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かわら版No.30 地方創生のゆくえ ー問題に継続的にかかわり続ける実践としての「まちづくり」ー① 

いつもお読みただきありがとうございます。先週は流行りの感染症に罹患してしまい、出席予定の各種新年祝賀会・顔合わせ会を欠席することになりました。大変残念であり、ご迷惑をおかけしました。市民の皆様におかれましても、手洗いうがいを徹底されて、日頃からの風邪予防にご留意いただければ幸いです。

さて、米沢でも“まちづくり”“地域おこし”などのキーワードとその実践を耳にするようになって数年が経過しました。従来のような国土開発とは異なり、地域づくり地域おこしといった手作り感ある取組を含め近年では新たな価値の再発見や創出といった地方創生へと、そのコンテクスト(背景、状況、場面、文脈)は変化してきています。

以下では、現在進行中の問題に継続的にかかわり続ける実践としての「まちづくり」とは具体的にどんな活動であって、その評価のポイントは何であるのか、近年書かれた1本の論文からその条件を探ります。

地方創生のcodesign ー創造的活動の先進事例を評価するー
松本文子他 Osaka University Knowledge Archive:OUKA 2021,10

上記がその論文です。大胆に要約すると、近年、地方創生の現場では、具体から抽象、物質的なものから精神的なものに至るまで幅広く含む概念である共創 (co- creation) 、共創 (co-creation) の 中のある瞬間を指すデザイナーと一般の人々が共に同じ開発過程に取り組むというコデザイン(codesign)の考えとその実践を踏まえ、アートやデザインの専門教育を受けた創造的人材が地方創生に大きな位置づけと役割を果たしています。

要するに、専門家のサポートを受けつつ、誰もが同じように創造的であるという前提を信じ、いろいろな人たちが共にデザインすることを通じて、新しい地域の魅力をつくりあげていっている、これが地方創生の現場です。

もっとも、この地方創生のプロセスは新しい価値を与えるものですが、その進行形(進行過程)を記述することが困難な場合があると言います。その理由は、例えば、codesignはその構成者の多様性によって、摩擦や対立を生むことがあり、その紆余曲折のプロセスは結果に表現されないこともあるからです。また、地方創生の評価について、まだ方法論は定まっていないとも言います。KPI (Key Performance Indicators) を設定している地方自治体も多いようですが、その中で共通に用いられているものは「総合戦略による人口増効果」「雇用創出数」「社会増減数」「合計特殊出生率」であり、これらの指標は、トップダウンで進められた地域づくりの時代における評価方法と変わりなく、雇用や移住、出生などの人口の変化は、十分に評価できるまでに時間がかかるという問題があり、居住を伴わない交流や開始したばかりで継続期間の短い取組を評価するのには適当ではない、と言います。

地方創生の取組は、どのような評価軸を用いることが良いのでしょうか?今、実践している者が主体的に評価を考え、取組事例についての先進性や独自性を評価する評価軸とは何であろうか。

次回では、同論文から4つの評価軸を紹介したいと思います。

この度も最後までお読みいただきありがとうございました。

かわら版No.30




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