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待望の2ndアルバム『Hold The Girl』リリース! 今作で彼女が発するメッセージとは…


J-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:あっこゴリラ)。番組では、毎回ゲストを迎え、様々なテーマを掘り下げていく。

■何を想い、何を歌い、何を伝えているのか

番組では、9月16日(金)に2ndアルバム『Hold The Girl』をリリースしたRina Sawayama を特集。

ロンドンを拠点に活動する新潟出身の日本人アーティスト・Rina Sawayama。レディー・ガガやエルトン・ジョンとも共演。初来日ライブとなった、今年のSUMMER SONICのステージ上で行った同性婚の権利を訴えたスピーチも大きな話題に。そんなRina Sawayama は何を想い、何を歌い、何を伝えているのだろうか。

ゲストには、Rina Sawayamaに取材したエディターでフォトグラファーのKotetsu Nakazato(中里 虎鉄)さんが登場。雑誌『IWAKAN』を立ち上げ、今年4月に独立。現在は、ジェンダーやセクシュアリティにおける二元論や規範をときほぐすため、フリーランスでエディター、フォトグラファーを中心に幅広く活動。虎鉄さん自身もノンバイナリーであるとTwitterのプロフィールに書いている。

あっこゴリラ:虎鉄さんから見てRina Sawayamaの活動や発言には共感する部分が多い?
虎鉄:そうですね。僕は学生時代にゲイだと気付いたんですけど、その当時はエンパワメントしてくれるアーティストとかロールモデルになる人があまり見当たらなくて。
あっこゴリラ:うんうん。
虎鉄:その中でRina Sawayamaが出てきて、彼女自身がクィヤに対してのエンパワメントの言葉だったり、自分自身のストーリーを語ってくれることによって、自分が感じてた苦しみとか葛藤とかを代弁してくれているようで共鳴する部分が多いですね。

そんなRina Sawayamaとは、どんなアーティストなのか。ここで簡単にプロフィールを紹介した。

1990年生まれ、現在32歳。新潟県出身、ロンドンを拠点に活動する日本人シンガーソングライター。5歳の時に父親の仕事の関係で新潟県からロンドンに移住、ケンブリッジ大学で政治学、心理学、社会学を学び、モデルとしても活動。学生時代から音楽活動もスタートし、作詞、作曲、プロデュース、ミュージックビデオの監督まで全て自身で手掛けていた。

モデル活動で音楽活動の資金を調達しながら大学卒業後もアーティストとして活動を続け、2017年に『Cyber Stockholm Syndrome』や『Alterlife』といったシングルのリリースを経て、インディ・アーティストとしてデビューEP『RINA』を発表。ガーディアン紙やアメリカ音楽メディアのピッチフォークなどが絶賛し、2019年にはチャーリーXCXのUKツアーのサポーティングアクトに抜擢。

2020年、The 1975が所属する音楽レーベル「DIRTY HIT」と契約し、デビューアルバム『SAWAYAMA』を発表。NME、BBC、Rough Tradeなど多くのメディアで、2020年アルバムオブザイヤーを獲得している。

