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研修報告書をChatGPTで書いてみた

テクニカルトレーナーとして仕事をしていると必ずと言っていいほど遭遇するのが研修報告書を書いてくださいっていう依頼。
研修を依頼してくださった方に研修自体がどんな状況だったかを報告するために作成し提出するものなのですが、残念ながら報告書を提出すること自体が目的化していることが散見されます。

ある日の思い出
とある外資系ソフトウェアベンダーの製品研修ではアンケート結果を添えて研修報告書を提出することが義務付けられていました。毎回一所懸命に書いていたのですが、その提出先はそのベンダーの本社(外国)であることを知りました。
「ちょっと待って!私が日本語で書いた報告書、どうやって見てるの?」と思っていたら日本の担当者から「国井さんが良いトレーニングをして、良いフィードバックをお客さんからもらっても、本社の人たちアンケート結果の数値しか見ていないんだよね」との一言が..
なんと研修報告書が一度も読まれていなかったことがそこで発覚したのです。

労働人口減少に伴う生産性の向上が急務と言われているにもかかわらず、提出すること自体が目的化している報告書を生産性を下げてまで作れというのなら「よろしい、その目的を達成するためにChatGPTで作ろう
こう考えるわけです。
研修サービスの業界において意味のある研修報告書が流通するようにという願いと、作成することが目的化した報告書への皮肉を込めてChatGPTで研修報告書を作ってみたいと思います。(研修報告書と言ってもここで話をするのはテクニカルトレーナーが書く報告書であって、受講者が上司に提出する報告書ではありません

注意
この投稿には、やってはいけないことが多分に含まれています。
悪用厳禁、単なる読み物としてご覧ください。


報告書のフォーマットを決める

あなたが特定の研修会社または特定のお客様先で取引をしていれば、報告書のフォーマットは既に決まったものがあるのではないかと思います。
大雑把に言えば、こんなテーマで書いてくれと言われるのではないでしょうか?
・研修の全体概況
・受講者の習熟度・達成度
・お客さんからいただいた主な質問
・そのほかトラブルなどがあったか?
・受講者ひとりひとりの様子など (新人研修の場合)

ナレッジを伝えて報告書を書き始める

なにもないところから報告書は作れません。そこで過去に書いた報告書を要素に分解し、要素を選択して文章を書かせることにしました。
例えば「受講者の習熟度・達成度」であれば、こんな感じで選択肢を作っておいて、その中から複数選択して文章を作成してもらえば、その都度オリジナリティのある文章ができるのではないかと思います。

**全体の達成度
・目標を達成できた
・ほぼ達成できた
・今後も継続した学習が必要
**達成度の判定要因
・演習をスムーズに進めることができた
・演習操作で躓くことが多かった
・質問の内容が理解している人の内容だった
・質問の内容から判断して今後も継続した学習が必要
・受講者どうしで会話をしながら課題を解決した
・アンケートの内容から判断
**演習(ディスカッション)への取り組み
・積極的に取り組んでいた
・講師から促す必要があった
・質問が多く飛び交い活気にあふれるものだった
・躓くことが多かった
・進捗が早かった
・進捗が遅かった

こんな感じで並べておいて、その時々で選択すれば良いかと思います。
話を元に戻して、今回はこんな感じで並べてみました。

できあがりはこちら。

素晴らしい!
これでそのまま使えそうだけど、フォーマットが箇条書きではなく、文章で書いてくださいと言われる場合もあるでしょうから、ここから加工しましょう。

いいんじゃない?
このままでも十分だし、その会社固有の情報をちょっと付け足してあげれば、もっとリッチな文章になるでしょう。あ、ちなみにプロンプトに会社固有の情報をいれたら情報漏えいの可能性があるため良い子のみんなはマネしないように。
最初の選択肢が固まったらノーコードアプリでアプリを作って、そこからラジオボタンをクリックして選択したら報告書が出来上がる.. なんて最高じゃないですか!

