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ランニングと膝と骨切り術2

<初めてのフルマラソンと脳内麻薬>
  2014年のホノルルが初めて走ったフルマラソンだった。通っていたジムのランニングレッスンに出ていた時に、ジムが毎年組んでいたホノルルマラソンツアーに誘われたのがきっかけだった。それまでは最長でも10kmぐらいしか走っていなかったのだが、ツアーに参加を決めると本番半年以上前から距離練習やスピード練習、ランニングに特化した筋トレなど様々なプログラムが用意されていて、それにのっかっていればまあなんとかなるかなと受け身のお任せ状態で淡々と与えられた練習をやっていた。走れば走るほどタイムもよくなっていき5時間切りを目標にしていたが、最終的にコーチには4時間半のグループに入って走ってみてくださいと言われた。
 そしてホノルルへ。前日のカーボローディングパーティーでパスタとカレーとパンケーキをお腹に詰め込み、本番当日はまだ真っ暗な朝5時号砲。何しろ参加人数が多いので、スタートして30分ぐらいはスロージョグペース。身体が冷えてすぐにトイレに行きたくなったがトイレも長蛇の列でなかなか番がまわってこない。帽子に目印の風船をつけた4時間半のペースメーカーがいるグループからもすぐに置いてきぼりになり、これじゃあ4時間半どころか5時間も無理だなと思って一人で黙々と走った。そうこうするうちに5時間のグループを追い越し、ハーフ手前ぐらいまで来た時で4時間半グループに追いついた。この辺りで初めてランニング・ハイを体験。ドーパミンだかβエンドルフィンだか大放出、とにかく羽が生えたように身体が軽く、このままどこまでもどこまでも走っていけそう!マラソン、終わらないで!という気持ちが沸き起こって楽しくてしかたがなく、顔もニヤける。
 25km辺りでペースメーカーから「行ける人は先にいっちゃって下さい」と言われ、疲れも感じていなかったのでペースを上げる。沿道から、「がんばれば4時間も切れるよ!」と声がかかり、思ってもみなかったサブフォーが頭に浮かぶが、現実はそこまで甘くはなかった。ホノルルは最後にダイヤモンドヘッドの丘へと続く長い上り坂が待っていて、ここで息があがって辛くなりどんどんペースが落ちる。でも周りもみんなキツいのは同じで互いに声を掛け合いながら坂をのぼりきり、あとはフィニッシュまで下るだけ。最後はさすがにもう「終わらないで」なんて気持ちは雲散霧消、早く止まって楽になりたい〜とフィニッシュに突っ込んだ。
 結果は4時間7分23秒。脚も身体もあまりダメージを受けておらず、53歳での初マラソンは思った以上のいいタイムだったが、これが私の大間違いランニングの始まりだった。沿道で聞いた「がんばれば4時間切れる」が私の欲に火をつけた…。
(3に続く)

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