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不朽の名作「カウボーイビバップ」

「気に食わねぇんだ、気に食わねぇんだよ」


カウボーイビバップの主人公、スパイク・スピーゲルが、自らの危険を顧みず、敵のもとへと向かう際のセリフだ。そこに損得勘定はなく、あるのは気に食わないという理由だけ、スパイクにとってはそれだけで十分だった。スパイクとは、自分に正直で、義理人情に厚い男なのだ。



カウボーイビバップとは、1998年に放送されたテレビアニメで、あらすじはこうだ。

「位相差空間ゲート」によって短時間で惑星間を移動できるようになり、宇宙時代を迎えていた未来の太陽系。賞金の掛かった犯罪者を追って宇宙を飛び回る、通称“カウボーイ”と呼ばれる賞金稼ぎが生業のスパイクとジェットは元マフィアと元警察官。記憶喪失の上に膨大な借金を背負っている謎の女フェイ、野生児のような天才ハッカーのエド、人間並みの知能を持つデータ犬アインが加わって4人と1匹が惑星間航空船ビバップ号で奇妙な共同生活を送ることになる。

整理すると、時代は未来、舞台は宇宙、主な目的は賞金稼ぎ、主要人物はスパイク、ジェット、フェイ、エド、アイン、基本1話完結型のSFハードボイルド作品だ。


私の最も好きなアニメ作品である。



今回は、このカウボーイビバップの素晴らしさについて語っていきたいのだが、この作品の良さを伝えるのは非常に難しい。なぜなら、雰囲気やニュアンスといった、言葉では言い表せない部分こそ、この作品の良さだから。音楽やカット割り、セリフの抑揚など、実際に作品を見た人にしかわからない良さがたくさんある。


また、基本的に1話完結のストーリーなので、1話ごとにテイストが異なり、コメディやサスペンス、ホラーにサイバーパンクなど作品の振れ幅が大きく、話によって良さが異なるため、作品全体の良さを表現するのも難しい。


そこで今回は、カウボーイビバップの主人公「スパイク」と、この作品の特徴の一つ「粋なセリフ」の二つに絞って、紹介していく。カウボーイビバップを知らなかった人がこの作品に少しでも興味を持ってもらえたら幸いだ。



スパイク・スピーゲル、火星生まれの27歳。声は山寺宏一さんが担当している。見た目の特徴はもじゃもじゃ頭と長身。ビバップ号に乗る賞金稼ぎでブルース・リーが提唱するジークンドーの使い手。賞金稼ぎになる前はマフィアに所属していた。


スパイクの性格は、冒頭でも紹介した通り、自分に正直で義理人情に厚い。そんな性格なので、必要以上の危険に身を晒すこともよくある。普段はふざけた様なところもあるが、やるときはやる。そんな性格が彼の魅力だ。



かつての恩人の敵討ちに向かう際、ジェットになぜ命を危険に晒してまで復讐するのかと問われ、こんなセリフを言っている。


「渡世の仁義ってやつさ」


義理人情に厚いスパイクならではの言葉だ。スパイクは理性よりも感情を優先して行動するところがあり、危なっかしい印象もあるのだが、子供っぽいわけではなく、達観した大人の雰囲気もある。格好よくも隙のある憎めないキャラクターだ。



ここからは、そんなスパイクの粋なセリフの数々の中からいくつか紹介していく。



ジェットが昔の恋人に会いに行く話があり、その中で、スパイクとフェイのこんなやり取りがある。


フェイ「昔の女が今でも自分のこと考えているなんて大間違いよ」

スパイク「女がみんな自分と同じだと思ったら大間違いだぜ」


気障な感じのするセリフだが、スパイクのキャラクターと山寺さんの演技力で、違和感なく、ごく自然なセリフとして、スパイクの言葉になっている。作品を見終えた後、さらに心に響いてくるセリフなので、このシーンはぜひ注目して見て頂きたい。



他にも、スパイクらしいこんなセリフがある。


「怪しいもんさ」


スパイクが敵を追跡中、敵に見つかってしまい誰かと問われた時のセリフだ。敵に見つかった時のよくあるセリフとして「怪しい者ではございません」というのがあるが、スパイクは違う。スパイクは誰に対しても嘘をつかない、潔い男なのだ。自分に正直に生きるスパイクに憧れる。



今回は主にスパイクの紹介をしてきたが、他のキャラクターたちも魅力的だ。慎重な性格でビバップ号のまとめ役、家事をこなすなど家庭的な面も併せ持つ元警察官のジェット、強気な性格でギャンブル好き、記憶喪失の女性フェイ、明るい性格のムードメーカー、天才ハッカーのエド、人間並みの知能を持つビバップ号のマスコット、データ犬のアインなど、その他、各話に登場するキャラクターたちも個性があり魅力的だ。



コロナウイルスの影響で外出の出来ない今、ぜひお家でカウボーイビバップを見てほしい。


最後に、スパイクのこの言葉を皆さんに送ります。


「過去はどうあれ、未来はあるだろ?」

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