孫子の兵法について学ぼう - 軍形篇~兵勢篇
さあ、水曜日だ。
水曜日は「孫子の兵法」について書いていく。
このシリーズはかなりボクの思考のバイアスがかかったことを書きそうだ。…っていうか、前回「作戦篇~謀攻篇」について書いたが、かなりボクのアレンジが加わった内容になったと思っている。
が、引き続き暖かい目で読んでいただけると幸いだ。
4. 軍形篇 - 勝つための態勢の整え方
「先ず勝つべからざるを為して、以って敵の勝つべきを待つ」
- 勝つためにまずやるべきことは、負けないための準備だ。
孫子が書かれたのが今から2500年くらい前の話だが、当時は戦略なんてものはあんまり考えられてなく、比較的行き当たりばったりで戦っていたんじゃないかと思う。当時の戦はトーナメント式だ。負けたらそこで終わり。再挑戦は無いも同然。勝ち続けてこそ意義がある。
現代のビジネスに置き換えると…
まあ、負けたからと言って命まで獲られるわけじゃないし、再挑戦ができないわけでもない。とはいえタイムロスは大きい。起業して失敗すると、態勢を立て直すのに少なくとも5年はかかる。そうしているうちに歳を取ってしまってチャンスを逃してしまったり、モチベーションが維持できなかったりするものだ。
やはり、負けないに越したことはない。
孫武は、まず態勢を整えることを優先せよと説いている。
「善く戦う者は、勝ち易きに勝つ者なり。故に善く戦う者の勝つや、智名なく、勇功なし」
- 戦が上手な人は、無理しないで自然に勝つ。だからその人の智力や勇敢さが他人から賞賛されないことが多い。
そう、本当に優秀な人は他人から評価されないことが多い。
なぜかというと、本当に優秀な人は、ほかの人が必死になってやることを、平気な顔をしてこなしてしまうからだ。場合によっては、自分のやっていることがすごいことだと自分自身で気づいてないこともある。だけど、わかる人にはわかる。特に部下だ。(上司は、将来的に自分の地位を脅かす存在になるリスクを感じて、アピールしないことをこれ幸いと自分の手柄にしてしまうことも多いと思っている。)
「勝兵は先ず勝ちて而る後に戦いを求め、敗兵は先ず戦いて而る後に勝ちを求む」
- 勝てる戦は、まず勝てる態勢を整えてから戦いに行く。だが負ける戦は、まず戦ってから、どうすれば勝てるか考えるものだ。
カッとなったり、その場の勢いに流されたりするな。
普段から味方になる人を増やし、仲間づくりを進めておけ。
近視眼的にならず、視野を広くしておけ。
常に計画を立てる癖を付けろ。
…まあ、そんなところだろうか。
きっと優秀な人は言われなくてもできているはずだ。
そうだよ。
やはり、普段からリスペクトされる存在であり、多くの人から信頼される存在になっておく必要があるということだ。さもないと、いざ戦わなければならなくなったときに、戦いを有利に進めることができなくなる=負ける可能性が高くなるのだ。
5. 兵勢篇 - 勢いに乗ることの重要性
兵勢篇で孫武が述べていることは「奇正」の運用、つまり奇策と正攻法の組み合わせで勢いを作り、その勢いに乗じて戦うことだ。
「戦勢は奇正に過ぎざるも、奇正の変は勝げて窮むべからず」
戦は「奇」と「正」の組み合わせで、変幻自在に戦うべきである。
だが、孫武はこうも言っている。
「衆を闘わしむること寡を闘わしむる如くなるは、形名これなり」
- 大人数の部隊を小部隊のように戦わせるためには、指揮命令系統を確立させなければならない。
「治乱は数なり、勇怯は勢なり、彊弱は形なり」
- 自軍が混乱するかしないかは「数(統率力)」で決まり、自軍がおじけづくかどうかは「勢(勢い)」で決まり、自軍が弱気になるかどうかは「形(態勢)」によって決まる。
さて、長くなってしまったが、まとめてみよう。
普段は自然体でいて、正攻法と奇策の両方をよく勉強しておく。
周囲からリスペクトされる存在になっておく。
いざというときは、正攻法と奇策の両方をうまく使って勢いに乗る。
そして自軍を混乱させないよう、しっかりと統率する。
…このあたりが、軍形篇~兵勢篇で書いてあることだろう。
では、来週は具体的な考え方について書いていこう。
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