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これは誰も知らないこと

人間たちはそれを作った。
どんどん気温が上がり生物が住むには耐えられない環境になったから。
定期的に日陰を作る人口の天体を。
それを宇宙に。

そして、皮肉なことに人間はそれが完成する前に滅んだ。
それは少しずつ少しずつ地球の周りを回りながら離れていく。
ゆっくりゆっくりと。

どれぐらいの時が過ぎたかはわからないが、再び人間が生まれ繁栄した。
空を廻るそれに神秘を感じ、たくさんの逸話を作った。
祈り、満ち欠けから暦を作った。
それがまるで当たり前にそこにあるから、それは自然の一部だと思っていた。

それが唯一本当の姿になるのは太陽を隠す時だけ。
日蝕こそがそれの本当の目的。

これは誰も知らないこと。


古代ナロェシュナの石板より

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