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『Sea of Stars』と『The Messenger』の繋がり/ARGについて②


はじめに

この記事は、Sabotage Studio(サボタージュスタジオ)によるゲーム
『Sea of Stars』『The Messenger』を繋げる大きな要素のひとつ、公式Discordサーバーにて展開される、ARG(代替現実ゲーム)の内容を部分的にまとめたものの続きです。

前回:

※両方の作品のネタバレを含むので、どちらもクリアしたあとに読むことを強くおすすめします。

主にこちらの記事を翻訳・要約したものです。台詞については意訳した部分があるため、原文に目を通しておくことをおすすめします。


2020年1月8日

時計仕掛けの守り人は、The Messengerの無料Steamキーを共有した。また、未知のキャラクターの名前に関連するネタバレをして、「至点計画」の存在をほのめかした。

2020年1月10日

記録官と#the-voidチャンネルが一時的に復活した。彼は時計仕掛けの守り人と会話し、1人だけではなく3人の「虚無を歩く者」を募集していることを明らかにした。そして、これまで知られていない「モレーン学院長」という人物について言及した。

2020年1月24日(店主との別れ)

店主が最後にサーバーに現れ、招待されたメンバーはLの文字とPの文字について質問した。最後に戸棚に触れたメンバーに説教、それから物語を語り、店主はコミュニティに別れを告げた。

ナルシズムについて

(戸棚に触れたCamand氏を店から追放した店主)

読書に戻るとするか。
ああ、ナルシズムの唯一の問題点は、それに関する自己啓発本が1冊もないことなのを知ってるか?

お前が見つける全ての本は、人生でそいつにどう対処するかについてだ。彼らの状態が、革新的な問題を見えなくさせているからな。

最初は悲しく思うかもしれんが、実際は、彼らは意識的に苦しんでいるんじゃなく、間接的に苦しんでいるだけだ。全ては他人と比較した自分の価値観に起因する。

実際データを見てみると、人間にはまともな価値観を持っている者がほとんどいないことに気づく。まともな価値観とは、自分は他の誰かより価値が高いわけでも、低いわけでもないということだ。

自分の価値が低いと思っている人は、人を喜ばせたがり、よく謝り、常に物足りなさを感じ、周囲の人間が突然、自分との関わりを絶つ時が来るのではないかと恐れている。悲しいことに、こういった人は大多数を占めている。彼らは非常に苦しむ傾向にあるが、これには明るい面もあり、こういった問題は常に不快感を生むため、助けを求める可能性が非常に高い。

自分にはもっと価値があると信じている人は、命令口調で話し、権利を主張し、自分は特別扱いされるべきだと考える傾向にある。もちろん、これらは全て潜在意識から来るもので、結末は、愛する人が彼らとの繋がりを維持することを諦め、最後には見限られてしまうというものだ。
目に見えない問題を認識することができず、彼らはめったに助けを求めない。自分が拒絶されるのは、相手が理由もなく突然変わってしまったからなのだと、本能的に考える。それが彼らのエゴを守るんだ。

簡単な例を挙げてみよう。お前がゲームをしていると、恋人がスナック菓子を持ってきたとする。まともな親に恵まれていたなら、お前はただ「ありがとう」と感謝し、お菓子を食べ、ゲームを楽しむはずだ。
そいつはお前にとって良いことだ。
しかし、お前が無意識のうちに自分の価値を低く見積もっている場合はそうもいかない。これは何を伝えようとしているのだろうか?その恋人は、自分がゲームをやめて家の手伝いをするべきだと伝えているのだろうか?
お前は立ち上がり、その真意を恋人に確認し、不安をコントロール下に戻そうとする。

それをナルシズムで試してみよう。いつも権利ばかり主張するナルシストは、「俺は存在するんだ、ちょっとは俺を見てくれんのか」みたいなことを言って、おやつが運ばれてきたのかもしれない。だが、ナルシストはそれを「恋人の人生において、自分に尽くすこと以上に意義のあることはない」
と考える。

もしこれが受け入れられんのなら、お前はナルシズムとは無縁の人生を送っていると祝福しよう。是非ともそうした人生を続けてくれ。

では、なぜこれが興味深い話なのか?私は今までナルシストとは、命令口調で話し、全ての人に命令し、グループの手柄を我が物顔で横取りする、単なる嫌な奴だと思ってた。
だが、ナルシストについて読めば読むほど、私は彼らに同情するようになった。彼らは純粋に全ては自分のためにあると信じている。つまり、命令をするとき、彼らは最も皮肉的な方法で無私無欲になっているんだ。彼らはお前に奉仕する喜びを与えている。そうすることで、心からお前に親切に接しようとしているわけだ。
異論は認めよう。私はただとりとめもなく話しているだけだし、私自身、まだ完全に納得してる訳じゃないからな。

