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戦争と薬物

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疲労、飢餓、恐怖、睡眠不足、これらが戦争のもっとも基本的な要素である。薬物はこれらの問題を中和する手段である。個人の戦闘行動も、集団の戦闘行動も、すべてその当時の文化規範や道徳規…
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#イギリス軍

ズールー族のシャーマンは戦士たちに魔法の薬草を与えた

19世紀から20世紀初頭にかけて世界中で行なわれた植民地戦争では、多くの現地部族は技術的にも組織的にも圧倒的に優れた帝国軍を相手に戦わなければならなかった。そのため彼らは、多種多様な刺激的かつ幻覚的な精神作用物質を噛み、吸い、飲み、食べることによって、自らの精神を鍛え上げた。 たとえば、1879年のイギリス軍とズールー王国との戦い(ズールー戦争)がそうであった。 1879年のイサンドルワナ(Isandlwana)の戦いで、ズールー族はイギリス軍に対して兵器では圧倒的に劣って

ラム酒は大英帝国のシンボルだ

西部戦線の塹壕の朝は、まだ薄暗い午前4時半頃に始まった。 兵士たちには紅茶とパン、それに少しのベーコンが与えられた。平和なときは、塹壕の外で朝食を執ることもできた。さらに運が良ければ、司令官が濃くて強いラム酒を配給した。S.R.D.(特別食糧部)と書かれた陶器の瓶から、一人当たりティースプーン2杯ほどのラム酒が鉄のスプーンで与えられた。それはまるで厳かな宗教儀式のようだった。ただちに熱い紅茶に入れる者もいたが、ほとんどはそのまま時間をかけて舌に染み込ませた。 サトウキビの