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『SOMOSOMOの鬼さんこちらの曲』のこと

デビュー前 「1日で書いた」「電車の中でも書いてた」という一枚の紙をミキが見せてくれたあの瞬間を、その瞬間だけまるで切り取ったみたいにはっきりとわたしは覚えている 罫線のない1枚のまっさらな紙に詰め込まれた文字たちを見ながら 「しらばみ、って日本語は存在するか分かんないけど入れた」と言ったミキは いつもわたしの固定概念を壊してくれる わたしたちがデビューした時に掲げていた3曲の楽曲のうち『#ばずりたい』の歌詞はミキの作詞だった

ミキの書く歌詞は音が心地いい わたしにとっては初めての作詞でありミキとの共作だった『無課金ヘイト』も ミキが書いてくれたサビの歌詞は読んでも歌ってもなんだか耳馴染みが良い 音への乗せ方がおもしろい 意味の無い言葉もある よく見たら意味の分からない言葉もある ミキは何をするにしてもわたしが思い付かないような もしくは思い付いても不安になってやめてしまうようなことをやってのける だからミキの書く歌詞にわたしは滅茶苦茶に憧れていたし ミキが歌詞を書いた楽曲が愛されているのを知ると わたしまで誇らしい気持ちになるような ちょっとだけ悔しいような

確か昨年の秋頃 ライブハウスの楽屋で 良い歌詞が思い付かないから代わりたいです、じゃあケイコ行くか?、というミキとプロデューサーさかいさんの会話に やります、と即答してしまったけど 本当はそのあとずっと不安だった

作詞をするときわたしはいつもそう やります、と言ったときはやってやるぞと闘争心を燃やす でもそこから できました、とLINEのグループのノートに貼るまで いやもっと言えば振り入れをしてレコーディングをしてライブで披露して不特定多数からの評価を知るまでずっと ずっとずっと自信がない どんなに自分にできる最高級の歌詞を書いても、だ

ミキが「私が歌詞を書けなかった曲にケイコがすごくいい歌詞を書いた」と言ってくれたこと ヒヨリが「落ちサビの歌詞すごくいいよ、本当に好き」と言ってくれたこと
特典会で話しに来てくれたファンの方々が「鬼さんこちらの曲、なんていう曲なの?」「サブスクはある?」「あの曲、すごく良かった」と言ってくれたこと、とか
コトコが歌う落ちサビ、ユヅが歌う1番のBメロ、サエラに歌って欲しいなと思って書いた2番のAメロを歌うサエラとか
フロアにたくさん挙がる みなさまの振りコピの手とか

わたしが歌詞を書いただけでは未完成で不安定だった『TAnGlers』が 少しずつ形を定めていくのが嬉しくて それのおかげでわたしは今は 自信を持って「あの曲の歌詞、わたしが書いたの」って言うことができます 「あの曲いいでしょう?」って


『TAnGlers』(タングラーズ)のデジタルリリースが決定しました

自分の目に映る情報だけを見て都合のいいように解釈してその場の感情任せで持論を振りかざす、なんてわざわざ斜に構えて難しくて面倒臭くて生きづらい生き方をするより、もっと単純明快な“好き”、“楽しい”みたいな感情を優先したらいいのに、と思いながら書いた歌詞です どんなに文句を言ったって、結局私たちのライブって楽しいでしょう?って、喧嘩を売ってみました
作曲はY.O.U.さん、振り付けは松井奈々先生 お二方ともずっとお世話になっている大好きな方々です 最高の音楽と最高の振り付けで最高な曲になりました ぜひライブでのパフォーマンスも観てほしいです


2021年5月1日『TAnGlers』の配信開始まであと2日ほどです

わたしは昔「CDを手に取らないでスマホでだけ音楽を聴くなんて有り得ない!理解できない!」とずっと思っていたけれど この情勢になってから改めて実感しました 指先ひとつで持ち運べるようになる音楽にも 当たり前だけどちゃんと存在意義がある Spotifyユーザーになったわたしはいつも『SOMOSOMO』と検索して 少しずつ伸びていく再生回数に自信をもらっています

会いたいときに会えないのはいつだって苦しいけど 求めているときに生音を浴びれないのはもどかしいけど 音楽はどこにいたっていつもどこかで鳴り続けるから大好きです あなたにとっても、わたしたちの音楽が そうなれたら、いいな

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