では、について定義してみよう。誰が定義してくれと頼んだのか?私だ。

愛とは、自分自身を脇に置いて、他人にその場所を占有してもらう行為のことだ。占有するよう促し、そのための道具を提供すること。そして、彼らがそこでどのように過ごすのかを認め、祝福する。それが愛だ。もしお前の両親がそうやって愛してくれたのなら、お前は自分自身の価値について健全な感覚を持っている可能性が高い。そいつは、自分の価値は他人より高くも低くもない、ということだ。

まあ、あとはお前自身が考えてみてくれ。
私はこのテーマについてまだ完全に読み解けた訳ではないが、お前はわざわざ私の戸棚に触ってくれたんだから、お前の中で答えは決まっているんだろうな。

なんだか退屈になってきたな……
よし。全ての忍者たちよ!店に集合だ!

面白い話

(店にやってきた忍者たちの大量のメッセージ)


皆静粛に!
結末を最後まで見届けたいのなら
話を聞いてくれ。

(守り人の削除されたメッセージ:店主よ。君たち全員を追い出すことも可能であることを忘れないでくれたまえ。)

コホン。技術的な問題はさておき、お行儀よくしてもらわんとな。
私のチャンネルでスパム行為するのはいいが、
物語が始まったら、ちゃんと静かに聞くんだぞ。
いいな?

(皆が同意する)

よし。ではお前たちの番だ。
聞かれないと話せないからな……

(何か面白い話はないかと聞かれる)

ああ、もちろんあるぞ。
今日はノルウェーのおとぎ話を伝えよう。
使者Camandが送ってくれた話だ。

私は時計仕掛けの守り人ではないが、誰かに好きなおとぎ話をバラバラにしてほしいと頼まれたら、喜んで引き受けよう。
というのも、この物語は退屈でお決まりのパターンに沿ってるからな。
早く結末を知りたい奴のためにも、かいつまんで語っておこう。

とある魅力的な出来事が3回連続で起きたことがある。その結果、別のことが3回連続で起きることになった。この物語では我々は5歳ということになっているらしい。
そして、全ては気まぐれに解決され、教訓はありませんでしたとさ。
おしまい。

さて、めちゃくちゃに酷い話を聞きたくなければ、今日はここまでにして、店を永久に閉めるとしよう。それでいいか?

(皆がめちゃくちゃに酷い話を聞きたいと主張する)

……
お前たちは物語に飢えたケダモノだな。

いいだろう、警告はした。心して聞け。

昔々あるところに、病気の母親と二人きりで暮らすアスケラッドという名の少年がいた。

ある日、彼はいつもと同じく責任感溢れた子供のように家事をこなしていた。運命に導かれるように、彼の母親はお腹が空いたから、夕食の材料としてスタブラから小麦粉を買ってくるように頼んだ。

スタブラでググってみろ、待ってるから……

さて。
それからアスケラッドはスタブラに入り、ボウルに小麦粉を入れた。ところが外に出ると、北風が吹いて小麦粉を全て吹き飛ばしてしまい、ボウルは空っぽになってしまった。アスケラッドはあまり気に病まず、再びスタブラに入り、小麦粉をボウルに入れた。しかし、またもや北風が小麦粉を吹き飛ばしてしまったのだ。それでも彼は気に病むことはなく、再びスタブラに入り、小麦粉をボウルに入れた。

よし、ここで皆には少し落ち着くための時間を取らせよう。
次に起こることはショッキングなことだからな。実際私も読んだ時、信じられんと思った。

息を飲んでいるな?陰謀なのか、予測不能なことなのか、勇気を誇示するものなのか、大きな賭けなのか…… 正直、風の強い日に母のため小麦粉を汲むことほど、壮絶なことはないだろう?では次に何が起こるのか?メタ展開か?物語そのものが、実は始めからお前の本当の父親だったのか???

確かめてみるとしよう。
少年が一歩足を踏み出すと、北風は再び小麦粉を舞い上げたのだ。それが残された最後の小麦粉だった。そうとも、このかわいそうな少年は、餓死寸前までボウルに小麦粉を抱えていたんだ。
……だったらなぜ冒頭で母親はロッキングチェアに座り、少年は穏やかに床掃除をしてたんだ???

