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ねんねしたら、おめざにネズミをあげるよ- ネコ展

 港区立郷土歴史館で「Life with ネコ」展。
展示は先月見ていたが、太田記念美術館の日野原健司主席学芸員による特別講座の抽選に当たったので一昨日再訪。
とにかくくじ運が悪いので今回もダメだろうと思っていたのだが、申し込みが往復葉書のみというアナログ式だったせいか、運がまわってきた。受講者は予想通り(私も含めて)ほぼシニア。往復葉書は若者にはハードル高かろうよ。

ポスターがかわいい

 私は犬派だけれど、鑑賞対象としてはネコに軍配。Eテレ0655でもイヌよりネコにフォトジェニックさんが多いと思っているし、AERAに連載されている沖昌之の「ねこしゃあしゃあ」も大ファンだ。

 展示は動物考古学の観点から見たネコ、平安期以降の猫が登場する文献、そしてメインは江戸から明治期の浮世絵や子ども向け浮世絵のおもちゃ絵に描かれたネコ、招き猫の変遷など。あとの方にイヌも小部屋で紹介されていたけれど、おまけ扱い。
昔の人たちも、ネコのほうが描き甲斐があったのかも。

 講座では、おもちゃ絵に描かれた擬人化されたネコたちについて丁寧に説明してくれて、絵の横にうにゃうにゃ添えられている文の解説もあった。展示の絵が小さくて見づらく、文もよく判読できなかったので、プロジェクターで拡大して見せてもらえてよかった。ネズミ避けの猫の絵や、招き猫の歴史もなるほど〜な事がいっぱい。

タイトル写真は歌川国利の『しんぱんねこあそび』より。子ネコたちを寝かしつけている母ネコが「はやくねんねおしよ、おめざにネズミをあげるよ」とあやしている。

以下、図録やフライヤーの『しんぱんねこあそび』からいくつかかわい子ちゃんたち。キャプション「」は絵に添えられた文。『きょうの猫村さん』のご先祖様たちですね。

当時のモードなボーダー水着で
「それきんぎょだ おもいぞ」
「おんぶしていくから
なくのじゃないよ」
「日本大勝利の旗」
「ねこじゃねこじゃ」


 歌川国芳の『金魚づくし 百ものがたり』。
この絵柄のTシャツ、東京国立博物館のミュージアムショップで昔買ってくたくたになるまでヘビロテしていた。

「にゃっ!」といきなり来られて
慌てふためく金魚とドジョウ

国芳は大変なネコ好きだったらしい。河鍋暁斎が『暁斎画談』で描いた国芳の画塾では、国芳先生、たくさんのネコ達ににゃーにゃー纏わりつかれながら絵の指導をしている。

『絵兄弟やさすかた 鵺退治』歌川国芳

かつおぶしを失敬しようとして「こらっ!」って頭をはたかれる瞬間。思わず目を細めて耳が倒れちゃう描写、さすが国芳。

 こちらは歌川国貞。

『美人合 春曙』歌川国貞

お姉さんに前脚つかまれて「あんよはじょうず」と遊ばれている。江戸時代の人もやってたんだ。

 他にも展示では擬人化されたネコの学校、料亭や牛鍋屋の客、ネコ鬼がいるネズミの地獄絵など、じっくり見入ってしまう楽しい絵が盛り沢山。

 港区立郷土歴史館の建物は、昭和初期に建てられた公衆衛生院をリノベーションしていて、当時のままの姿を残している部分も多くある。
同じ建物内の「ゆかしの杜」という複合施設には、図書室、子育てひろば、学童、区民協働スペース、カフェなども併設。

ゆったり贅沢な建物。
東大安田講堂を手掛けた内田祥三の設計
開放的な中央ホール
当時の講堂もそのまま保存

館内ではクイズラリーや

顔はめパネルも

次はネコ以外の動物浮世絵を見に太田記念美術館へ行こうと思う。

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