エンドロールのその後 PENTAGON『Don’t』所感

※この記事はPENTAGON『Don’t』(作曲:KINO,WOOSEOK,KimZion,GaYeony 作詞:KINO,WOOSEOK,Kaito Akatsuka 編曲:KimZion,Yo Seb Son) から一部歌詞を引用しています。全て、個人の感想です。

PENTAGON楽曲の中で、私を特に堪らなくさせるものの一つは「お互いの、相手への想いの重さが釣り合っていないことへの絶望、虚しさ、辛さ」を表現するところである。こんなに愛したのに、相手はちっとも心を向けてくれない。それどころか、自分から離れていくなんて。たくさんの時間を、たくさんの自分を、「君」に捧げてきたからこそ生じる、憤りや憎しみ、どうしようもなさ。Daisyなんてもろにそうだし、Do or Notのユウト➡フイのパートでも観覧車JPverのユウトウソクパートもそう。そして、Don’tもまた例外なく、これだけ想っているのに何も変わらない現実に傷つく姿が始終描かれている。

Don'tの中で、特に愛おしいのがここ。

外せないこの仮面
こんなもんだったのか
信じたくもない

PENTAGON『Don’t』

「君」の為に取り繕ってきたのであろう仮面が、外せないと言うんです。声だって聞きたくもない信じたくもない相手の為の仮面が、外せない。外せないのは、「君」にまだ執着しているから。「君」にまだ、想いを寄せているから。ここのパート、何とも言い難くさせているのは、ヨウォンとユウトでパート分けをしているからってあれ待ってこんなもんだったのかシノンの声にじゃね?ヨウォンシノンユウトでパート分けしてるんですね。「君」を諦めようとしているのにそれができないヨウォン、「こんなもんだったのか」と自分の気持ちに改めて気づき感嘆するシノンに、ユウトが「信じたくもない」と、そんな自分を認めたくないと呟く。ここ、人を、歌声を分けたことによって、より自分の中で「君」への想いに踏ん切りがついていないのがより強く出ているような気がします。ヨウォンが気付きで、シノンが驚き、ユウトがその否定。作中の自分の中の気持ちを否定したいのがよりはっきり出てると思います。否定したいけど、自分の中で「君」の存在が大きいことは事実なんでしょうね。

20220919追記
「こんなもんだったのか」、自分がまだ仮面を外せないことへの自分に対する呆れの意味も込められてると、私はちょっと嬉しいなと思う。消し去りたいとまで思う「君」なのに、「君」のために作り出して、身にまとったものを、全然手放せない自虐。それは、もう「信じたくもない」でしょうよ。


そんな「君」を諦めきれていない「僕」の願いは何か。

君を忘れさせてくれるならば

PENTAGON『Don’t』

何事もなかったかのように 消してしまいたい

PENTAGON『Don’t』

どこかでも書きましたが、人は今手元にないもの、変わってほしいものに対して祈り、願うはず。それを踏まえて、「君」を自分の中から消してしまいたいと願う心は、見方を変えると、やはり今でもなお「君」を自分の中から消すことはできていないとわかる。何が切ないって、「忘れさせてくれるなら」という歌詞。「~させてくれる」ということは、何かの手助けがないとそれが難しいということ。もう自分だけの力では、「君」を自分の中から消すこと、忘れることはできないということではないでしょうか。

20220919追記

奈落へ崩れ落ちてしまった ll mondo
ただ君の事を考えるだけで

PENTAGON『Don't』

落ちていく愛は Falling

PENTAGON『Don't』

Don'tという楽曲、音と彼らの歌声が相まって透明感の強い印象がある。ガラス、みたいな。綺麗で透明で、脆い何かを曲全体から感じる。それが、落ちていく。奈落の底へ、落ちていく。勿論、落とされたガラスはバラバラに壊れ、崩れ去ってしまうでしょう。そして、「君」を忘れさせてくれる何かを欲している「僕」はきっと、この「僕らの愛」の、ガラスの欠片を手放せずにいるのではないか。ガラスの破片だから、きっと「僕」の手を傷つけることもあるかもしれない。けど、自分だけではもう、手放すことは出来ない。だから、曲中最初と最後、2回も歌われるんだよ。忘れさせてくれるなら全部消し去ってよ、と。

「覚えていたい、忘れたい、忘れたくないという願い・祈り=愛した痕跡、形」としている私、心臓を押さえながらそのまま墓に入りました探さないでください…。PENTAGONいっつもそう。相手との記憶とその時の気持ちを独りで全部抱えてずっと生きていくんだよ。相手への大きな思慕とそれでも変わらない現実に傷つきまくった心を、慈しんで、大事に大事にずっと、きっと一生持っているんだよ。いっつもそうだよPENTAGON。独りで自己完結するだけの愛を表現するのうますぎる。切ない。ただ、只管に、切ない。

今回のDon’t、私の中では特にウソクがラップではなく歌に徹するのが印象的だった。ラストの消えてしまいそうな、今にも泣きだしてしまいそうな、自分でどうこうするのを諦めたような、そんな声をあげて歌い上げるウソク。ウソクのパート、全部そうなんだけど、ラストは特にウソク以外に歌わせたくないレベルでウソクの声がマッチしている。ウソクの声に幼い印象を持ってるからかな。より傷ついてる感じが強く出てると思う。本当になんでなのか、全然わからないんだけど、ウソクが、ラストを歌ってくれて本当に良かった。

ペンミの感想ですが、エンドロールとの親和性高すぎませんか?この曲。失恋の曲、愛が終わった曲をエンドロールで流す。

崩れ落ちてしまった 僕らの愛
これ以上何があるのだろう

PENTAGON『Don’t』

終わり。「君」との愛は、終わり。終わりなんですよ、「君」は絶対に戻ってこない。これ以上、何も無いんだよ。そして、エンドロールが終わった後も、私たちは容易に想像できるはず。きっと作中の「僕」は「君を忘れさせてくれる」何かには出会えずに、傷ついたまま、生きていくのだろうと。それは一生続くのだろうと。

ッカーーーーーー!!!!カンヒョング大先生!!!!!!一生ついていく!!!!!!こんな正しく人間らしく、ただ切なく、ただ美しい未練たらたら自己完結ソングを作り続けてくれ…頼む…

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