とにかく話を進めよう。材料は手に入らなかったが、アスケラッドは決意を固め、厄介な北風を訪ねてみることにした。
瞳に使命を宿し、心に歌を歌いながら。英雄は半日かけて山を旅し、やがて北風の家に辿り着いた。

「北風よ!」彼は自信に満ちた声で言った。

「お前は僕たちに残された小麦粉を全て奪い去り、僕の母は病に倒れている!お前の責任なのだから、今すぐなんとかするんだ」

北風は、そもそもなぜ子供から小麦粉を盗んだのか誰もが疑問に思うような態度で、ただ同意した。北風はアスケラッドに、テーブルに置くだけで自動で広がり、ごちそうの出てくる魔法のテーブルクロスを渡した。

アスケラッドは驚きもせず、それを手に家路に着いた。しかし夜も更けてきたので、途中で宿に立ち寄ることにした。宿屋の店主は彼を歓迎したが、あいにく今食事は出せないと言った。……誰がこんなこと考えたんだろうな?

そこでアスケラッドはテーブルの上に魔法のテーブルクロスを置いた。腹を空かせた母親のことなどひとつも考えず、出てきたごちそうを平らげた彼は眠りについた。全てを見ていた店主は、なんと夜中部屋に忍び込み、魔法のテーブルクロスを普通のものと交換してしまったのだ!
翌朝アスケラッドは家に戻り、わくわくしながら母にテーブルクロスを見せたが、ごちそうは出てこなかった。

少し動揺したアスケラッドは北風に文句を言いに戻った。
連続で起こる出来事の2回目はいつも役に立たないから、今度はテーブルクロスの代わりに金を吐くヤギを手に入れたとでも言っておこう。
今回宿屋では食事が提供されたのだが、アスケラッドは宿泊代を払わなければならず、そのため店主に魔法の使い方を見せなければならなかった。
話は逸れるが、金のゲロを吐くヤギが登場するときに限って、宿泊代を要求されるのは都合が良すぎると思うかもしれんが、全く同感だ。

その夜、宿屋の店主は魔法のヤギを普通のヤギと交換した。ちょっと待て、誰がそんな早くヤギを用意できるんだ?
とにかく、アスケラッドは3回目、つまり予想通り最後に北風に会いに行ったとき、標的を持ち主が止めろというまで殴り続ける魔法の杖を渡された。
帰りに再び宿に訪れ、そのまま眠りについた。
本当に???

実は、彼は永遠に説明されることのない理由で、店主が魔法の道具を盗んでいたことに気づいていた。つまり、アスケラッドは寝たふりをして、店主が部屋に忍び込んでくるのを待っていたんだ。

こうして彼は、店主が魔法のテーブルクロスと金を吐くヤギを返すまで、魔法の杖で殴り続けることができた。無事に魔法道具を取り返した彼は、母親の元へと帰った。
ちなみにアスケラッドの母はこの時点で3日間何も食べていなかった。

この物語の教訓は、店の主人と3回話したら
暴力で全て解決しろってことだ。

おしまい。

何か質問は?
皆、行儀よく聞いてくれて感謝する。

それじゃ、これでお別れだな。
さあもう行け。泣くんじゃない。

最後に、苦悩する作家によるシニシズムの憂さ晴らし以上のことを、私の中に見出してくれた人々に感謝を捧げたい。

店主が必要とされた時代もあったが、それももう終わったのだろう。

さらばだ。

店主

2020年1月28日(虚無①

ARGの始め、投票について荒れた際、事態を修復させることに貢献したメンバーに「虚無の修復者」のロールが与えられていた。

前日、再び記録官をサーバーに招くには、前述したある言葉を唱えることに加え、全ての人がそのロールを犠牲にしなければならないことが明らかになっていた。コミュニティの大多数がロールを犠牲にすることに同意し、その決定を時計仕掛けの守り人に伝えた。犠牲により虚無へのポータルが現れ、コミュニティが「AEPHORUL(エフォラル)」と一斉に唱えることで安定した。

記録官が再びサーバーに現れた。
Babushka氏、Stéphanie氏、Soleil氏に「虚無を歩く者」のロールが与えられた。(前日記録官が少しだけ顔を出し、守り人に「至点計画」についての話と、虚無を歩く者は1人でなく3人必要だと話していた)

彼らは#the-voidを離れることができず、他のチャンネルで話す権限も剥奪され、虚無を離れることを許可されるまで、記録官により提示された3つの重要な問いの答えを発見する使命を課された。「虚無を歩く者」たちは虚無を歩き回り、様々な多くの仮説を立てた。

記録官が提示した問いは

・「世界を喰らう者」とは?
・なぜ複数の時系列や並行世界が存在するのか?
・そして最も重要なのは、「蝕の魔法」とは何なのか?


