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マリファナ合法化運動はこうして始まった

1964年8月16日、ヘイト・アシュベリーに住むローウェル・エッゲマイヤー(Lowell Eggemeier)は、サンフランシスコの警察署に足を踏み入れた。そこでかれは静かにジョイント(マリファナ)に火をつけ、大きく吸い込み、ゆっくりと息を吐いた。そして、近づいてきた警官にこう言った。

「逮捕してくれ」

警官は即座にかれを逮捕した。

これが、アメリカにおけるマリファナ合法化運動の始まりだった。それまで誰も吸っていなかった場所で大胆に吸うことで、マリファナを吸うことが政治的行為であり、非暴力の市民的不服従の行為であると、かれは主張した。

エッゲマイヤーは、ジェームズ・ホワイト3世を弁護士として雇った。ホワイトもエッゲマイヤーも、大麻を吸うことは何よりも個人の自由の問題であり、娯楽や医療の目的で大麻を吸うことは、自分以外の誰にも関係のないことだと信じていた。もちろん、政府にも警察にも関係のないことだと強く信じていた。

ホワイトは、エッゲマイヤーの釈放を求める人身保護令状ヘイビアス・コーパス)をカリフォルニア州最高裁判所へ申請した。

ホワイトは、マリファナを違法な麻薬とすることは憲法修正第8条の残酷で異常な刑罰の禁止と第14条の適正手続条項に違反し、違憲だと主張した。また、大麻がタバコよりも習慣性や人体に対する毒性が低いということも主張した。

ホワイトは、エッゲマイヤーの弁護活動の一環として、「LEMARlegalize marijuana)」(大麻合法化)というグループを結成した。この団体は、大麻を禁止する法律を改正することを目的としたアメリカ初の組織だった。LEMARは、大麻取締法改正のためにパブでのデモを何度も行った。

結局、エッゲマイヤーは大麻所持で有罪判決を受け、短い刑期を終えて姿を消した。しかし、彼のたった一度の市民的不服従の行動は、その後の全国的な草の根運動に大きな影響を与えたのだった。(了)

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