さよなら、シュガーマン
シクスト・ロドリゲスが8日に亡くなっていた。
81歳。
ロドリゲスは70年代から活動していたけれど、私が彼の事を知ったのは10年くらい前。
夫の知り合いが「すごくいい曲だから聴いてみて」と言ってくれたこのCDで。
アルバム名"Searching for Sugarman"。
同名映画のサウンドトラック。
CDには知り合いの書いたメモが挟んであった。
「ロドリゲスは70年代にアメリカで音楽活動をしていたが、商業的に売れずミュージシャンは辞めて労働者となり家族を養っていた。
ところが彼が歌った『シュガーマン』はなぜか南アフリカでは大ヒットしており、その歌は反アパルトヘイトの運動を行う人々に熱烈に支持されていた。しかしロドリゲスはその頃は完全に活動を辞めていたために、90年代までほとんどの人々は彼は既に亡くなっていると思っていた。
実は生存していると知った南アフリカの二人の音楽関係者がアメリカに渡って彼を探し出す過程、そして再び南アフリカでコンサートを行うまでを追ったドキュメンタリー映画のサウンドトラック」
これをくれたのはアメリカ人で、日本ではまだ映画は公開されていなかった。確かにすごい話だけれど、これ、日本で公開されるのかな?とも思っていた。
でも、ハズレ無し名曲揃いのこのCD、すぐに引き込まれ、その年は繰り返しかけていた。
伸びやかな声にキレのあるギター、不思議なメロディーライン。
ヤクの売人を歌ったヤバい内容なのに、なんだか夕日のきれいな海岸が見えてくるよう(トリップのせい?)。
その後、2013年に日本でも『シュガーマン 奇跡に愛された男』として公開。キター!と劇場へ。
映画では、アメリカで普通に働いて暮らすロドリゲスの日常や、南アフリカに招かれたコンサートで熱狂的なファンに囲まれる様子が描かれていた。
あぐらをかいて座るロドリゲスの姿のタトゥーを腕に入れて、「ずっとファンだった!」と感ひとしおのおじさんファンもいたりして。
ロドリゲスの娘の一人が、南アフリカコンサートのスタッフと結婚したっていうのもちょっといいエピソード。
でも、何よりロドリゲスの人柄がよかった。
アメリカで「発見」された時、裕福ではないけれど普通に家族を養う父親として出てきて、落ちぶれた元ミュージシャンという悲壮感は微塵も無い。
南アフリカで実は大変なスーパースターなのだと言われても、へー、そうなんだ、という反応。
コンサートでも自然体。
欲がないというか、世俗から超越した感じ。
映画が終わり、夫と「ロドリゲス、いい人!」が最初の感想だった。
先日noteに書いたランニング時のプレイリスト、「シュガーマン」はモルヒネとしてではなく、クールダウン用として入れていた。
ちょっと気だるい感じがイイ。
今日はずっとこのアルバムかけている。
ロドリゲス、すてきな曲をありがとう。
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