以下、会話の一部分を抜粋

記録官とSoleil氏の会話

「まず、次のことについて考えてみると良いだろう。錬金術を施すことのできる、最も大胆なものはなんだ?」
「人間?」
「フレッシュマンサーは確かにそこに辿り着いたが、私はそれよりもっと大胆なことを行ったのだ。」

(Soleil氏がDiscordのテーマをライトテーマにしていることを指摘して)
「ほう、ライトテーマの使い手とはな?」
「分かりやすい?」
「吸血鬼が現れるとは思わんが、念のため対策をしておくのは良いことだ。」

「前に言ったように、春の変わり目に星が並ぶ。君たちにはそれまでに、私が求める新たなる英雄へと超越する準備をしてもらわなければならん。」

(3つ目の巻物の誤字について)
「ああそうだ、魔法のインクを使うのは大好きなんだが、誤字を直すのはかなり面倒でな。」

Soleil氏による他の虚無を歩く者との議論での発言
「空の巨人は、守護神とは全く別の存在であることは確かだよ。」
記録官はこれにリアクションを付けた。

2020年1月29日(虚無②)

「虚無を歩く者」たちは、記録官が錬金術についての質問に答えに戻ってくるまで、更に考察を深めた。虚無は、それぞれに「邪悪の種」に関する本のページの一部を見せ、協力により1~2ページ目を解読することが出来た。

その後記録官は、「伝承の潮流」という巻物の未解読版をコミュニティに提供した。その巻物は「二冊目の本」のリリース前にコミュニティが知る必要のある全てのことが記されているとされ、A、E、P、H、O、R、Uの文字だけが書かれており、残りは全て抜けていた。

記録官とStéphanie氏の会話

「虚無を歩く者たちよ、ごきげんよう。錬金術について質問があるようだが、力になれることはあるかな?」
「あの……まず錬金術とは何なのか、どういったものなのかをお聞きしたいです。詳しく知りたいわけではなくて、大まかにどういうものなのかを。」

「錬金術とは、物体に対し何か核となる要素へと分解させることで、その一部あるいは全てを変化させ、別の何かを作り出すことだ。」
「勝手な推測なんですが、錬金術は悪魔や怪物を作り出すために使われたんですか?」
「エフォラルは確かに怪物を創り出すことでその称号(恐らく邪悪な錬金術師、フレッシュマンサーの通称)を得たが、私は解決策を探し求め、結局最も多くの苦しみを引き起こしてしまった。」

歪んだ未来に忍者が訪れたことに対しては、どうお考えかな?」
「今のところあまり情報がないけど、忍者を追ってきた怪物は“世界を喰らう者”である可能性が高いと思う。」
「ああ、その通りだ、Stéphanie。」
「忍者が見たのはエフォラルが勝利した世界だ。月は破壊され、蝕の魔法は使えなくなった。」
(中略)
「そうだとも。忍者の物語を君たちに見せたかったのもそのためだ。」
「それと、我々に残された一筋の希望。忍者はその両方を見た。」
「呪いを解くことが、私たちに残されたただ一つの希望なんですか?」

邪悪の種

邪悪の種

始めは公平な戦いに思えた。
特に、エフォラルは血と肉の魔法を得る代わりに、星々の力を弱点とすることを知ってからは。
結局のところ、彼の手下は月と太陽の魔法で簡単に退治できた。

しかし、禁断の錬金術への傾倒が日を追うごとに深まるにつれ、彼の創造物はますます卑劣で陰惨なものとなっていった。
彼はまだ始めの目的を理解しているのだろうか。
それとも、苦しみを与えること自体が目的なのだろうか……

至点の子供たちを見て私の信念を悟ったエフォラルは、彼らに反撃の可能性を認め、最も邪悪な計画を立てた。
それは「邪悪の種」。巨大な怪物を人里離れた場所へと隠し、そこに住まう生き物を喰らわせる時間を確保するというものだ。

「世界を喰らう者」へと進化し、世界に破滅をもたらす彼らを、私は「棲まう者」と呼んでいる。

「棲まう者」は蝕の時にしか倒せない。
もし「世界を喰らう者」が現れたら、すべての希望は失われる。至点の子供たちには大きな信頼を寄せているが、まだ時間が必要だ。

私は、####に錬金術を施そうと考えている。

2020年1月30日(虚無③-1)

