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マシュー・サイド著「失敗の科学」を読み解く - ③仮説を正しく検証するためのマインドセット

さあ、木曜日だ。
木曜日は、マシュー・サイドの「失敗の科学」を読み解いていこうと思っている。ボクはこの本をまだ読んだことがないので、解説というよりは「リアルタイム感想文+ボクの思考」という内容になって行くだろうと思っている。


2種類の失敗

この本を読んていて、ふと思ったことがある。
それは、失敗には2つの種類があるのではないかということだ。

ひとつは、ある手順を教えられたものの、定められた通りの手順で実行することができなかったもの。もうひとつは、自分の信念や経験に基づいて行動や判断をしたものの、その行動や判断が悪い結果を生んでしまったもの、だ。

ひとつめの失敗は受け入れやすい。
その手順は、その人の信念や経験に基づいたものではなく、誰かに教えられただけのものだ。その手順を正しく理解していなかったり、うろ覚えのまま実行したことが失敗の原因だと本人も理解し、次はそこに注意しようと思うはずだ。それは単純な「ミス」である。

しかし、自分の信念や経験に基づいた行動や判断が悪い結果を生んでしまった場合、つまり「自分の信念と相反する事実を突きつけられた」場合、人は自分の過ちを認めるよりも、事実の解釈を変えてしまう傾向がある。人は誰でも自分の信念が間違っていたと認めるのが怖い。なので(無意識のうちに)その間違っていたという事実を無視したり、忘れ去ったりする。

人の記憶は信頼できない

記憶は脳全体に分散するシステムで、あらゆる種類のバイアスの下にある。そして様々な外的影響を受けやすい。往々にして、人の記憶はその人の全く別々の経験の一部分をかき集めて、一つの出来事に編集していることが多いのだ。

会社の運営において、しばしば「仮説を立てて検証する」ことが重要だと言われる。その仮説は誰か(概ねその組織のエライ人である場合が多い)の経験に基づいて立てられ、さらにその人の信念が大きく反映されている場合が多い。その仮説になんらかの不具合が見つかったとき、健全な検証ができなくなってしまう場合がある。

仮説を正しく検証するためのマインドセット

そこで発生するのが「認知的不協和」だ。
認知的不協和とは、自分の信念と事実が矛盾しているとき状態、あるいはその矛盾によって生じる不快感やストレスのことを指す。そうすると、人はその認知的不協和を解消するために、認知に修正を加えて事実を正当化しようとする。その結果として、正しいことがわかっている事実の検証に時間をかけ、無意識のうちにバイアスがかかった検証結果を導き出してしまう。

重要なのはマインドセットだ。
自分の仮説に溺れず、健全な反証を行うことができなければならない。自分の信念や経験が、自分の仮説の検証を妨げるようなことがあってはならない。わかっていることの検証よりも、まだわかってないことを見つけ出す作業を優先しなければならない。

しかし、そこに「認知的不協和」が存在するのだ。
なので、認知的不協和を乗り越えて、健全な反証を実現するための「システム」が必要になる。

(続きはまた来週)

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