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お弁当もふろくも魅惑のことば - お弁当のふろく展

お弁当という言葉、いい響き。ふろくという言葉にも、ワクワク感がある。
その二つが一緒になったら魅力も倍増だ。

gallery cadoccoで「美子さんのお弁当ふろく」展。

作者の田中美子さんが1973年から2年間、息子の幼稚園のお弁当につけていたお品書きとメッセージの紙製おまけ157点が展示されている。
汽車だったり家だったり巻物だったり様々な形で、それぞれきれいに彩色され、しかも凝った仕掛けがほどこされてポップアップのミニ絵本のよう。

今出ている『暮しの手帖』25号の記事でまず知って「ほぉー!」と思っていたら、8月24日の毎日小学生新聞、編集部だよりでも紹介された。

小さなギャラリーの棚いっぱいに
公衆電話やくだものカゴ
扉や窓を開くとメニューが
凧が上がったり下がったりするらしい
手に取って見られる物もいくつか。
電車が動くと家の中にメニューが現れる
おなじみの童話や


絵本のキャラクターも


とにかく一つひとつが凝っていて、架空のレストランや料亭の名前も遊び心に満ちている。
メニューだけでなく、クイズや算数の問題、ミニ知識も添えられていて、幼稚園ではみんなから大人気だったそう。
大人でも、ずーっと見ていたくなる。

『暮しの手帖』によると、息子さん(詩人で細胞生物学者の田中庸介氏)は幼い頃から漢字や数に興味があったそう。なのでお品書きにも牛蒡、隠元、莢豌豆なんて大人も読めないような漢字表記。

おまけのクオリティの高さに驚くが、田中美子さんは元々新潮社で装丁の仕事をしていて、その後フリーランスで雑誌や書籍の編集・装丁をされていた。

装丁作品のコーナー

別の場所、GALLERY装丁夜話では『美子さんの装丁のしごと』展もやっていたのでハシゴ。

これ読んだ、という本もあった。

先に見たふろくとは趣きが異なる、プロフェッショナルな仕事。

田中美子さん、今回初めて知った。
お弁当のふろくは、3年前に田中庸介氏とgallery cadoccoを営む配偶者の史子さんが実家の戸棚を整理していた時に出てきたそう。
紙もほとんど劣化しておらず、50年の時を経ているとは思えない、鮮やかなふろく。
一般に公開して下さって本当にありがとう!と思う。
この夏のいい思い出がまた一つできた。

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