コミュニティはわずか5時間で「伝承の潮流」を解読し、記録官を驚かせた。コミュニティの共同作業は、想定より早く虚無を閉鎖することになった。

虚無を歩く者の1人は、記録官に虚無と対話する能力について質問した。3人はそれぞれ前述した3つの問いに正しく答える必要があった。もし正しく回答出来たら、彼らは記録官に1つ質問をすることが許された。

記録官とSoleil氏の会話

「おめでとう。まだ細かな修正箇所はあるが、コミュニティがこんなにも早くまとめ上げることができるとは、大いに感心したよ。」
「大丈夫ですか?あなたとエフォラルの間に起こったことを聞くと、なんて言えばいいのか……」

「それは……」
「あまりにも……長い間のことだった。」

「エフォラルのことをまだ完全に諦めたわけではないが、時々、彼がしたことの一部は、単に私に目的を与えるためだったのではないのか、私が心を失わないようにするためだったのではないかと、考えることさえある。」

「しかし、目の前の問題に対し、私の個人的な話については、秘密のままにしておきたい。」

2020年1月30日(虚無③‐2)

記録官とBabushka氏の会話

「では、質問は3つか?」
「1つに減らした方がいいですか?他の虚無を歩く者たちから機会を奪いたくないし」
「今回ばかりは許そう。正直に言うと、君たちと話すことができてとても嬉しいんだ。」
「そういって貰えて嬉しいです。」

「……」
「君たちと過ごすことは、ただ私に、孤独の痛みを思い出させるだけに終わってしまうのではないかと不安にはなるが、楽しいのは事実だ。」

「さて、君の質問に答えよう。
私が愚かにも現実を打ち砕いたとき、虚無は私の周囲で実体化した。私はまた錬金瓶を“時の小瓶”に変え、それは錬金術師としての無限の可能性を与えてくれたのだ。

虚無へは自由に出入りできる。旅の中で、私はこの世界が優れた冒険者にとって、十分な可能性を秘めていることを悟った。そして、誰がこの物語の周りへと集まり、そこに含まれる深い意味に興味を持つのかを見届けるため、『夜を運ぶ精霊』の物語を君たちと共有することにした。

「……私が戻ってきたのは、君たちの世界が私を助けてくれるかもしれないと判断したからだ。いずれ二冊目の本が開かれることで、君たちの冒険は続くだろう。……今のところ、説明はこれで十分だな。」
「ありがとうございます、本当に感謝です。」

忍者村でのStarHawk氏:
「記録官は最高のキャラクターだよ、その考えは変わらない。」
「あと見てこれ笑(記録官がメンバーリストの先頭でなく、他の一般的なメンバーと同様の場所に名前がある画像)」

(記録官がStarHawk氏にメンションして)
「私は謙虚であるほうが好きだからな。」

2020年1月30日(虚無③‐3)

記録官とSoleil氏の会話

「ではSoleil、君に問おう。“蝕の魔法”とは一体何か?さらに重要なのは、その力は誰に授けられ、何から我々を守っているのか?
「(一気に3つ質問したことについては、Babushkaを責めてくれ)」

蝕の魔法は、月と太陽の魔法を組み合わせたもの。至点の日に生まれた子供に授けられ、彼らはエフォラルの創造物を討伐する使命を帯びた“至点の戦士”になるよう訓練される。
例えば、棲まう者は蝕の時にしか倒せない。蝕の魔法を使うには最低でも月が必要で、そのためにエフォラルは“歪んだ未来”でも見たように、月を破壊した。

「完璧な答えだ。そして、十分に鍛えられた至点の戦士であっても、フレッシュマンサーと直接戦うべきではない。」
「次の冒険に同行することを選んだ者は、真の“至点の戦士”たちの可能性に触れることになるだろう。」
「時間が経てば、モレーン学院長も訓練のために君たちの一員に加わるはずだ。」
(中略)


「では、好きに質問してくれたまえ。」
「少し前、あなたはメッセンジャーの台詞ファイルに隠しメッセージを入れましたが、その時あなたは“奴ら”に追われて虚無に戻れなくなったと言ってました。どうやって閉じ込められてしまったのか、説明してくれますか?続けて質問していいなら、“奴ら”とはいったい誰ですか?」

