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AT小型限定・一本橋攻略について

 現在、AT小型限定二輪免許に挑戦中の私ですが、教習の初日に、いきなり一本橋で大転倒をかましました。

 一本橋というのは、高さ5cm、幅30cm、長さ15mの平均台だと想像してください。その細く長い橋を、バイクで脱輪せずに渡る課題です。
 転倒の瞬間は覚えてないんですが、たぶん、こんな感じ。
 橋に乗るときにアクセルとブレーキの調整が出来ず、前輪がウィリーして、脱輪して、アクセル握ったままバイクと倒れ、ヴォーンと一緒に路上を転がり走った感じです。自分で書いていて、ひどいと思う!
 自分のけがはともかくバイクが心配で、私の脳裏によぎったのは、「やばい。教習所をクビになる!」でした。

 私はすぐさま立ち上がりました。全身が痛いですが、教習所をクビになりたくありません。
 「全然大丈夫ですっ!」と言って、起こしてもらったバイクに再びまたがりました。
 が、その日はもう慣らし運転だけで終わることになりました。
 先生がなんとも言えない目で見ていたので、全身がひどい状況なんだろうなと思いましたが、「大丈夫です!」「痛くないです!」「平気であります!」などと繰り返しました。新兵か、私は。

 教習が終わって、トイレに入って自分の姿を見たら、あまりの恐ろしさに、「この格好で自転車に乗って家まで帰る」間に、知り合いには絶対会いませんようにと祈りました。
 頬は殴られた後みたいに青くなっていて、長袖の綿のトレーナーの上腕部分と、長ズボンの太もものあたりはビリビリに裂けていて、そこから真っ赤な傷口が露出しています。擦り傷というより、火傷に近い状態です。路面とかなり擦ったんでしょうね。
 もちろんヘルメットとプロテクターがあったから、この程度で済んでいるのですが、ヘルメットが無かったら、命がなかったかもしれないので。ヘルメット大事。

 ケガは自力で治しました。
 打ち身は湿布を六時間ごとに交換して、擦過傷は水で洗って一番でかい絆創膏を貼りました。傷を水で洗う時が一番痛かったです。
 よく武芸の達人が、傷口を化膿しないよう火で焼いた刃で消毒する時に、自ら猿ぐつわで声を殺すとかするじゃないですか。あんな感じで、タオルを噛んで「ぐわーっ」と言いたいのを耐えました。

 真面目に湿布と絆創膏をこまめに変えていたので、打ち身は一週間で完治、火傷の方は絆創膏だけではなかなか治らない。ワセリンを塗ることを思いつき、三週間後にはほぼ完治。
 骨までいってなかったのがよかった。

 大失敗から、すごく一本橋の攻略について検索しました。
 動画とか知恵袋とかにアドバイスがあるんですが、
「時間は気にせず、とにかくアクセルをふかして、走り抜けろ」と書かれている方が多くて。
 アクセルをふかしすぎて転倒した私には、そのアドバイスが刺さらないのです。いや、アクセル怖いよ怖い。ウィリー怖いよ。

 一番刺さったのは、動画で見た、
「アクセルは上げたまま。最初にしっかりブレーキを握っておく。そのブレーキを徐々に緩めていく」
 というブレーキを主役にした(結果的にアクセルが効く)アドバイスでした。さらに、同じ動画の方だったか、
「足はできるだけ速く、路上からバイクに移動する」
 これも刺さりました。足がふらふらしていたらバランス悪いですもんね。
 この二点を覚えただけで、5回の練習で2回、成功するようになりました。最初に成功したときは、教習中にガッツポーズしましたわ。でも、ほかの教習生の方も「気持ちはわかります」と言ってくれた。
 みんな一本橋で苦労してるのがわかって、すごく気が楽になりましたよ。

 私が一番、成功率を上げたのは、一本橋前の停止線で、体の中心とバイクの中心と、一本橋の中心を、一直線上にするよう確認してからスタートする。これ!
 この動作自体もそうですが、しゅっと出発しないで、停止線で一旦集中を高めるのが、私には向いていたようです。
 これで5回の練習で4回まで出来るようになりました。

 さらに、あまり車の来ない道で、自転車で白線の上をひたすら走る練習。
 家の中では片足立ち。ヨガなんかのバランスポーズ。
 バランス感覚を鍛えるような運動を、毎日15分は自分に課した。この地道な運動が、徐々に効いてくるのがわかったので、おすすめします。
 今は95%くらいの割合で成功します。
 ごくたまに、開始前に余計なこと考えて、ブレーキを緩める動作への集中が切れた時に(アクセルよりブレーキが効きすぎて)、失敗してしまうけど。

 でも、実際に一本橋みたいなシチュエーションってあるんですかね?
 バイクの技能の達人みたいな人が決めた課題だから? 実際の道路にああいう場所があるのか、ちょっとよくわからない。
 私ですら、補習の連続にはなったけど、一か月でだいたいクリア出来るようになったんだから、みんな最終的にはちゃんと出来るんだけど、あの最初の恐怖感というか脱輪や転倒のトラウマは、本当に必要なものなのか、疑問ではあります。

 前回書き忘れたけど、橋の恐怖で有名な例は、カイジがありましたね。
 鉄骨渡りだっけ。あれは怖かったな。

 世の中のバイク乗りさんは、みんなあの一本橋の恐怖をクリアしたんだな、と思うと、そりゃ「ヤエー」(通りすがりの挨拶サイン)もするわ。
 なんだか少し、ライダーさんたちが同じライダーさんに持つ親近感の意味がわかった気になりました。


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