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酒脱戦争〜おとんの死

ある日突然


ある日突然、車運転してたらなんや身体おかしい。

身体全体が痺れて行くような感覚やった。

そしたら、硬直してきて身体全体に激痛や。

これはあかん思うて、電話かけようにもボタンが押されへん。

なんとかかけたおとんとおかんは電話にでーへん。

次かけた人がやっと出てくれても、ろれつが回らんで話し言葉もカタコトや。

時計だけは見えてた。
10分はかかった。

「あかん、頭の線切れてもうたわ。」
「子供らどうしよう。残して死なれへんのに。」

思った。

なんとか電話に出てくれた人の機転のおかげで30分後に救急車きてくれて。

救急隊の人、私の顔見て察してくれたんか
「大丈夫や。過呼吸からの発作やから、死なへんよ。大丈夫やからな。」ゆーてくれて。

ほっとしたのを覚えてる。

その後、はじめてうつ病とパニック障害だといわれた。

車の運転するたびに発作が出るようになってから運転も出来なくなってしまった。


ほんまに優しい人



うちのおとんはほんまに優しい人やった。

誰にでも優しい人やった。

生きてる間に怒られたんは2回だけや。

小さい頃、おかんに怒られて外へ放り出されても助けてくれんのはおとんやった。

いつも、私の味方でいてくれた。
いつも助けてくれた。

車の運転が出来なくなってしまった時も、どんなに遠いところへ行くにも代わりに運転してくれた。

おとんはいて当たり前の存在だった。

おとんが癌?




うつ病とパニック障害の薬をもらうようになって、少し落ち着いてきた頃やった。

おとんに癌が見つかった。

最初は、毎年会社で健診受けてるし、切ってもうたら大丈夫やなんて思ってた。

でももう見つかった時にはかなり進行した状態やったみたいやった。

それでも、おとんが死んでまうなんてこれっぽっちも思ってなかった。

あっと言うまだった。
1年と立たず、癌が見つかってから8ヶ月ぐらいで行ってしまった。

大好きやった。

信じられへんかった。

死んだことが認められへんかった。

私ばっかり



まだ60半ばやった。

「なんでなん?」
「なんでうちのおとんやの?」

受け入れられやんかった。

「なんで私ばっかりこんな目にあうんや。」

「私ばっかり」が引き金になった。

ますます、酒の量は増えていった。




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