそういった堅苦しい部分のなさが魅力なのだろうが、今回はIOがキメキメさやステージの洗練度が客のカオスさを浮き彫りしていた以上、IOのキメ方は独りよがりの自己満足と言わざるを得ない。

そして第二の外部要因はビルボードライブ自体である。
なんというか見てくれはオシャレなのに中身が安っぽい。
内装やステージの雰囲気はおしゃれ。スタッフも恰好ビシッとしてる。
ただ、飯も酒も器もTGIフライデーズか?みたいなクオリティだった。
青山のBlue Noteも素晴らしいクオリティとは言えないがあっちの方がまだマシ。会場は立派なのにテーブルの上にあるものフライデーズ。ハイボールとかジョッキで出てきた。かっこいいエントランスにダッサい法人会員のご案内というカラオケみたいな看板出てた。
コンセプトと内装だけ気合い入れて、運営がどうしようもないんだろうな。

というわけでIO自身が恰好を決めているだけに他の粗が目立ち、結果としてなんか背伸びしたお遊戯会感が強かった。ステージだけ見るとかっこいいんだが視界の端に入るものすべてが微妙という。
もはやIOもあそこまでバチバチに決めたスーツじゃない方が違和感は少なかったと思う。

結局はライブのクオリティ

世界観の違和がー、視界の端に入るものがーとかウダウダ書いたけど、結局視界の端に入るものに意識が持ってかれてしまうようなライブのクオリティが根本的な問題。
客の服装がどうだろうが、テーブルの上でフライデーズ始まってようがライブのクオリティが圧倒的であれば特に気にならなかった。

マジで今回の何だったんだろうな。
バンドのクオリティは本当にすごい高くて、一曲だけやったゲストのSMOKE OGとか滅茶苦茶良かった。ずっとバンドとSMOKE OGでリハしてIOは当日飛び乗りだった?

IOならヒップホップのままで洗練されたステージも出来るはずで、本人もそう思ったから今回のキメキメビルボードをやろうと思ったんだろうけど、凝りすぎたのか準備不足なのか今回は洗練させようという気概だけが前に出て、クオリティはついてこなかった。その結果として外部要因も目につきやすく、より世界観の粗が目立った。

今回一発で「もうIOのライブはいいわ」とは全然ならないけど、「こういうライブをする人なんだ」という評価にはなるよね。アーティストは平均値も最高値も最低値も全部問われている。今までが良かっただけに今回は最低値更新。

東京公演には行けないのでとりあえず次回のワンマンに期待かな。早くやってくれ。以上。

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