トピックごとに書く内容について

全体概況

順番が逆になってしまいましたが、全体概況を別途書く必要があるなら、既に作成した文章をまとめましょう。既にある文章の代表例としてお客様のコメントがあります。これを全部コピーしてお客様のコメントをまとめましょう。

他にもコメントがあるんだけど、画面構成上、一部だけ表示してあります

実行結果はこちら。

これをもとに
「お客さんからは、この研修は有意義で実際に手を動かすことで.. という意見がありました。」のように「お客さんからは、<ChatGPTの結果>という意見がありました。」の構文を使えばOK。
一方のネガティブなコメントに関しては解決策を示す必要があります。だからChatGPTから示された解決策を拾って
「一方で<ネガティブコメント>でしたが、グループワークでの共有を活用してフォローしていきました」
と書いてあげれば全体的に前向きな報告書になるだろうし、
解決策がなければ
「一方で<ネガティブコメント>という意見もあったため、丁寧にフォローしました」
と書けば差し障りないでしょ?
ここではアンケート結果から報告書を作りましたが、過去に同様の報告書を作った履歴があるなら、その報告書をChatGPTに読み込ませて新しい報告書を作ってもいいかもしれないですね。

アンケートを読み込ませて、その結果から受講者の意見を集約させる方法はChatGPTやChatPDFではなくMicrosoft 365 Copilotのようなクローズドなシステムでやらないと情報漏えいにつながる可能性があります。

主な質問

めんどくさい項目作ってくれたな。ナレッジを共有するという崇高な目的から設定された項目だと思うんだけど、その情報が再利用されていないのであれば内容なんかどうだって良い気がします。しかし、あなたも私も大人なので、そこはキチンとまとめましょう。
オンラインの研修であればチャットで質問が来るでしょうから、その応答をコピペ(もはやChatGPTじゃない!)すればよいでしょう。
じゃあ音声だったら?そのときは質問コーナーのときだけWordのディクテーションボタンを押してから会話を始めましょう。できあがったファイルを報告書にコピペしたら完成です(ChatGPT関係ないし)

そのほかトラブルなどがあったか?

固有のトラブルをChatGPTに作文させることはできないので、最初から定型文を作っておきました。あなたがどんなトレーニングを担当しているかによりますが、おおむねこんな感じのトラブルじゃないでしょうか?

・Labの最中に仮想マシンが動作しなくなったため、予備のマシンを使っていただいた
・プロキシ設定の関係でMicrosoft Azureに接続できないトラブルがあった
・Office365の無料試用版が取得できなかった
・Zoom(Teams)に接続できないトラブルがあった
・お客さんから英語のテキストふざけるなと怒られた

この中からコピペで完成させます。

受講者ひとりひとりの様子など

新人研修でよくある質問項目なんだけど、ChatGPTで書かせるのが難しいので、この質問やめませんか?(報告書を書くことが目的化するのではなく、ChatGPTを利用することが目的化している!)
ひとりひとりの習熟度を知りたいのであればテストの結果などで十分です。おそらくこの質問で知りたいことは受講態度とかそういう話だと思うんです。「xxさんが寝てました」みたいな風紀委員的なものを期待されているのでしょうが、私はテクニカルトレーナーであって風紀委員ではないんですよ。若い人の能力を伸ばしてあげたいと思いながらも私が新人研修をお受けしない理由はこれなんですよね。

最後に

ここまでの内容を見て「ふざけてるのか!」と思った人もいると思いますが、私はふざけてます。
私の真の目的は「提出することが目的の報告書を作らせない」ことです。
だからこそ報告書でこちらから研修運営の課題提起をしても、まったく読んでいなかったら、こうなりますよ!という話を書きました。
提出することが目的の報告書 vs ChatGPTで書いた報告書
なんて誰も得しません。
きちんとした報告書を書いて、それをもとに課題について議論が行われ、より良い方向に進んでいくことを切に願うばかりです。

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