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【古美術品の買い付けに立ち合いました】

僕自身も企業に属し専門性のあるバイヤーですが、中国生活も長いと異業種のバイヤーから依頼・相談を受け買い付けに立ち会うことがたまにあります。

今回は古美術品。この世界は真贋の判断が難しくこれまで日本人の買った物を中国人バイヤーが日本で買い付けてる現状があります。それを逆輸入して日本の信用を使って中国人バイヤーが数倍で売るという世界。

中級品の世界はそんなんですし、これまで日本にあった高級品については日本で買い手がつきにくく香港・ニューヨーク等の海外に流失し続けているので、やはり掘り出しものは中国で探すしかない。今回は名前は出せませんが業界では有名な方の買い付けに立ち会いました。

場所も取引内容にも守秘義務があるのですが、出せる範囲のギリギリの写真。中国について話すと、唐時代前の物はほとんど残っていません。朽ちてしまうので結果、焼物・玉・仏像が残るのですが、その後の時代から現在に至るまでの偽物が市場に出回りすぎていて、中国のあちこちにある蚤市や美術品・骨董品を扱うビルなどに行くと素人ビンスキ(貧乏な数寄者)な僕ですら毒気にあてられて頭痛がしてくる。

その道の一流のバイヤーの買い付けに立ち会えるというのは、学びが多く本当に幸せな体験です。そしてこれはどの業界でも同じですが、結局最後は「人」で決まります。

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基本中国に出回る古美術品の八割が贋作と言われていますが、中国における贋作の歴史は長いので宋に作られた随の時代の贋作みたいのになると、贋作にも価値があったりして益々訳が分からなくなります。

写真は南北朝時代~宋時代の天目茶碗。動物と童子がモチーフとして描かれていますが、特に童子柄の物は珍しく歴史的資料の意味合いもあり、これは今回僕が個人で買ってしまいました。時間できたらゆっくり調べてみたい。

現状、中国人の関心は専ら中国の古美術品で日本の物はイマイチで、彼らから見ると日本の美術・骨董は全てパクりに見えるそう。墨絵は中国のコピーで油絵はフランスのコピー、かろうじて蒔絵と現代美術では藤田嗣治さんの作品は評価されつつある。

古美術品の良いところは、出せば必ず売れること。悪いところは、価格が読みにくいところ。最後はそれぞれの感性と嗜好なので、50万が1000万になることもあれば1000万が50万になることもあります。

が、ひとつだけ確実に言えることは、今後中国人の間で日本の古美術品への関心が高まること。今はとにかく安いので仮想通貨につぎ込むお金で一つか二つ、日本の古美術品を持っておくと物にもよりますがしばらく愛でて楽しめ、数年後売って儲かると思う。

理由は簡単で、ひと昔前は中国人は日本を通じて欧米を見てた。今は日本に来て日本を見てる。それが今後ジワジワと効いてくるのです。トレンドは爆買いからプチ買いに既に移行していてそのニーズをいち早く掴むことが肝要。古美術の話と離れるのでこれ以上は書かないけど、とても分かりやすい。

(こちらの内容は2018年にVALUにて投稿したもので、内容はその当時のものとなります)
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こういった中国での体験のあれこれをもとに、フィクションとノンフィクションが混じったKindle本も出しています。さらにディープな中国に興味のある方は是非!!!


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