見出し画像

「最新ジャマイカ音楽シーン」世界の流行に敏感に反応し取り込む、ジャマイカ音楽の現在に迫る!

J-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:あっこゴリラ)。番組では、毎回ゲストを迎え、様々なテーマを掘り下げていく。
10月6日(水)のオンエアでは、「最新ジャマイカ音楽シーン」をテーマにお届け。ゲストに、『ミュージック・マガジン』のマンスリー・レゲエ・アルバム・レヴューを20年務めている、翻訳家で音楽ライターの鈴木孝弥さんが登場した。

■現在のジャマイカの音楽シーンでの主流は「ダンスホール」
ジャマイカの音楽といえば、「レゲエ」。多くの日本人が知っているレゲエ・アーティストというと、ボブ・マーリーだろうか。

そんなボブ・マーリーは、今から40年前の1981年に亡くなっている。2021年のいま、ジャマイカの音楽シーンはどうなっているのか。

あっこゴリラ:ジャマイカの音楽シーンって、どんな感じなんですか?
鈴木:日本と一緒でありとあらゆる音楽がもちろんありますが、その島のオリジナルの音楽があって、近代だとスカからはじまって、レゲエ、ダブ、ダンスホールなど、いろんなサブジャンルがあります。その全体を大づかみにして「レゲエ」と呼んでるわけです。
あっこゴリラ:なるほど~。
鈴木:このサブジャンルは、時代ごとにいろんな流行が次々に生まれていくんですけど、時間が経っても古い様式がまた新しい感覚と新しいテクノロジーでリバイバルされたりもします。また、新しい流行が横から出てきたと思ったら、昔のモードもサンプリングされたり、カバーされたり、参照されることもあります。このように新しいもの、古いものがスパイラルになっていく中で、新しい才能が出てきたり、おもしろい動きが起きてっていう感じで進化していますね。
あっこゴリラ:現在のジャマイカの音楽シーンでの主流は、どんなレゲエなんですか?
鈴木:現在のジャマイカ音楽を代表する、いわゆるヒット・チャートの大半を占めるスタイルといえばダンスホール。ダンスホールはカテゴリーの意味ですが、ジャマイカ音楽界で最重要かつ独特のメディアは、ストリート・パーティなんです。
あっこゴリラ:うんうん。
鈴木:大衆市民はそこに新曲を聴きにくるわけです。それが昔からのスタイルなので、ダンスホール・ミュージックというのは、第一義的に、そのストリート・パーティでプレイされ、市民を喜ばせることを念頭に作られています。
あっこゴリラ:現代のダンスホールは、どんなサウンドなんですか?
鈴木:その時々の世界の流行に敏感に反応して取り込んでいますが、今、音楽的に強い影響を受けているのは、ヒップホップ、トラップですね。主流の音の基礎というか。あとは、グライムやR&B、ものによってはテクノとか、もろEDMみたいな音もありますし、アフロビーツやレゲトン、アフロ・キューバン(クラーベ)といった、要するにアフリカ起源のビートと、それが世界の四隅で進化したあらゆる要素を貪欲に取り込んでいるって感じです。

そんな「最新のジャマイカの音楽シーン」から、まず鈴木さんが紹介してくれたのは、デビューが2021年にも関わらず初アルバムをリリースしたダンスホールの女王・スパイスと、このジャンルの世界的スター、シャギーとショーン・ポールが一堂に会した、今年最大のビッグな取り合わせによる大ヒット曲『Go Down Deh』。
Spice feat. Shaggy、Sean Paul『Go Down Deh』をradikoで聴く

続いて鈴木さんが紹介してくれたのは、ヒット・プロデューサーのルシアン制作、人気シンガー・コンシェンスと先ほどのダンスホールの女王・スパイスとの、典型的な男女の掛け合いチューン『Pay for It』。
Konshens, Spice, Rvssian『Pay for It』をradikoで聴く

