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兵六のアウトフィットはindecentか?
我が家には現在60過ぎの大人しかいないけれど、普通の新聞の他に、毎日小学生新聞を購読している。わかっているようで実はよくわかっていなかった言葉、例えば宗教法人法に基づく質問権とかをきちんと解説してくれたり、哲学的な問いに答えてくれたり、大人の新聞よりためになる事も多い。
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対象読者である子ども向けのコーナーや記事も色々と楽しいのだが、先日『駄菓子の国』という連載にボンタンアメが取り上げられていた。
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鹿児島市のメーカー、セイカ食品の担当者への取材に基づき、製品誕生の歴史や「ボンタンアメはアメなのか?」問題について解き明かしていく興味深い記事で、読んでいて無性にボンタンアメが食べたくなってしまったのだが、そのボンタンアメの姉妹品の兵六餅のパッケージデザインにまつわる秘話も紹介されていて、ある思い出が甦った。
薩摩藩の武士、兵六が野狐を退治する「大石兵六夢物語」の一場面が描かれた箱。
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着物の裾を尻端折りし、二本差しで鬼火の中を化け狐退治に向かう兵六のこの姿に、戦後GHQからクレームが来たという。
まず、腰差しの刀が好戦的だということ。
そして、尻端折りのふんどし姿がハレンチだということ!
パンツ履かせよとまで言われたそう。
あくまでも昔話の中の侍の風俗で、ちゃんとジャパニーズパンツであるふんどしを身につけて大事なところは隠れていると説明して、無事今日までこのパッケージデザインが続いているわけだが、全く同じような事を私も経験したのだ。
今から30年近く前のある日曜日のこと。
保育園の年中くらいだった娘が教会学校の後で、お土産か何かでもらった兵六餅を食べていた。そこへアメリカ人の牧師がやってきて、娘が一個お裾分けした。
口に放り込みモグモグしながらパッケージを見た彼は、「あっ、このoutfitはちょっとダメ、indecentね。裸は恥ずかしいでしょ?こうしましょう」と言って、ボールペンで兵六のお尻を黒く塗り出したのだった。
横にいた私は突然のことにびっくりしたが、牧師はニコニコして塗りつぶし、それを見て娘はキャッキャと面白がって笑っていたので、まあ抗議するまでもないかとその場はそれで終わった。
キリスト教の宣教師たちは昔から、世界中で「未開で野蛮な」現地民に福音を説いて周りながら、進歩的で洗練された(と彼らが信じて疑わない)西欧の価値観を押し付けるようなこともあったのだよなあ。
平成の世になっても、小さな子どもも食べる駄菓子のパッケージにこんなお下品な絵が!と思われたのか。
明治以降洋装が普及するまでは、着物の尻端折りなんて足捌きを良くしたい時にはごく日常の格好だっただろうし、今でもお祭りなどでは褌姿は普通。力士は裸にまわしが正式な競技スタイルだ。
人を傷つけたり差別や人権侵害に繋がったりしない限り、その国の文化や風習を自国の価値観を基準に判断しないでもらいたい。
などとつらつら考えていたら、ボンタンアメだけでなく兵六餅も食べたくなってしまった。毎小の記事に「きなこや抹茶などを練り込み、コクのある和の味」なんて書いてあるし、そうそう、あれは確かに奥深い味だった、白あんや海苔の風味も効いてたよねと思い出す。ボンタンアメは都内のコンビニやスーパーでも買えるが、兵六餅はなかなか売っていない。
というわけで、有楽町の鹿児島県アンテナショップへ。
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こっちのパッケージはお尻の露出は控えめ。
いや、それより兵六、大丈夫か?ここにも鬼火が灯っているからこれもあやかしの化け蟹?
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兵六、色々怖い目に遭っているらしい。鯨のお化けみたいなのを見て腰を抜かしているバージョンもある。
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兵六餅もボンタンアメも、色合いやデザインなどよく見るととてもいいパッケージだと思う。
ところで、同じセイカ食品のこちらの商品も大好きだ。ボンタンアメを作っている会社の製品と知ったのはわりと最近。
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似たようなアイスバーは他にも沢山あるが、ランダムにたっぷり混ざったバキバキパリパリのチョコの塊りとアイスのバランス、ちょっと小ぶりのサイズ感も絶妙。
近所に売っているお店がなかなかないので、見つけると何箱か買っておく。
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ボンタンアメと兵六餅の話に戻る。
どちらもオブラートにくるまれたキャラメル型、サイズも食感も同じだけれど、毎小の記事によるとボンタンアメはあくまでも飴であり、兵六餅は餅なんだそう。
これからもずっと続いてほしい、優しい味のお菓子。
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