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かわら版No.28 これからの、政治

いつもお読みいただきありがとうございます。本日は大晦日、4月の統一地方選挙、5月からの米沢市議会議員としての活動、米沢市民の皆様、後援会の皆様、応援いただいた皆様に心より御礼を申し上げます。誠にありがとうございました。

北海道大学大学院法学研究科で法政治哲学を学び、いつか政治にも、特に地方の政治を良くしたいという思いがあり、本年がその第一歩目の年となりました。現在名古屋大学環境学研究科社会環境学専攻の博士後期課程で研究をする機会をいただいていること、学問と政治(社会実践)を同時並行してやっていきたいという私の気質は、偶然に幸運にも(半分半分の確実性/不確実性・contingency)つながったわけです。人生は本当に不思議なものです。

今、国政では政治と金の問題で大きな政治不信を招いています。本当に残念なことです。地方は、本格的な人口減少、高齢化社会を迎え、これから20年間が本当の正念場になります。危機を直視し、受け止め、解決のために行動し、根気強く進んでいかなければなりません。「実際、燃える情熱と冷静な判断力の二つを、どうしたら一つの魂の中でしっかりと結びつけることができるか、これこそが問題」と政治学者のマックス・ウェーバーが言ったように、断じて挫けることなく、地方から政治の本質を語り、米沢の未来のために直向き行動しなければなりません。

世界は、ウクライナ危機があり、さらにパレスチナのガザ危機、戦争による人道被害が、悪が存在します。人類は人口知能・AI、さらにはAGI(人工汎用知能)を手に入れるほど賢くなりましたが、いまだ合理的な愚か者のままです。人類学者のクロード・レヴィ=ストロースが、1955年にその著書『悲しき熱帯』を表し、これを書きながら「人類を脅かす二つの禍 —自らの根源を忘れてしまうこと、自らの増殖で破滅すること—」への不安を表明してから、半世紀プラス四半世紀が経ようとする中で、地球は悲鳴を上げています。その間、私たちは何をこの世界から得、学んだのでしょうか。

日本における失われた30年とは、本来、何を失ったのか。高度経済成長の裏で、その後で、この間、政治はどのような役割を果たしたのか。いや、果たさなかったのか。アリストテレスにより「人間は政治的動物である」と定義された私たち人類にとって、“政治”とは何であって、何であるべきだったか、問い質し、あらためて考えてみる必要がありそうです。

米沢に縁のある戦後思想家の吉本隆明さんは、詩、習作廿四(米沢市)の冒頭でポール・ヴァレリーの詩「海辺の墓地」の  Le vent se lève, il faut tenter de vivre(風がおこる。生きようとしなければならない)を、引用しています。なぜ、米沢市という名前を付けた習作詩に、このヴァレリーの一節を引いたのか、にわかにはわかりません。ですが、学生時代の吉本隆明さんが、東京で育った吉本さんが、「何よりも、はじめて茶飯事のように接するようになった「自然」が、ここでは最大の詩であり友人であった」と後に振り返るように、ここ米沢で、自然と一体となった心・魂に風がおこったに違いありません。私たちも、この人新世と呼ばれる危機の時代に風をおこるのを待つわけにはいきません。風を感じたいです。

Le vent se lève, il faut tenter de vivre
風立ちぬ、いざ生きめやも

最後に、今月15日を持って米沢議会は閉会し、21日には中川勝市長が任期満了、翌22日からは近藤洋介新市長体制がスタートしました。米沢市役所の行政当局の動きとしては、新市長の選挙公約であった給食無償化を実現するため、28日に、一般財源の既存事業について、予算削減の指示があったと聞いています。給食無償化に要する約3.5億円をどう捻出するのか、一般財源の既存事業の見直しを指示したということだと思いますので、当該既存事業の必要性や役割は協議したのか、何を削減して給食無償化の予算に割り当てたのか、継続的な財源根拠はあるのかなど、議員としてしっかり見極めていきたいと思います。また、給食センターについても、契約の白紙化という話も聞こえてきています。もし本当だとすれば議会で説明がされますので、市民の皆様にもわかりやすいように正確な情報をお伝えしていきたいと思います。新市長の公約では、デマンドタクシーの市内全域化・一律400円、学童保育の無償化など、大きな財源根拠が必要な政策が選挙公約として、また2024年の広報よねざわでもあらためて約束されています。これまでもお伝えしたように、中川市政で財政再建の筋道が示されたとはいえ、財政調整基金を含めまだまだ財政に余裕があるわけではありません。財源をどのように確保するのか、国や県からは財源確保できるのか、民間投資は呼び込めるのか、これからの急減する人口減少時代においては財源根拠の組立が不可欠です。

最後までお読みいただきありがとうございました。令和6年もしっかり努めます。引き続きご支援ご指導いただければ幸いに存じます。本年は本当にありがとうございました、良いお年をお迎えください。そして、皆々様にとって来る年が良い年でありますことを心よりご祈念申し上げます。

参照図書
・マックス・ウェーバー著 脇圭平訳 「職業のとしての政治」岩波文庫
・レヴィ=ストロース著 川田順造訳「悲し熱帯Ⅰ」中公クラシックス
 ※訳者の川田順造先生は、米沢に縁もあり六郷の農村文化研究所におい 
  てながらく講演活動をなさっておられました。
・吉本隆明著「初期ノート」光文社文庫

かわら版No.28



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