■Rina Sawayamaが発するメッセージとは

ここからは、Rina Sawayama をより深く知るために、彼女が発しているメッセージについてポイントを3つに絞って掘り下げた。

あっこゴリラ:まず、最初のポイントは?
虎鉄:「クィア・アジア人(系)のリプレゼンテーション」です。
僕の学生時代も、クィアのアーティストで自分をプレゼンテーションしているような人って、本当になかなか見つからなくて。
あっこゴリラ:確かに。それをまだ言える土壌じゃなかったっていうのが大きいですよね。
虎鉄:そうそう。特にアジア人でってなると本当にいなくて、Rinaさん自身も「私が自分のセクシュアリティについて居心地悪く感じていたのは、テレビにもどこにも、指差して“ママ見て! これがわたしの言ってた人! ”と言えるような人がいなかったからだと思う」と語っています。
さらに、「ストレートのフリをして単にアジア系アーティストと言われてしまうのは、私のある一面がごっそり剥ぎ取られてしまう」とも語っていました。
あっこゴリラ:これね、どのアーティストもあると思うんですよ。分かりやすくするために付けた枕詞みたいなもので、逆に自分が失われていってしまうみたいな感覚になるっていうのは。難しいところですよね。でもRinaさんはそこを出していったってことですよね。
虎鉄:僕自身も彼女が出てきたことで、彼女みたいにクールに人権やクィヤネスについて話しているアーティストがいることで、もし学生時代とかにセクシャリティやアイデンティティに気付き始めたときに彼女の存在があったとしたらどれだけ救われたかってすごく感じます。
あっこゴリラ:そういうアーティストがいるかいないかだけで全然違いますよね。続いて、2つ目のポイントは?
虎鉄:「○○人の判断基準とは? 世界が注目した#SawayamaIsBritish」です。
前作は、すごく評価が高かったにもかかわらず「マーキュリー賞」「ブリット・アワード」にノミネートされなかったんですが、その理由が“日本国籍であるから”だったんです。
これにRinaさんは、「25年もイギリスで生きてきても、二つの大きな英音楽賞に値するほど十分にイギリス人ではない」と悲しみをツイート。すると「#SawayamaIsBritish」がトレンド入りし、アワード運営協会はRinaさんとの協議を経て国籍条件を変更し、見事ライジングスター賞にノミネートされました。

あっこゴリラ:3つ目のポイントは?
虎鉄:「ステージ上で行う政治的発言」です。冒頭でも出てきましたが、今年のSUMMER SONICで、“日本で同性婚が認められていないことは恥ずかしいことだ”とMCで語って話題になりました。このようにその土地で起きているLGBTQを取り巻く環境や政治的システムに対して、Rinaさんはステージ上で声を上げています。
さらに今年のコーチェラでは、「Don't Say Gay法案」に対してコールアンドレスポンスで“No”をはっきりと示すパフォーマンスを行うなど、ステージ上で明らかな政治的発言をしています。

■最新アルバムのテーマは、「インナーチャイルドの再養育」

ここからは、最新アルバム『Hold The Girl』について話を伺った。

あっこゴリラ:今回のアルバムは、どんな作品になっていると思いますか?
虎鉄:一回目は、ポップやバラードなどいろんな楽曲のテイストがあって、すごく楽しみながら聴いたんですけど、二周目するとき歌詞を見ながら聴いていると、「個人的なことは社会的なこと」を体現している作品だなと感じました。
あっこゴリラ:そんな最新アルバム『Hold The Girl』から一曲お届けしようと思いますが、どの曲にしますか?
虎鉄:『Send My Love To John』です。アルバムを一通り聴いて、“この曲が一番自分の曲だ”って思いました。
あっこゴリラ:どんなことを歌った曲なんですか?
虎鉄:今までの楽曲はRinaさん自身の視点から書かれているものが多いんですけど、この楽曲はクィヤの子供を受け入れることが出来なかった母親を語り手とした楽曲になっています。

あっこゴリラ:前作からどのような変化を感じましたか?
虎鉄:前作ではわりと友達や家族との関係性を歌った曲が多かったけど、今回のアルバムのタイトル『Hold The Girl』は、Rinaさん自身に当たるのではないかと思っています。
今作は、Rinaさん自身が10代の時に受けた心の傷をセラピーを受けた経験を元に、幼少期の自分に足りなかった愛とケア「インナーチャイルドの再養育」を大きなテーマとしています。

今後、Rina Sawayamaはどんな存在になっていくと思うか伺った。

虎鉄:クィアコミュニティ、アジアコミュニティのうちの一人であって、決して彼女に全てを担わせるのではなく、ファンとして、またお仕事を一緒にする者として、彼女が闘い続けられるよう、時に休めるよう、大好きな音楽を続けられるよう共に闘う仲間のような存在かなって感じます。

そんなRina Sawayama、来年2023年1月にジャパンツアーを行うことが決定。東京、名古屋、大阪の3都市を巡るこのツアーは、初の単独来日公演。そして、2023年はキアヌ・リーブス主演の人気シリーズ『ジョン・ウィック』の最新作で映画デビューも果たす。これからの活躍にますます目が離せない!


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【番組情報】J-WAVE 81.3FM『SONAR MUSIC』
放送日時:月・火・水・木曜 22時-24時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/sonarmusic/

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