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【ライブレポ】BAD HOP THE FINAL

BAD HOP解散ライブ@東京ドーム 2/19参戦。
まさかの中央付近2列目。最近全ての幸運をライブの席に使ってしまっている気がする。

俺はバドホ解散ライブの前日に投稿したnoteで、「人気が人気を呼ぶ形で上がり続けた彼らの真価が解散ライブでこそ問われる。ただ豊洲PITですらロックできない奴等が東京ドームをロックするのは無理な気がする」みたいなことをざっくり言えば書いた。

で、東京ドーム見た結論、
すみませんでした!!!!!!!

凄かったです東京ドーム。あれを斜に構えて微妙だったという気には全くならない。マジで走り抜けたBAD HOPのフィナーレとして素晴らしい景色でした。

最早クオリティの問題ではない

自分のバースをラップしきれないみたいな粗がないライブだったのかで言うと、相変わらず超あった。
指摘すればキリがない。SuperCar→SuperCar2の繋ぎとか普通に大失敗して、YZERRの曲以外での第一声がなんかクソしょーもないことになってたし、Benjazzyは相変わらず早口するけどバース蹴りきれてないし、ANARCHYは珍しくショボいし、Zeebraとの曲のT-Pablowの被せの音デカすぎるし、実力不足の客演は冷めるし。

ただ、東京ドームという圧倒的な空間でバイブス全開のバドホとそれに呼応する観客の景色は他のライブではありえない迫力だったわ。

結局のところ、BAD HOPというグループ自体が川崎South SideというGhetto(自称)から成り上がっていくストーリーを楽しむコンテンツであり、曲やライブはその構成要素に過ぎないのだなと思った。

デカい会場を埋めるという形でその成り上がりの到達度を示し、コラボを続けながら自分たちのプロップスを高め、そしてまたデカい会場を埋める。
今回の東京ドームについてもオープニングムービーからして、如何に会場がデカくなっていったかにフォーカスされていたし、ラストアルバムの一曲目が『TOKYO DOME CYPHER』である。普通ラストアルバムにライブ会場名入れないだろ、しかもそれが一曲目。

今回の東京ドームはそのデカい会場埋める成り上がりストーリーのフィナーレとして素晴らしかった。

アーティストとしてのクオリティは構成要素でしかなくて、ストーリーで人気を獲得していくやり方がどうなのかってのはある。
正味AKB48とかのアイドルとやってること一緒だしな。曲、パフォーマンスのクオリティはそこそこで、ストーリーとキャラが魅力みたいな。
ただそれを自前で描いて、アイドルよりは濃厚な曲とストーリーを0から作り上げたのは凄いし、それで多くの人に感動を与えてるならエンタメとして成立してる。俺は普通にアイドルのそういうストーリーが好きだ。だから今回のドームも良かった。

ドーム、ヘッズ、バイブス

まず今回のライブで絶対的に良かったのはドームってドデカイ会場にパンパンに詰め込まれたヘッズ。俺はアリーナで見てたわけだが、もうオープニングの時点で、後ろからの歓声が襲いかかってくる感じ、地響きにも感じるような歓声の波。これはKANDYTOWNの武道館でも感じたけど、解散ライブってのは客側も「楽しくノれれば良いな~」とかじゃなくて、「まじで歴史を見に来た」みたいな緊張感があって、歓声も普段より重い。それがあの人数でドームを埋め尽くす、オープニングでそれを聴いた時点で「あ、これはやばいものが始まるかもしれない」と感じた。

BAD HOPも解散ライブで、東京ドームという大舞台で、最初から気合は入っていただろうけど、そのヘッズの熱を受けて、よりバイブス全開。元々の曲のクオリティやスキルは一定あるから、バイブスが乗っかると流石に響くものがあった。Barkとか特に良かった(普段比)。
普段よりもバイブスが乗っかってるだけで解散ライブとしての世界観が濃厚になって、凝らなくてもライブとしての完成度高まってた。

