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詩にしたとたんに空に飛んで行ったらいい、悲しみというものは

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詩集 ❘ 感情の端の一瞬のきらめき。 【テーマ:悲恋、孤独、抑圧】
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#言葉

冷たい波をもつ海が

温かい言葉をかけてくれた人がいた。 その時ほしかった、とても優しい言葉 誰かがかけてくれ…

銀森 そのみ
9か月前
3

流れる詩

さっき胸の中で流れた詩の 最後を忘れてしまった ざらざらと音をたてて 粉々に消えてくれ…

銀森 そのみ
9か月前
5

消えてしまった私の言葉は

twitterの誤作動に 軽い気持ちでアプリを消して、入れ直したら 下書きが全て消えてしまった …

さよなら悲しみ

自分が思うよりも 随分と長く生きたので 私は泣く方法をもう知っている 心をゆるませ、涙腺…

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「終わり」の後 3

《終わり》を美しくやり直したい自分と、 復讐したい自分と、 いいとこ取りだけして楽しみた…

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「終わり」の後 2

見限ったから、 もう尊敬なんて、これっぽっちもしていないから、 だからしごく対等に付き合…

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ミラボオ橋

アポリネールの詩に 突然なにかが決壊して泣き出してしまったので、 いつか近いうちに 私はきちんと涙を流さなければならない。 ミラボオ橋 (作 ギイヨオム・アポリネエル)    ミラボオ橋の下をセエヌ河が流れ われ等の恋が流れる わたしは思ひ出す 悩みのあとには楽しみが来ると (中略) 流れる水のやうに恋もまた死んで逝く 恋もまた死んで逝く 生命ばかりが長く 希望ばかりが大きい (中略)  日が去り月が行き 過ぎた時も 昔の恋も、ふたたびは帰らない ミラボオ橋

わだかまりがあったのか、ということすら

何か間違えたのかもしれない わからない 何とも思っていないのかもしれない そうであってほ…

15

遠い波の向こうに、過去

ふと、ああこんなにも、生きてしまったと こんなにも長い間 誰にもなつけず 誰にもなじめず…

8

優しい夜/なかったことにしたもの達

すれ違う悲しみを、――私は見えないふりをする 降り落ちる孤独を、――私は見えないふりをす…

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一方的な熱量/秒

あなたを見つけた回数を あなたとすれ違った回数を 数えて 数えて 数えて あなたと過ごす…

15

見つけて

身体だけ綺麗なままで 心だけずたずたに傷ついてゆく 平凡な、ともすれば明るい人生を歩いて…

11

life goes on

かけ違われ続けるボタン ペアにならないカード 読まれない札 手の中にあると思っていた き…

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子どもが大人を好きになるということ 4

人づてに聞いた知らせ。 三年も経ってから。 心が、死んでしまった。 あのひとの手の温かさを のせられた手の重さを ずっと大事に抱え込んでいた心が。 私だけだった。 私だけが恋をしていた。 私だけが、あの瞬間を大事に覚えていた。 心のなかでそっと転がし あたため 感触をたしかめ いつまでもいつまでも ずっとずっと あの瞬間の心の動きを、大事にしていた。 私だけが、そうだった。 死んだ心を抱えたまま 時間だけが流れてゆく 体だけが大人になってゆく。 焼いて弔ってあげる