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競争戦略論[Ⅰ]を読む - ② 企業の「競争」とはなにか

さあ、水曜日だ。
水曜日は経営戦略について学ぶ日だ。

先週からマイケル・ポーター著「競争戦略論」を読み始めている。ボクの気づきや思考を盛り込みながら、またあちこちに寄り道しながら、数週間かけて読み解いていこうと思っている。

ご興味おありの方はお付き合いいただけると幸いだ。


まず使われているワードを確認しよう

この「競争戦略論」でマイケル・ポーターは「戦略担当者」を対象として語りかけている。なんとなくスッと目に入ってきて、わかったような感じになりそうだったが、よく考えてみると、ボクは「戦略担当者」という肩書にあまり馴染みがない。

最もしっくりくる部署名はなんだろうと自問した結果、ここは「経営戦略部」としておくのがベターである気がしている。経営戦略部とは「企業の未来を見据えた中長期的なビジョンを定め、その達成のための戦略策定や実行管理を主導する部署。その業務範囲は、市場動向や競合他社、自社の情報を収集・分析し、その知見から経営目標や実行計画などの「経営戦略」を設計することなど」となる。

なるほど。
良さそうだ。

そして、使われている単語も確認しておきたい。
「戦略」とは、最終的な目標を達成するための計画だ。そして「ビジョン」とは企業や組織の中長期的な目標を表す言葉で、ミッションを実現するために、その企業や組織がどのような姿であるべきか、どのような考え方をするべきかを明文化するものだ。ちなみに「ミッション」は、企業や組織が社会に対して果たすべき使命や存在意義を明文化したものだ。そして「中長期」とは、概ね3~5年くらいの期間を指す。


さて、本文に入ろう。

「競争」とはなにか

この本の第1部 第1章は「戦略担当者の仕事は、突き詰めれば、競争を理解し、競争に対処することである。」という一文から始まる。

戦略担当者(つまり、中長期のビジョンを定めて、そのビジョンの達成のために実行管理をする人たち)は、いま直接対峙している企業(つまり、自社と立ち位置や規模感の近い競合他社)との間で起こっていること(つまり、売上シェアの奪い合い)だけを競争とみなしてしまう傾向がある。

しかし、なんのために経営戦略を策定して、それを実行させなければならないかというと、それはその企業の収益性を高めるためだ。つまり「その企業が属している業界の平均的な収益性がどのくらいであって、その平均値に対して自社がどのくらいの位置にいるのか」が、戦略担当者が理解しなければならない「競争」である。

どうやって「収益性」を計測するか

マイケル・ポーターは「ROIC(投下資本利益率)」で収益性を計測するのが適切だと説いている。ROICは企業と債権者(銀行など)から調達したお金に対して、どれだけ効率的に利益をあげることができたかを測定する財務指標であり、税引後営業利益÷投下資本(投下資本 = 有利子負債+株主資本)で計算する。ROICを指標とするメリットは、企業の規模感や業界による税率の違いによる偏差を抑えることができることである。

そう、業界の平均ROICに対して、自社のROICが上回っているのか、下回っているのか、下回っているならどのようにして平均まで(もしくは平均以上に)ROICを引き上げることができるかを、中長期で考えることが企業の「競争」だ。

参照元: https://doda.jp/companyinfo/contents/finance/016.html

競争を左右する「5つの要因」

戦略担当者が認識しなければならない「競争」を、業界の中で自社の収益率の順位を引き上げていく行為と定義するならば、以下の5つの競争要因を知らなければならない。

1. 同業界の中の他社の動向
2. 自社や自業界に対する顧客の交渉力
3. 自社や自業界に対するサプライヤーの交渉力
4. 将来的に参入してくるかもしれない新規の同業他社
5. 自社製品の代替となる新製品や新サービスの参入

業界の基本構造が競争と収益性を決める。
その業界が、製造業かサービス業か、新興業界か成熟業界か、ハイテクかローテクか、規制が厳しいか緩やかか、などは全く関係なく、中長期的な収益性を決定づけるのは「業界構造」なのである。

では来週以降、上で挙げた「5つの競争要因」について細かく解説していこうと思う。


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