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素材探訪:牛乳

ジェラートの50%は牛乳です。牛乳の良し悪しで、出来上がるジェラートの風味は本当に変わってきます。

基本のレシピ:ミルクアイス

牛乳 17000
生クリーム 3000

砂糖 5000
トレハロース 2000
増粘多糖類 150

メモ

・使用する牛乳は「種類別:牛乳」とある原材料が生乳だけのもの。低脂肪乳や加工乳は基本的に使用しない。
・牛乳の成分は季節により変動する。乳牛さんも暑いとよく水を飲むため、どうしても夏季の牛乳の風味は薄い。そのため、白雨/apres la pluieでは、仕入れた牛乳をパステライザーという加熱殺菌機で数時間かけて加熱し、水分を蒸発させることで乳成分を濃縮させている。
・ジェラートの風味を評価する言葉の中で「牛乳感が濃い」といったものがある。白雨/apres la pluieでもとても重要な要素だと考えています。では、乳の濃さをどう表現するのか。ジェラテリアさんによって手法は様々。例えば、「生クリームを多く配合する」。確かに乳脂肪分は高まるため、油脂分の濃厚さは図れると思います。次は「バターを入れる」これも同様。乳脂肪分の追加です。これも効果はあると思います。最後に「脱脂粉乳を多く配合する」これは乳成分のうち、乳固形分(タンパク質)を多くすることで風味を強調する試みです。そんな沢山の試みの中で、私たち白雨/apres la pluieは「牛乳そのものを煮詰める(沸騰させるわけではない)ことで風味の相対的濃度を高める」というアプローチをとっています。これにはいくつか理由があるのですが、まず、脱脂粉乳を多く入れた場合、タンパク質が乳糖の核となりザラザラした食感が誘発されやすい。次にバターや生クリームの濃厚さは脂肪分の濃厚さであり、脂肪分の濃厚さはジェラートの冷凍温度帯では効果が薄いと感じているからです。
・脱脂濃縮乳やバターミルクという商品が販売されていますが、これを牛乳と置換するという考えは一番近いものだと思います。ハーゲンダッツさんはこのアプローチでやられていますね。
・乳牛の品種や餌による差も、大きな違いになります。これは風味だけでなく、色合いにも影響します。北海道の牧草を主食にするホルスタイン種は、若干クリーム色がかった牛乳になります。風味はまろやかさというよりはシャープなものが多いと感じています。東海~西日本で飼育されているホルスタイン種は牧草飼育もあると思いますが、とうもろこしなどの穀物を主食にする圃場が多いので、味がまろやかです。生乳の品質の違いが一番良くわかるのが発酵バターなのですが、北海道のよつ葉乳業さんのバターと、岡山県で作られているカルピスさんのバターを並べると本当に違います。カルピスは本当に真っ白です。次に有名な品種はジャージー牛です。飼育頭数自体がかなり少ないので業務で使うことは少ないのですが、味わいはタンパク質の乳成分が多く、強い口当たりがあります。ジャージー乳を配合すると商品作りでとても販売しやすいものになるのですが、白雨/apres la pluieでは、一部の特注品を除いて、あまり使用しません。主たる理由は、私たちの技術力不足もあるのですが、ジャージー乳を濃縮工程にかけると、仕上がりがかなりブレるためです。うまくできたときはとても美味しいのですが、失敗すると破棄しないといけないので・・・牛さんに申し訳ないというのが、正直なところです。
・白雨/apres la pluieでは、通常、四国明治乳業さんの生乳を使用しています。地元のモノであり、搾乳からお店に来るまでの期間が一番短いからです。

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