意思と信念の力について全てを伝えるには、まだ早すぎるかもしれない。私が虚無へ戻るためには、裂け目を開くほどの強い信念が必要だった、と説明しておくだけに留めておこう。」

「閉じ込められてしまったことに関しては……とても良い体験だったとは言えん。錬金瓶である時の小瓶を、大書庫に置き忘れてしまってな。」

「奴らに関しては…… 私は時々、非常に特殊な状況下でしか採れない錬金術の素材を求めて、大昔に破壊された世界に足を踏み入れなければならないことがある。そこで棲まう者や世界を喰らう者に出くわすが、危険が迫ればテレポートするから、殆どの場合は脅威ではない。」

「あの時はテレポートできなかったと?あ……これ3つ目の質問になります?」
「繰り返すが、あの時はただ時の小瓶を持っていなかっただけだ。」
「裂け目を開いてくれた君には感謝している。」
「ずいぶん前のことですけどね。ここまで長い道のりだった。」
「この場合の“奴ら”とは、悪夢の住人によって作られた、幻影のことだな。」
「わあ、私の質問に丁寧に答えてくれて感謝します。」
「こちらこそ、お付き合いありがとう。」

「これから先、冬至の子となるか夏至の子となるか、時間をかけて熟考し、月か太陽、どちらの印を宿すのかを選ぶといい。君の仲間たちも同じようにな。」
「さらばだ、Soleil。」

2020年1月31日(虚無④‐1)

虚無を歩く者のBabushka氏は、記録官から並行世界と別の時系列についての問いに正しく答え、守護神に関する詳しい情報を記録官に訪ねた。
続いて、Stéphanie氏は世界を喰らう者に関する記録官の問いに正しく答え、世界を喰らう者によって失われた時系列に関する詳細を記録官に訪ねた。

記録官はStéphanie氏に「伝承の潮流」の完全版を渡し、モレーン学院長がARGの役割を引き継ぐことを発表した。そして彼はコミュニティに別れを告げ、永遠にサーバーから立ち去った。虚無が消滅した数分後、虚無を歩く者たちは「虚無の残響」と呼ばれるビジョンの断片を受け取った。それら3つを組み合わせると大書庫の本棚の写真となった。
本棚の左側には第一巻『The Messenger』に関する本が、右側には第二巻『Sea of Stars』に関する本が並んでいた。写真の明度を上げると、画像左側には「トゲ茸(Quillshroom)」と書かれた隠された本が現れた。

記録官とBabushka氏の会話

「ではBabushka、問いに答える準備はいいか?」
なぜ並行世界や別の時系列が存在するのか?そのような状況を引き起こす究極の目的は、いったい何なのか?そして、なぜ不幸にもその間、多くの苦しみを引き起こしているのだろうか?

「エフォラルの遊びに先んじて、彼の計画を阻止しようと、レシュアンは大胆にも時間の連続性そのものに変性転換の錬金術を施し、現実を無数の時系列と並行世界に分裂させたから。

「私の究極の目的について、君の考えを教えてくれ。」
「分かりにくかったら申し訳ないんですが、エフォラルをどこかの時空や並行世界に閉じ込めて、永久に止めさせることだと思っています。私の理解しているところでは、チャンスは1度きりではなく、より多くのチャンスが与えられるということです。」
「納得のいく答えだ。もう少し説明しておこう。」

「至点の戦士が棲まう者を追ったとしても、いずれ世界を喰らう者が現れてしまうことは避けられないことが分かり、私は2つの選択を迫られた。
1つは何千年も続けてきたような間接的な戦いではなく、直接エフォラルと対峙することだ。しかし、彼のことを諦めたくないという気持ちが増して、実際に勝てるかどうか確信は持てなかった。

「そしてもう1つは、時間を借りることだった。
記録官となれば、異なる世界の出来事を通して十分な知識を集め、解決策を探ることができると思っていた。
だがエフォラルは、この新たなる発見と、無限の遊び場に歓喜した……
「広大な多元宇宙だ、我々が力を合わせれば、最終的にこの状況を覆させられると信じている。」

「理解できたかな?」
「理解できました、説明してくれてありがとうございます!」
「当然のことをしたまでだ。」

「では、帰る前に何か質問はあるか?」
守護神との関係性について教えてくれますか?」
神は存在しない。この言葉は、定命者の心を発展させるために使われるものだ。そうすることで、彼らは心を吹き飛ばすような行為や出来事を受け入れ、心に調和をもたらすことができる。」
「君が尋ねているのは、ソレンとルアナについてだな?」
「純粋なる光へと変ずる力を身につけた、無限の可能性を秘める至点の戦士たちに付けられた名だ。」

