見出し画像

肚(はら)の声を聞く

皆さんは何かの決断をする時、どうやって決めますか?

もう何年も前からVUCA、Volatility(変動)、Uncertainty(不確実)、Complexity(複雑)、Ambiguity(曖昧)の時代と言われ、テクノロジーの発達により社会構造が変わり、人は100年も生きるのだと言われ、平成になって間も無く社会に出た昭和の私からすれば、大学卒業時の価値観は大きく変化しています。

当時、大学時代の友人は、当時でさえ古風なお父様の勧めで、信託銀行に事務職として就職。
1歳年下の妹と順番が逆転しないよう、23歳にはお見合いして婚約、25歳には結婚することを絶対とされていました。
30年経ち、どうなったかというと、就職した信託銀行は何回か合併し、彼女は途中で総合職に転換し、今は支店長です。そして独身。
父の価値観や願望は見事に崩れ去り、娘も時代の波とともに強くたくましく生き延びました。

今はコロナ禍も被さり、さらに社会は大きく変化しました。
もう「正しい判断」も「正しい生き方」もない。
これをやれば必ず「成功する」ことも、「幸せになる」こともない。
そんな時代なのだと思います。

何かを決断する時に、よくプロコン (良い点(Pros)/悪い点(Cons))を書き出せと言われます。
私も時々セオリー通りやってみます。
そしていつも「で?」となります。

以前、一軒家を自分で買おうと思い、すでに仮契約も済ませた段階で迷いが顕在化し、プロコンを書き出してみました。
結局、プロコンでは決めれませんでした。(最後は友人がアミダを作ってくれました笑)

人間の思考で想像しうるメリットやデメリットをいくら書き出したところで、自分が見えている視界の中での言葉遊びや一般論でしかない。自分と切り離し、他人事として客観的にいくらでも書き出すことができてしまうのです。


いくらコンサルティングのノウハウやフレームワークに乗せたところで、結局、課題を綺麗に整理しただけであって、それをやるリスクを取るかどうか、チャレンジするかどうかを決めるのは、論理的思考とは別のところにある、といつもコンサルティング・コーチングをしていて感じるところです。
(戦略を練るためにプロコンを事前に想定しておく、もしくは、自分の中の何かに気づくために書き出すことは有効だと思いますが)


結局、人は肚の声に従い、やりたいか、やりたくないか、で決めます。
そこには熱量が必要です。
その肚の声は、自分の原体験からくるビジョンやミッション、時に、強い痛みや葛藤などの闇から放つ願いの声です。それは温度感や手触り感がある、あなた自身の内側から生まれるもの。
それはセルフ・リーダーシップです。

それがなければ、リスクを犯してチャレンジすることも、決断することも、未知のことに他者を巻き込むこともできないでしょう。
そして、もしセルフ・リーダーシップを発揮していれば、何が起きても、世の中がどう変化しても、自分で決断したという自負によって、結果に関わらず、満足感も納得感と共に前に進むことができるでしょう。


皆さんは肚の声を聞いていますか?
自らの願い(時にシステムとしての組織や企業の願い)とつながっていますか?

残念ながら、人間は自分の内側に、なかなか繋がることができないのも事実。
思考や潜在意識・恐れが邪魔をし、その声を聞くことを阻害します。
一時の感情で決めてはいけないという固定観念もあります。
他の人はどうしているのだろう?普通はどうするのだろう?と外側が気になったりもします。

ビジネスコンサルティングやコーチングは、支援者が第三者として鏡のようにその人の本心を映し出したり、壁打ちにより本人の思考を整理・明確にしたり、自分が自分の言葉で確信や納得感を得るための道具であり機会です。
時に、本人さえ気づいていない領域に鋭く切り込み、共に真実を見に行く成長の旅路でもあります。

人生の大切なタイミングで、組織を率いる人が大きな判断をするタイミングで利用して欲しいと願っています。

自らの内側から外側の世界を創る人・組織を支援しています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?