CITTAのライブでは『CALLIN'』や『High Land』みたいな客が歌える曲ばっか盛り上がってなんなんだと思ったけど、そのあたりもやりつつ、初期のBAD HOPの価値観を分かりやすく示した『Mobb Life』や『Chain Gang』も押さえ、明確に自分たちの成り上がりやシーンに見せたい光景を語った『Hood Gospel』『Bayside Dream』あたりに重点を置いて後半畳み掛けていたことも良かった。ちゃんと解散ライブというコンセプトが軽いパーティーにならずに、バドホのフィナーレとしての重さを与えてた。

演出も派手さはありつつノイズにはならずに、最後まで疾走感を持って、多少熱が冷めるような曲はあれど、致命的なところまでは冷めきらずに、カマすべき曲でカマして、疾走感を保って最後の『Kawasaki Drift』まで持って行ってた。

客演は添え物

これは明確に良かった。あれだけ客演がバンバン登場しながら、主軸はバドホであり続けて、バドホのライブに客演が華を添える形であり続けた。

YZERRのビジョンとして、自分たちが先頭でマーケットを切り開いて、そこにHIPHOPの仲間をHook Upしていくのは明確にあったから、そのビジョンを体現する形としてフィナーレにバンバン客演呼んで、東京ドームに多くのラッパーが立っているという景色は良かった。

まーただ客演ラッシュあるあるですがやっぱりカマしてるやつとそうじゃない奴の差が明確すぎて笑。
今回はなんかベテラン勢微妙だったわ、漢もD.OもANARCHYも全然ダメ。頑張ってはいたけどダメ。
あとJakeの登場にはぶち上がったけど、なんだあれ、ちゃんと歌えや。いつもみたいに飛び跳ねながら叫んでるタイプの曲でもないのになんで最後まで歌えねえんだ。バドホの解散ライブだぞ、人様の人生で最も大切かもしれない瞬間にやってきて、適当なパフォーマンスするってなんだよクソが。Yellow Bucksもなんかバイブス乗り切ってなかった。

MaRI、IO、C.O.S.A.が良かった。自分のスタイルをあれだけの大舞台でしっかり示してた。この3人に関しては元々の参加曲が良いってのもある。

ZeebraとAKはバドホのエゴな気がする。憧れた人や世話になった人を最後大舞台に立たせて一緒にやりたいっていう。AKは成り上がりストーリーテラーとしては先輩だけど、規模的には超えちゃったバドホが東京ドーム連れてきても、「まあ、はあ」って感じ。Zeebraは直近がフェイク過ぎて普通に見てられない。リリックも直接的すぎ、MCバトルの見過ぎじゃねえの。デリバリーだけは相変わらず良いので、一応のクオリティはあるけど、俺は冷めきってた。

最強の売り抜け

そんな一部の客演や粗なんてのは吹き飛ぶレベルで、トータル良かった。
最高の舞台で圧倒的な盛り上がりとバイブスと豪華な客演で、BAD HOPは最強のエンディングを迎えたなと。エンディングの出来としてはこれ以上ないんじゃないか。
YZERRは天才マーケターと思ってたけど、天才トレーダーでもあるわ。BAD HOPの価値を最高値に押し上げて、そこで売り抜け。

結局のところ彼らの創作衝動というのは成り上がりたい、成り上がってこのクソみたいな生活環境から抜け出したいというところに集約されて、そしてそれを日本で実現するためには曲のクオリティを追求するんじゃなくて、ストーリーを練り上げるマーケティングしかないということをYZERRが理解していたんだろうな。それをFAKEと見るのか、REALと見るのかは人次第。
『BAD HOP HOUSE』より後のアルバム・EPが微妙になり、Zepp程度の自分たちのストーリーの価値を高めない会場でのライブにバイブスが乗り切っていないのはもったいないなとは思うが、成り上がりストーリーにフォーカスしたらそうなるのは必然。そしてフォーカスしたからこその今回の東京ドームの景色。BAD HOPが作り上げた作品はそれまでの曲ではなく究極今回の景色なんだったと思う。

まあBAD HOPがわかりやすくそこをやったわけだから、他のアーティストは当分いらないけどね。5年に1組くらいでも十分すぎるわ。

本当に壮大な会場で、沸きに沸く観客で、圧倒的なバイブスで素晴らしいフィナーレでした。

以上。

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