「ソレンとルアナか……」
「棲まう者が世界を喰らう者に変われば、その世界が完全に破滅を迎えてしまうように、二人の至点の戦士がソレンとルアナへと超越すれば、その世界には永遠の平和が訪れる。」

「理解できたかな?」
「わあ!理解できました、すごい情報量だよ。本当にありがとうございます。」
「実に光栄だ、話に付き合ってくれて感謝する。」
「Soleilがそうしたように、君にも最後に大書庫を見てもらいたい。3人の虚無を歩く者が去った後、虚無の残響が君たちに最後のビジョンを見せるだろう。」

「君の旅に幸運を祈ろう、Babushkaよ。そして、二冊目の本が開かれるとき、君や仲間たちが戦いに加わってくれることを願っている。」

2020年1月31日(虚無④‐2)

記録官とStéphanie氏の会話

「では最後の質問だ。Stéphanieよ、教えてくれ。世界を喰らう者とは何だ?奴らの出現は何を意味し、何から始まったのか?そして、手遅れになる前に止めるには、どうすればよいのだろうか?

世界を喰らう者とは、巨大な怪物で、始めは棲まう者だった。エフォラルが人里離れた場所に“邪悪の種”を植え、棲まう者は世界を喰らう者へと進化するまでそこに住まう生き物を喰らう。完全に成長した世界を喰らう者が出現すると、全ての希望は失われ、その世界は忍者が見た“歪んだ未来”のような姿になってしまう。彼らは蝕の時にだけ、月と太陽の魔法で倒すことができる。忍者が遭遇したあの怪物は、まさしくその世界を喰らう者だった。」

「満点の解答だ。」
「やった!」
「“歪んだ未来”の場合、まずエフォラルは月を破壊し、至点の戦士たちが棲まう者を攻撃できないようにしたということに注目するべきだな。完璧な答えだったから、これ以上付け加えることはない。」

「おめでとう、Stéphanie。さて、私に何か質問したいことは?」
「最終的にフレッシュマンサーを止めることができたとして、既に破壊されてしまった世界に、何かできることはありますか?どうにかして巻き戻したり、歪んだ未来を修復することはできないんですか?」

「……」
「それに関してはまだ研究中で、現時点では不確かであるとしか言えん。」
「しばらく思索に耽る時間を頂きたい。」

「……錬金術は、対象を核となる要素に分解し、それらを変化させたり、他のものと混ぜたりして、別のものに作り変えることだ。私は現実そのものに錬金術を施そうと考えている。
「分裂した世界は核となる要素だ。私の望みは本来あるべき姿である適切な要素を集めることで、全てを再び1つの平和な世界へと戻すことだ。」

「私はこの計画に全力で取り組み続けるが、その影響、結果、実現できる可能性については、課題としてまだ残っている。」

「今はそれだけだが、君たちのような勇敢な魂が、最後まで私を助けてくれると信じている。」
「全力を尽くします。」

「そうだな。虚無が閉じてしまう前に、他に聞きたいことはあるか?」
「コミュニティがどうしても聞いてほしいみたいなので、店主のアイデンティティについて尋ねてもいいですか?あまり詳しいことは分からないかと思いますが、どんなことが知れるのか興味があります。」

「……店主?」
「答えられなくても構いません。」
「匿名意思は尊重したい。これは本当の答えを提供するより、多くの問題を引き起こすかもしれんが、ひとつだけ話しておこう。」
彼女の先祖が、時計仕掛け城を作った。」
「(やっぱり)」
「ありがとうございます、期待してたよりずっと大きな答えでした。」

「最後にもうひとつ。君は伝承の潮流の解読にとても尽力してくれたから、完全版を直接渡しておこう。君の友人たちにも、共有してやってくれ。」
「わあ、ありがとうございます!」

「さて、そろそろ帰る頃合いか。ポータルを閉じると、その波紋は虚無を歩いた者たちに最後のビジョンを見せるだろう。それは、熟考すべき多くのことを提供してくれるはずだ。」
「準備が出来たら、モレーン学院長のためポータルを開いてくれ。そして、もうすぐここも忙しくなるだろうから、サボチームの新しいメンバーの雇用を君に託すとしよう。」


「もう二度と会うことはないだろう。
さらばだ。そして幸運を祈ろう、冒険者たちよ。

大書庫の本

左側の本棚
(2~4冊の不明な本)
・トゲ茸
・店主
・クアブル
・忍者
・1
・(4冊の不明な本)

