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わかりやすいビジネス本は危険


先日、あるコミュニティで、編集者の方から

「良い文章を書くには事前取材が9割」
「アンテナに引っかかったものは歴史から最新までとことん調べる。そうしないと掘り当てられない」

という話を伺いました。


そして、別のコミュニティでは

「わかりやすい文章を読んでいると、わかりやすい文章は書けないというパラドクス(逆説)」

という話がありました。


ふと、わかりやすく書かれたビジネス書は危険だなと思いました。




著者は参考文献や論文を一次情報として読み、その中から、自分の伝えたいことをわかりやすく伝えるために、もしくは、自分の思考が作られたプロセスを紹介するために(もしかしたら権威性を全面に出すために)、必要な箇所を引用します。

それによって、本の内容に深みも出るし、説得力も増します。



往々にして、その引用された文献や論文はわかりにくい抽象的な文章で書かれており、よりアカデミックに近いものです。



読者は、難解な文を読まずとも、そのエッセンスがわかりやすい説明とともに著者の主張にそぐう形でキュレートされたビジネス本により、短い時間で必要な情報や結論を入手できる利点があります。



一方で、著者が莫大な時間と労力によってより本質に近い理論を読み解き、自分の頭で考え、わかりやすくまとめ上げたビジネス本ばかり読んでいると、読者の思考力の向上は見込めないということです。



ビジネス書が悪いわけでありません。
思考力を高めるなら、人の思考力を当てにせず、一次情報・参考文献にも向きあえ!という話です。
自戒を込めて。


ちなみに・・・
『ドラッカー・スクールで学んだ本当のマネジメント』藤田勝利著 日経BP

5月24日(月)18時30分からTransform cafeにて著者藤田さんと共同創業者の稲墻さんが語る会を実施しています。無料です。


本の内容は「わかりやすく」、cafeは議論が盛り上がり、大変面白いです。
私は司会として参加しています。

ご興味がある方はこちらへ

わかりやすいビジネス書やセミナーを否定しているわけではなく・・・
入り口だけで終わらせるのかどうかという話。


ただ、知的欲求(自己鍛錬?)沼の深さと積読の高さは比例するのかもしれないです。
やばい。



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