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孫子の兵法について学ぼう - 地形篇~九地篇

さあ、水曜日だ。
水曜日は「孫子の兵法」について書いていく。

このシリーズはかなりボクの思考のバイアスがかかったことを書きそうだ。…っていうか、前回「九変篇~行軍篇」について書いたが、かなりボクのアレンジが加わった内容になったと思っている。

引き続き暖かい目で読んでいただけると幸いだ。


10. 地形篇 - 自分の立場と責任感

地形篇にはそのタイトル通り、戦争を有利に進めるための陣地を置くべき6種類の地形、そして敗北を招く6つの状態について書かれている。しかし、これらの内容は現代の日本にしっくりくるようなものではないと判断して、ごっそりカットすることとする。もし気になる方がいらっしゃったら、ご自身でググってみていただきたい。
まあ、孫武自身も「地形は勝利を勝ち取るための補助的な条件だ」って言ってるしな。

しかし、孫武は「その土地の険しさや敵との距離などを睨みながら、戦略を策定するのが将帥の役割だ」と、リーダーの重要性について説いているので、そのあたりは紹介しておこう。
「敵の撃つべきを知り、吾が卒の以って撃つべきを知るも、地形の以って戦うべからざるを知らざるは、勝の半ばなり。故に兵を知るものは、動いて迷わず、挙げて窮せず。故に曰く、彼を知り己を知れば、勝、乃ち殆うからず、天を知りて地を知れば、勝、乃ち窮まらず。」
- 敵の戦力、味方の実力を十分に把握していても、地の利が悪いことに気づかなければ、勝敗は五分五分になる。戦の上手な者は、敵・味方・地形の3つを十分に把握している者であり、そういった人物がリーダーであれば勝負に負けることはない。

また、こんなことも書かれている。
「卒を視ること嬰児の如し、故にこれと深谿に赴くべし」
- リーダーは自分の(小さな)子供のように部下を愛さなければならない。そうすることによって、部下はたとえ深い谷底であっても行動を共にしてくれるのだ。

11. 九地篇 - ケースバイケースで戦法を変える

孫武は戦場となる地の性格について、9つの分類をしている。
これに関してもキングダムの世界のお話なので、現代の日本にフィットするものではない。とはいえ、参考になる部分はあるのでピックアップしておこう。

孫子曰く、兵を用いるの法に、散地有り、軽地有り、争地有り、交地有り、衢地有り、重地有り、圮地有り、囲地有り、死地有り。諸侯自らその地に戦うを散地となす。人の地に入りて深からざる者を軽地となす。我得れば則ち利あり、彼得るもまた利ある者を争地となす。我以って往くべく、彼以って来たるべき者を交地となす。諸侯の地に三属し、先に至れば天下の衆を得べき者を衢地となす。人の地に入ること深く、城邑を背にすること多き者を重地となす。山林、険阻、沮沢、およそ行き難きの道を行く者を圮地となす。由りて入る所の者搤く、従りて帰る所の者迀にして、彼寡にして以って吾が衆を撃つべき者を囲地となす。疾く戦えば則ち存し、疾く戦わざれば則ち亡ぶ者を死地となす。この故に散地には則ち戦うことなかれ。軽地には則ち止まることなかれ。争地には則ち攻むることなかれ。交地には則ち絶つことなかれ。衢地には則ち交わりを合す。重地には則ち掠む。圮地には則ち行く。囲地には則ち謀る。死地には則ち戦う。

これを現代語にまとめるとこんな感じだろうか。

散地 - 自国の領内での戦い
 →自エリアでは敵と戦うな。勝ちよりも追い払う方を選択する。
軽地 - 他国に攻め入ってまだそれほど深く進攻していない場所
 →立ち止まらず、先に進むことを優先する。
争地 - 敵味方のどちらかが奪取すると有利になる場所
 →攻めるよりも守りを固める。
交地 - 敵味方いずれもまだ侵攻していない場所
 →個々が密に連携が取れるようにする。
衢地 - 諸外国と隣接し、他からの応援を得やすい場所 
 →他社から支持や支援を取り付けておく。
重地 - 敵地の中心部に近い場所
 →トラップを仕掛けられないよう素早く通り抜ける。
圮地 - 険しい山林や沼地など行軍の困難な場所
 →物資を無駄遣いしないようさっさと進む。
囲地 - 侵攻路が狭く、敵は少数で待ち構えることができ、退路のない場所
 →敵を欺く策略が必要。
死地 - 速やかに勇戦しなければ生き残れない場所
 →生き残るためにひたすら突撃する。

また孫武はこうも説いている。
「軍に将たることは、静以って幽、正以って治。よく士卒の耳目を愚にして、これをして知ることなからしむ。その事を易え、其の謀を革めて、人をして識ることなからしむ。その居を易え、その途を迂にして、人をして、慮ることを得ざらしむ。帥いてこれと期するや、高きに登りて其の梯を去るがごとし、帥いてこれと深く諸侯の地に入りて、その機を発するや、舟を焚き釜を破りて、群羊を駆るがごとし。駆られて往き、駆られて来たるも、之く所を知るなし。三軍の衆を聚めてこれを険に投ずるは、これ軍に将たるの事と謂うなり。九地の変、屈伸の利、人情の理、察せざるべからず。

ここはかなり意訳させていただこう。
リーダーは、常に平静を保ちつつ、内面では周囲から窺い知れないほど奥深い思考をしなければならない。そして、その思考をもって常に公正で的確な判断をしなければ組織をまとめることはできない。社内ではいろいろな施策を打ってチームメンバーが離脱しないようエンゲージメントを高めることが重要だ。リーダーの考えていることが浅薄では、部下はリーダーの考えていることを先読みしてしまい、先読みされるようなリーダーは信頼を得ることができない。

経営者は孤独なものだ。
部下は往々にして不平不満を言うが、経営者を褒めてくれることはない。それでも会社を守っていくのは経営者しかいないのだ。

(続きはまた来週)


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