右側の本棚
ヨランダ
・(消去された題名)
リザードの民
・ドキャリ
・ガール
・マルコマッド
・悲嘆に棲まう者
・2
・ゼイル
・ヴァレア
・月のゆりかご
・セライ
・エルリナ
・モレーン
・ヴェスパタイン
・キーナサン
・霧の長老
・時計職人

※SoSのKickstarterバッカー限定デモ版のボス。
名前はクヌシュ=ヌクの使徒だが、内部データではLizardessと呼ばれている。

伝承の潮流

レシュアンが送った、「伝承の潮流」の完全版
内容は、チークスの語る「二人の錬金術師」とほぼ同じ。

何万年も前のこと。レシュアンとエフォラルという二人の強力な錬金術師が命の霊薬の作成を試み、成功した。
もっとも、あらゆる錬金術には代償が伴う。二人は不死の命を授かったものの、体は朽ち果て、やがてそのおぞましい姿を隠すように色鮮やかな服を着るようになった。

最初のうちこそ、二人は永遠の命の素晴らしさに歓喜し、何百年もかけて世界を育み、定命者たちを畏怖させる驚異を想像してみせた。
だがエフォラルは次第に、自身ではもう二度と味わえない、命のはかなさを羨むようになった。

こうして禁断の錬金術を追究する、エフォラルの邪悪な旅が始まった。

心の中に残されたわずかな良心もやがて潰え、エフォラルは魂と、骨と、肉と、血を同じように用いて実験を行った。
そして運命に導かれるまま、悪の全てを受け入れ、自身の創造した怪物により世界を苛む、報復の不死者フレッシュマンサーとなった。

レシュアンも懸命に妨害を試みたが、二人の元友人が神々に匹敵する力で戦えば、筆舌に尽くしがたい混乱が生まれ、不随的な被害が発生するのは避けられない。
数多の苦闘を経て、レシュアンは血肉の軍勢の唯一の弱点は太陽と月の魔法だと気づいた。それは至点の日に生まれた者だけが授かる力だった。
レシュアンはこうした子供たちを至点の戦士に鍛え上げ、フレッシュマンサーの怪物を討伐する使命を託した。

だが、エフォラルもまた知恵をつけ、やがて“棲まう者”と呼ばれる、無限の可能性を秘めた異形の怪物たちを創造し始める。

“棲まう者”はあらゆる魔法をはねのけるが、皆既蝕の間だけは、その弱点が暴かれる。さらに周囲の命を食らって成長することも、追って明らかになった。この怪物を長らく放置しておけば、いずれ“世界を喰らう者”へと進化し、万物に滅びをもたらすだろう。

そこで至点の戦士たちは次の蝕の間に排除する“棲まう者”を決するべく、知識と力を支えに、怪物の追跡と世界の監視を始めた。

彼らの監視が続く限り、“世界を喰らう者”は決して現れない。それでもレシュアンは、エフォラルがいずれ膠着状態を打開し、より邪悪な何かを生み出すだろうと確信していた。

そこで決死の覚悟で先回りすべく、レシュアンは大胆にも、時空の連続性そのものに変性転換の錬金術を実行した。
現実を無数の時系列に分裂させ、いくつもの並行世界を生み出したのち、レシュアンは錬金瓶を捨てて、記録官となった。

すべての現実を巡る終わりなき旅を続けながら、レシュアンはフレッシュマンサーの災禍に終止符を打つ方法を求め、考えられ得るあらゆる結果を記録していく。一方で、エフォラルは突如として開けた、事実上無限の破壊の可能性に歓喜していた。

不滅の争いのさなか、二人の錬金術師は幾ばくかの平穏を得ようと、どの時系列もその運命は自然の采配に委ねるという協定を結んだ。

こうして一方では“棲まう者”と至点の戦士たちの、一方ではレシュアンとエフォラルの壮大な追いかけっこが幕を開けた。
無数の時系列と無数の世紀にわたり、エフォラルが決して訪れない世界もあれば、その毒牙に狙われる世界もある。

そうして標的となった世界は、おおむね数世紀にわたる闘争の末に最終局面を迎える。
すなわち“世界を喰らう者”に滅ぼされるか、二人の至点の戦士が守護神へと超越し、永遠の救いがもたらされるかのどちらかだ。

レシュアンがいつ時系列を再構築するのか、そもそもその方法を知っているのかは、今のところ誰にも分からない。

チークスによる物語「2人の錬金術師」

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