次に紹介してくれたのは、ここ2年でダンスホール・シーンの顔役のひとりとなった、ジャマイカ第二の都市、モンテゴ・ベイのシックス・クルーのボス、Squashの『Feel Nice』。オートチューンやトラップの洗練された音とボーカルが新しい。
Squash『Feel Nice』をradikoで聴く

■ビートの自由な乗りこなしのキレとかスキルがすごい!
引き続き、最新のジャマイカの音楽シーンについて翻訳家で音楽ライターの鈴木孝弥さんに話を伺った。

あっこゴリラ:続いて紹介してくれるのは? 
鈴木:先ほどとはまた違った感じなんですけど、この3年でスターダムを駆け上ったスター、インテンスがこれまた気鋭のスターであるゴヴァナと組んだ、今年話題のギャングスタ・モードのリアリティ・チューン『Public Enemy No.1』です。若者たちの試練とか団結などがテーマで、“嫌われ者になってこそ強くなる”的な掛け合いがあったりして。
あっこゴリラ:おお~! しびれる~!
鈴木:何が新しいかって、今までの古典的なジャマイカンDJのフロウとかと全然違う、独特のリズム感とジャマイカの言葉の訛りやアクセントもあって、そのビートの自由な乗りこなしのキレとかスキルがものすごく素晴らしい曲です!
Intence, Govana『Public Enemy No.1』をradikoで聴く

あっこゴリラ:続いては?
鈴木:現ダンスホール・シーンの「コミカル担当」であるLaa Leeです。TikTokやYouTubeといったツールを効果的に使って人気が出た、現在大人気の若手スター。その彼が新型のダンスを提唱する曲『Dirt Bounce』です。
Laa Lee『Dirt Bounce』をradikoで聴く

■ヒップホップ/ダンスホール/アフロポップの融合「アフロフュージョン」
あっこゴリラ:続いて紹介してくれるアーティストは?
鈴木:ジャマイカでベテランの域に入った名女性歌手・イターナです。そのイターナが8作目の新アルバム『Pamoja』の収録曲で、ガーナの大スターであるDJのストーンボーイとコンビネーションした楽曲『Proppa』を紹介したいと思います。
あっこゴリラ:おお~!
鈴木:ヒップホップとダンスホールとアフロポップの融合、「アフロフュージョン」って言ったりもしますね。アフリカとジャマイカの両方に影響を与えていて、しばらく前から一つの一大トレンド、特にアフリカでの一大トレンドになっています。「アフロダンスホール」って呼ばれることもあります。
Etana, Stonebwoy『Proppa』をradikoで聴く

あっこゴリラ:続いては?
鈴木:ここ1、2年で出てきた最も新しいダンスホール・スターの一人で、今年のブライテスト・ホープ候補でもある20歳の男性シンガー・450と、こちらもおそらくデビューして1年未満の女性R&Bシンガー・Taddiのコンビネーションで『Romantic Gangster』という曲です。
あっこゴリラ:どんなアーティストなんですか?
鈴木:どちらもアイドルっぽくてかわいらしい感じで、日本のアイドル風ではないんだけど、いわゆるジャマイカ全体のシーンから言うと、この二人はとてもアイドルっぽい響きを感じます。
450, Taddi『Romantic Gangster』をradikoで聴く

あっこゴリラ:最後に紹介してくれるのは?
鈴木:ボブ・マーリーの孫であるJo Mersa Marleyの曲で、2010年代世代の新しい潮流「レゲエ・リバイバル」のスターの一人、Kabaka Pyramidが組んだ『Made It』という曲です。
あっこゴリラ:ヤバい組み合わせですね。
Jo Mersa Marley, Kabaka Pyramid『Made It』をradikoで聴く

この記事の放送回をradikoで聴く
PC・スマホアプリ『radiko.jpプレミアム』(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は『radiko.jpタイムフリー』機能で聴き直せます。

画像1

J-WAVE 81.3FM『SONAR MUSIC』
放送日時:月・火・水・木曜 22時-24時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/sonarmusic/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?