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最近のフェードアウト/カットアウトの傾向とは?mabanuaが解説!

J-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:あっこゴリラ)。番組では、毎回ゲストを迎え、様々なテーマを掘り下げていく。

■mabanua がセレクト「フェードアウトが印象的な曲」

ゲストには、音楽プロデューサーのmabanuaが登場。プロデューサー/ドラマー/リミキサーとして、Chara、YUKI、米津玄師、星野源、Official髭男dismなどの楽曲を手がけながら、CM楽曲や映画、ドラマ、アニメの劇伴も担当。また、トロ・イ・モワ、マッドリブ、サンダーキャットなど、海外アーティストとも多数共演している。Shingo Suzuki、関口シンゴとのバンド・Ovallのメンバーとしても活動中。

あっこゴリラ:まずは、「フェードアウト」について教えていただきたいのですが、そもそも音源がフェードアウトで終わっていくのには、どんな理由があるんですか?
mabanua:二通りあって、終わり方がわからないので、“じゃあそのまま小さくフェードアウトしていっちゃおう”っていうパターン。もう一つは、全体の音楽的に、リスナー目線からもアーティスト目線から見ると、曲って終わってほしくないのでエンドレスな感じ、哀愁みたいのものを醸し出しせるのがフェードアウトのメリットかなと思います。
あっこゴリラ:確かに都合っていうパターンもありそう(笑)。でも、リスナー側で言うとパーティーはいつまでも終わらない、どこまでも続いていくって感じますよね。
mabanua:ありますよね。
あっこゴリラ:ここからは、mabanuaさんがセレクトしたフェードアウトが印象的な曲を紹介していただきたいと思います。まず、一曲目は?
mabanua:Little Evaの『Loco-motion』(1962年)です。フェードアウトって、元祖が分からないんですよ。僕が知る限りは、ここら辺からなんじゃないかなってと思いセレクトしました。
あっこゴリラ:どんなアーティストなんですか?
mabanua:アメリカのR&Bシンガーです。おそらくみなさん一度は聴いたことある曲だと思いますが、この曲の最後、フレーズがループして終わっていくのが印象的です。


あっこゴリラ:続いては?
mabanua:Curtis Mayfieldの『Move On Up』(1970年)です。これも、たぶんみなさん聴いたことあると思います。先ほどの『Loco-motion』はわりとシンプルなフェードアウトでしたが、Curtis Mayfieldはフレーズをずっとリフレインさせていくというか。これもループして終わっていくんですが、“永遠にずっと動き続けるぜ”みたいな感じですかね。
あっこゴリラ:なるほど~。
mabanua:この時代の人たちって、ジャムセッションで曲を作っていくことが多いので、止めないとずっとやってるんですよ(笑)。これはたぶん終われなくなっちゃって、“フェードアウトしようか”って言って、フェードアウトしたという説が高いんじゃないでしょうか。
あっこゴリラ:あははは! 仕方なくフェードアウトしたってエピソードもなんかいいですね。それこそモータウンのアーティストとか、フェードアウトめっちゃ多そうですね。
mabanua:実際、Curtis Mayfieldのこのアルバムとか聴くと、ほとんどフェードアウトですね。


あっこゴリラ:続いての曲は?
mabanua:ビートルズの『Helter Skelter』(1968年)です。この曲は、僕が初めてフェードアウトを意識した曲になります。
あっこゴリラ:おお~!
mabanua:フェードアウトはフェードアウトなんですけど、一度去ったかと思ったらまた戻ってくるパターンです!
あっこゴリラ:あははは!
mabanua:最後はフェードアウトじゃないんですけど、フェードアウトからまたフェードインしてくるというちょっと特殊な曲ですね。
あっこゴリラ:この辺りも、そういう終わり方ってなかったからおそらくビートルズは実験的にやったんでしょうね。


■mabanua 的、フェードアウトとカットアウトの作り分け

自身の活動はもちろん、様々なアーティストのプロデュースなどもされているmabanuaだが、フェードアウト、カットアウトの作り分けはどうしているのか訊いてみた。

あっこゴリラ:mabanuaさんは、フェードアウト、カットアウトの作り分けって、どうしてますか?
mabanua:実は、フェードアウトはほとんどやったことなくて。時代なのかどうなのかわからないんですけど、懐かしい感じがしちゃうんですよね。
あっこゴリラ:なんかわかります!
mabanua:だから、最近やるときは、“懐かしいからやってみる? ”みたいな感じでやりますね。近々でやったのは、スピッツの『楓』なんですけど、J-POPでフェードアウトだなって思うのは、僕の中ではこの曲なんですよね。
あっこゴリラ:なるほど~! 『楓』ってそうか!
mabanua:そうなんです。繰り返しながら終わっていくじゃないですか。あれこそ、なんかもう消えていくって感じしますよね。
あっこゴリラ:うんうん。
mabanua:今回、土岐麻子さんのバージョンで『楓』をカバーするという企画で、僕がアレンジしたんですけど、原曲と同じじゃおもしろくないと思って、僕なりに手法を変えてフェードアウトしたバージョンを作りました

■mabanuaがセレクト「カットアウトが印象的な曲」

実は最近、フェードアウト終わりが減ってきていて、カットアウト終わりが激増しているという。

あっこゴリラ:最近、カットアウトの曲が多いのはどうしてなのでしょうか? 
mabanua:音楽的なことで言うと、たぶんギターソロとかキーボードソロでアウトローを引っ張るのは、あまり流行りじゃないのかなって。だから、イーグルスみたいのは、今の手法としては主流じゃないだろうなって思います。
あっこゴリラ:なるほど。
mabanua:あとは、やっぱりどうしてもフェードアウトって良くも悪くも臭くなるので、そういうのがクールに決めたい場合は、最近の流行りだと違うのかなって。
あっこゴリラ:確かに、フェードアウトはちょっと勇気いるかもしれない。私、ラップ活動では一回もないですね。
mabanua:最近、イントロも短くしてくれみたいなのもあるじゃないですか。なので、頭とお尻は付け足しみたいな。
あっこゴリラ:どんどんそうなってきてる感じはありますよね。あとは、サブスク時代だからという見解もあるようですが、これは大きいんじゃないかなと思いますね。だんだん曲の分数も短くなっていますしね。
mabanua:そうですね。歌が終わったら、“はい、次の曲! ”って感じですよね。

ここからは、mabanuaがセレクトしたカットアウトが印象的な曲を紹介してもらった。

あっこゴリラ:まず、一曲目は?
mabanua:Limp bizkitの『Just like this』(1999年)です。この終わり方が、超カッコ良くて。ロックバンドなんで、歪んだギターで鳴らして終わるかと思ったら、別曲をDJで繋いだかのような、ちょっとおしゃれな終わり方をするので、それを聴いてもらいたいなと思います。

あっこゴリラ:続いては?
mabanua:Red Hot Chili Peppersの『Can't Stop』(2002年)です。これは、先ほどの土岐麻子さんの『楓』のカットアウトバージョンだと思ってもらったらいいと思います。ボーカルが、いきなり顔面にくるみたいな感じですね(笑)。


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【番組情報】
J-WAVE 81.3FM『SONAR MUSIC』
放送日時:月・火・水・木曜 22時-24時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/sonarmusic/

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