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4年 菅原大幹

「大切なもの。」

5年の菅原大幹です。
二度目の引退ブログ。三度目が無い事を願って書きます。

「大切なものが違う58人が、同じ目標を目指して努力する。」
この素晴らしさに気づくまでに、僕は5年かかった。

あなたにとって大切なものは何か?
スポーツ推薦の多い強豪校の部員に聞いたら、ラグビーやそれに関連する回答をする部員が多くの割合を占めるのではないか。
実際に僕は高校時代に強豪校と言われる学校でラグビーをしていたが、大切なものはラグビーである部員が多かった様に思える。
そしてそれが、部員を一つにまとめるものであり、強豪校でいられる理由の一つである事に間違いはない。

一方上智大学ラグビー部に同じ問いかけをしたらどうだろう。
ラグビーやそれに関する回答は数人からしか期待できないと思う。
プレーヤーとマネージャー。経験者と初心者。現役と浪人。出身校のレベルの違い、勉強や留学への考え方など、人それぞれ大切なものがバラバラなのが上智大学ラグビー部であるからだ。

では、上智大学ラグビー部を一つにまとめるものは一体何なのか。
大切なものが違う58人が、サークルやバイトなど多くの選択肢から体育会ラグビー部を選び、うだる様な暑さや凍える様な寒さの中、早起きをして辛い練習を乗り越え、一つの組織となって勝利を目指す。僕がその組織の求心力とも言える「まとめるもの」に触れたのは今年の一橋戦だ。

まず、僕にとっての大切なものを紹介したい。
昨年、上智大学ラグビー部は「打倒一橋」を掲げて春から苦しい練習に励み、11年ぶりの勝利を目指して試合に臨んだ。 そして66-7で試合終了。試合が終わり、勝利が確定した瞬間「あれ、あんなに必死で勝利を目指していたのに、思っていたより嬉しくない…」正直こう思った。しかし、僕はそこで自分にとっての「大切なもの」を見つけた。それは「周囲の人々の笑顔」だ。サポーターズクラブの方々の笑顔、いつも応援してくれる方々の笑顔、OBの先輩方や同期や後輩の笑顔。勝利という結果に対しての喜びよりも、その結果がもたらす「周囲の人々の笑顔」を見た瞬間に心の底から喜びを感じた。

前回のブログにも書いた様に僕は昨年膝を負傷して戦線を離脱した。そして昨年の学習院戦、同期や後輩は泣きながらシーズンを終えた。自分にとって大切なものを実現出来なかった。この悔しさや情けなさから今年も現役としてプレーする事を決意し、今年の一橋大学との三位決定戦に勝利を収めて、自分にとって大切なものを実現する事が出来た。そして、これこそが上智大学ラグビー部を「まとめるもの」だと感じた。

「上智大学ラグビー部は自分にとっての大切なものを発見し、実現する場である。」
冒頭に話した様に大切なものが似ている組織は強いのかもしれない。
だが、人それぞれ大切なものが違うのは上智大学ラグビー部の弱みではない。違う事を理解するのは本当に難しいが、それが上智の強みになると思う。58人の部員全員が、ラグビーという競技と上智大学ラグビー部という環境を使って、自分の大切なものを実現していく。
今、上智大学ラグビー部は入れ替え戦を狙えるまでに成長し、確実に強くなってきている。だからこそ似ている組織を目指すのではなく、それぞれが異なる大切なものを実現できる組織であって欲しい。
これから先、大学ラグビー界を引っ張っていくのは、上智大学ラグビー部の後輩達だと信じています。

以上です。

菅原大幹

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