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その制作意欲はどこから? - 人工島で見たアート
ちょっと前、お盆の間の日曜日に、三島喜美代のインスタレーションを見にART FACTORY城南島へ。
三島喜美代は1932年生まれで今も現役。去年森美術館でやっていた「アナザーエナジー」展の錚々たるアーティストたちの中でも存在感を放っていた。
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「アナザーエナジー」は70を超えてなお活躍する16人の女性アーティストたち(うち、一人はご逝去)の展示で、最高齢は106歳!
作品もさることながら、彼女たちが語るビデオ映像に釘付け。みなさんすごくパワフルでエネルギーに満ち満ちている。
草間弥生とか小倉遊亀とか篠田桃紅とか、日本もアーティストは長寿が多い印象だけれど、何かを生む・創るという作業は元気じゃないとできないし、逆にそういう活動が生きる原動力になっているのだろうな。
この時三島作品は展示の後の方にドドーンと現れたのだが、陶にプリントした新聞や雑誌の束や空き缶、段ボールのインスタレーションが、ゴミをモチーフにしているのに妙に心地よかった。
以下、写真はART FACTORY城南島。
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ART FACTORY城南島は、こんなところに⁉︎というような、とんでもない場所にぽつんとある。羽田空港滑走路と運河を隔てたお隣の、倉庫や工場しかない人工島。住宅も店舗もなく、コンビニが一つあるだけ。
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モノレールの流通センター駅から40分ほど歩いて行ったのだが、お盆の真っ只中ということもあり、駅周辺は人も車もなくSFの街のよう。日陰のほとんどない炎天下、歩いている人は誰もおらず、たまに釣り道具を持った自転車の人が通るくらい。
そして辿り着いたART FACTORYは、入った時から出るまで夫と私の貸切状態だった。
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Wreck of Time90
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Box Charcoal-N13
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Work12-CS2
この部屋を抜けると…
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ポリエステル製の新聞の束
積み上がった新聞の束の迷路。森美術館の展示の時よりスケールに圧倒される。
作品リストの解説によると、氾濫する情報に埋没する恐怖や不安感を表したものだそう。約30年の間三島が旅した訪問先から持ち帰った新聞で、時間と場所の記録でもある。
子どもはこういう所、好きそうだな。私も好きだが。
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Work92-N
割れる素材は、読み終えた後の情報はゴミとなり脆く砕けることの象徴。
その先には、
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Work 2000-Memory of 20th Century
このレンガも、一つ一つに新聞記事が転写されている。三島が過去100年の新聞記事を図書館のマイクロ資料から選んだという。
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三島が圧倒的な物量で繰り返し表現する、日常に溢れる情報は無用のゴミとなるという考えが、直射日光に晒されてよく働かない私の脳にこれでもかと迫ってきた。
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豊島の産業廃棄物で造られた。
隅の赤い螺旋階段を上がると
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これだけの作品を生み出すエネルギーはどこから来るのだろう?制作には三島に賛同したアーティストや学生たちの協力を得ているとはいえ、「よし、作ろう!」と頭と身体が動くところがすごい。突き上げさせる、湧き上がらせるその何かをもっと知りたい。
2階のキャットウォークの壁沿いには、ピカソがアンドレ・ヴィラールの写真をコラージュしたものにジャック・プレヴェールが詩をつけた作品がずらーり並んでいる。
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3階は寂しげなペッパー君が来館者をじっと待っている小さな浮世絵展示スペース。なんだか星新一のショートショートに出てきそうだ。
4階はアーティストの制作用スタジオ、さらに上は次々に離発着する飛行機が見られる開放的な屋上。
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午後3時以降の都心上空から滑走路に侵入する南風運用ルートなら、すぐ真上を通るのが見えたはず。この時は2時台だったので東京湾の方から。館外の自販機で買ったコーラを飲みながら、しばらく飛行機を眺めた。
帰りは1時間に1本のバスに乗って駅まで。
私たちが乗った2つ先のバス停からは、城南島海浜公園で遊んだと思しき家族連れやグループが乗車。先月飛行機で実家から帰ってきた時に、羽田に着陸する寸前、浜辺で遊ぶ人たちが表情まではっきり見えたがここの海岸だったのか。
ART FACTORY城南島は、東横イン元麻布ギャラリーが、芸術・文化活動の一環として運営を行なっている。
こんな贅沢な空間に、見応えがある作品が無料で一般に開放されている。
メセナってこういうことなのだなあ。
また来よう。次はもっと涼しい時期に。
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