日本人と外国人の同性婚のビザ許可の今後の見込みについて=法的な同性婚の解禁よりも早くビザ許可の動きが見込めます。

前回の記事に続き、今回も同性婚ビザについて書きます。

同性婚の行方やビザ許可の見込み等に役立つ内容を書いてみます。入管の動きの背景や今後の展開予想などです。

2019年以降の全国各地での同性婚訴訟が、ビザの許可や法的婚姻認否にポジティブな影響を与えているといえる点について述べます。

まずは過去のセクハラ訴訟を例にあげた成功事例、ついで本題である同性婚訴訟の例について状況分析となります。

1,セクハラ訴訟から法的なセクハラ防止義務の制定へ。

1989年に福岡県のとある出版社にて発生したセクハラ案件から日本初のセクハラ裁判が提起され1992年に原告勝訴で確定しました。

すると、同年に労働省(現厚生労働省)がセクハラ防止に関するガイドライン作成へ向けて動き出しました。

1997年には男女雇用機会均等法に、企業はセクハラの防止や対策に努める義務があるという規定が盛り込まれました。

裁判から5年後に大きな変化が起きたのです。裁判の確定はこのように大きな変化を生みだす機会になるということです。

2,2019年以降の同性婚訴訟が与える特定活動ビザの許可や法的婚姻への影響や動き

翻って、同性婚によるビザ許可の運用や法的な同性婚の認否の問題はどうでしょうか。背景を探ったところ、実はかなりスピーディーな動きがありました。

2021年3月札幌地裁で(同性婚についての日本初の)司法判断がなされ、同性婚を認めないのは憲法14条違反との判決が出ました。(その後、同性婚カップルらの原告側は、政府・国会による立法措置を求めるため、高裁に控訴しています)。

当日の会見で政府は(地裁判例1つではまだ弱いと考えたのか)法改正の必要性について特に認めませんでした。

にもかかわらず!!ビザ方面ではなんともスピーディーな動きがありました・・・(実にわかりやすい・・・国内はともかく対外的には、先進国グループのG7で同性婚を認めていないのは日本だけ、同じアジア圏の台湾も2019年にすでに認めている等の事情からか・・)

わずか2か月後の2021年5月には、「日本人と(法的同性婚OKとされている国の)外国人の同性婚カップルが、当該同性婚認める国で婚姻した場合には、その外国人に告示外の特定活動ビザを許可する方向で検討に入った」との情報が出たのです(読売新聞2021年5月17日記事)。

早すぎる・・・判決見越して事前に準備していたとしか思えない・・

実は2019年から全国各地ですでに同様の訴訟が提起されており、この2021年3月の札幌地裁の判決は最初の判決にすぎず、今後数多くの裁判例や判例が積み上がることが予想されています。

法改正=つまり法的な婚姻がOKになる日は、まだもう少し先のことでしょうが、ビザ方面ではそれに先行して同性婚に対して緩和した運用に向かうのは間違いなさそうです。

日本のビザを目指す日本人と同性婚OKの外国人のカップルはそろそろ準備を始めてみると良いかもしれません。ケースによっては今からでも早くない方もいらっしゃると思います。

困難な事情等ある場合には対応にかなり時間や準備が必要な場合もあるからです(在留状況が不良の経歴あり、過去や現在に上陸拒否の事情あり、薬物等の犯罪や素行不良や不法残留オーバーステイなどの事情ある場合など)。

この運用変更の話、その後経過はどうなっているのか。まだ確認できていません・・情報ある方ぜひお寄せください。

なお、台湾では最高裁レベルの判決で2017年に違憲判決が出てから2年後の2019年に法的な同性婚が認められるようになりました。

あと3年後の2025年あたりには日本も同性婚OKになるのでしょうかね。ビザの許可は例外的に運用を変えればよいだけの問題なのでもっと早く認められるようになると思います。

入管・外国人ビザ(在留資格)申請専門 行政書士 横田あずま

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